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【入門編】5分で意味や代表例が分かる!SaaSとは?

作成者: 【TECH+マーケティング責任者】武本 大平|Feb 22, 2023 6:02:07 AM

【1】SaaSとは?

SaaS(Software as a Service)とは、サービスとして提供されるソフトウェアをいいます。呼び方はサースです。

SaaSはクラウドサービスの一種のため、インターネットを介して利用します。

従来、ソフトウェアはパッケージ製品で販売されていました。PCにインストールして、ソフトウェアを起動するのが主流でしたが、SaaSに移行してきています。

SaaSはサービス提供者側のサーバーで稼働しているソフトウェアに接続して使用するものです。SaaS契約時に発行されるアカウント情報を入力するだけで、サービスが利用できるようになります。PCやスマホなど複数の端末で利用できることが特徴です。複数のアカウントを契約すれば、複数人で共同作業が行えるようになります。

さらに、サービス提供者側が保守・運用してくれるため、常に最新のバージョンを利用できます。

【2】SaaS、PaaS、IaaSとの違いは?

クラウドサービスには「SaaS」「PaaS」「IaaS」があります。3つの違いは、提供されているサービス内容です。

 

1.クラウドサービスとは

クラウドサービスとは、ネットワーク経由で利用できるサービスをいいます。クラウドサービスは、サービス提供範囲により「SaaS」「PaaS」「IaaS」と分けられます。つまり、クラウドサービスの中に「SaaS」「PaaS」「IaaS」が含まれていると考えていると理解しやすいです。

 

2.PaaSとは

PaaS(Platform as a Service)とは、サービスとして提供されるプラットフォームをいいます。呼び方はパースです。

プラットフォームとはソフトウェアを動作するために必要な環境をいいます。

PaaSもクラウドサービスの一種のため、インターネットを介して利用します。

従来はソフトウェアを開発するために「サーバー」「OS」「ネットワーク」「ミドルウェア」を購入しなければいけませんでした。

しかし、PaaSであれば、ソフトウェアを開発するために必要な分だけをサービスとしてレンタルできます。また、サーバー負荷に応じたリソースの増強やOSアップデート対応なども容易に行えます。

 

3.IaaSとは

IaaS(Infrastructure as a Service)とは、サービスとして提供されるインフラストラクチャーをいいます。呼び方はイアースです。インフラストラクチャーとは、サーバーやストレージなどの設備を指します。

IaaSもクラウドサービスの一種のため、インターネットを介して利用します。従来は社内にサーバーを設置しなければいけませんでした。しかし、IaaSであれば、必要な分だけをサービスとしてレンタルできます。

 

【3】SaaSの市場規模

国内では2018年にSaaS元年を迎えました。

月額料金を支払い、SaaSのアカウントを発行してもらえれば、PCやスマホなどお好きなデバイスでソフトウェアを利用できます。ソフトウェアの保守・運用はサービス提供事業者が行ってくれるため、常に最新バージョンのソフトウェアが利用することが可能です。のため、さまざまな企業がSaaSを導入し始めています。

富士キメラ総研の独自調査『ソフトウェアビジネス新市場2022年版』によると、2022年の国内SaaS市場規模は1.09兆円で、2026年には1.67兆円に拡大すると言われています。

 

【4】SaaSの種類

SaaSはVertical SaaS とHorizontal SaaS の2種類に分けられます。

1.Horizontal SaaS

Horizontal SaaSは「ホリゾンタルサース」と呼び、汎用的なSaaSを指します。業界・業種問わずに利用できるソフトウェアです。主に、生産性向上やコミュニケーション活性化に役立ちます。例えば、営業支援ツール、請求書発行システム、チャットツールなどがあります。

 

2.Vertical SaaS

Vertical SaaSは「バーティカルサース」と呼び、建設業や農業、宿泊業など業界・業種に特化したSaaSを指します。Horizontal SaaSでは対応できない業界特有の業務を効率化するためのソフトウェアです。

例えば、建設業向けのVertical SaaSには図面管理システムや現場管理アプリなどがあります。Horizontal SaaSでは解決できない課題が発生した際に、Vertical SaaSを使用します。

 

【5】SaaSのメリット

SaaSには3つのメリットがあります。

メリット1:開発コストが発生しない

SaaSを活用すれば、自社でシステムを開発せずに済みます。つまり、システム開発コストが発生しません。

SaaS提供者が開発したシステムをインターネット経由で利用するため、導入費用と月額料金を支払えばSaaSを利用できます。SaaSはサブスクリプション型モデルのため、コストを抑えながらシステムを利用できます。

 

メリット2:保守・管理コスト負担が少ない

SaaSであれば、システム運用や保守などを行う必要がありません。なぜなら、SaaS提供者がシステム運用や保守を行ってくれるためです。そのため、システムサーバー管理やセキュリティの診断、更新などの手間から解放されます。

 

メリット3:バージョンアップの工数が少ない

SaaSを利用すれば、常にバージョンアップしたシステムを利用できます。なぜなら、SaaS提供者がシステムのバージョンアップをしてくれるためです。

2023年度にはインボイスが開始されて、インボイス対応型の請求書を発行しなければいけなくなりましたが、SaaS型の会計ソフトは法改正後に対応した請求書が作成できました。

会計ソフトなどは買い切り型のシステムも登場しています。しかし、買い切り型のソフトは、法改正毎に買い替えなければいけません。SaaSであれば、このような負担からも解放されます。

【6】SaaSのデメリット

SaaSにはデメリットも3つあります。

 

デメリット1:カスタマイズがしにくい

SaaSは提供者が開発したシステムを利用する特性上、利用者のユーザーに合わせてカスタマイズすることができません。そのため、自社の業務に合わせて機能を追加することはできません。オリジナルのシステムを希望する方は、SaaSではなくて、システム開発会社に依頼した方がよいでしょう。

 

デメリット2:セキュリティリスクがある

SaaSを利用する際はセキュリティリスクがあることを理解しておかなければいけません。SaaSはインターネット経由で利用するものです。そのため、SaaSをアクセスするまでのネットワークへのセキュリティ対策を行う必要があります。

また、元従業員が情報漏洩する可能性もゼロではありません。そのため、ID/パスワード管理を徹底したり、情報の扱い方について教育したりすることが求められます。このように、さまざまなセキュリティリスクがあることを見据えて対策を打たなければいけません。

 

デメリット3:システム障害の影響を受ける

SaaSサービスを利用している最中にシステム障害が発生したら、業務停止など影響が出ます。復旧するまで業務ができません。

また、SaaSはインターネット経由で利用するサービスです。SaaSの利用中にインターネット接続が切れると、サービスが利用できなくなります。そのため、SaaSサービスを利用する際はインターネット環境を整備しましょう。

【7】SaaSサービスの代表例と企業

代表的なSaaSサービスには以下のようなものがあります。

 

ツール

代表例

チャットツール

  • Slack
  • LINE WORKS
  • Chatwork
  • Microsoft Teams など

WEB会議ツール

  • Zoom
  • Google Meet
  • Microsoft Teams 

プロジェクト/タスク管理ツール

  • Backlog
  • Trello
  • Asana など

オンラインストレージ

  • Box
  • OneDrive
  • Dropbox など

グループウェア

  • kintone
  • J-MOTTO

ERP

  • SAP S/4HANA
  • NetSuite
  • SuperStream-NX など

SFA/CRM

  • Salesforce Sales Cloud
  • Microsoft Dynamics 365
  • kintone など

MA

  • Adobe Marketo Engage
  • Pardot
  • KARTE など

会計ソフト

  • マネーフォワード
  • free会計
  • やよいの青年申告 オンライン など

労務管理

  • スマートHR
  • HRブレイン など

 

ここでは、それぞれのサービスについてわかりやすく解説します。

 

1.チャットツール

出典元:『chatwork

チャットツールとは、チャット形式でコミュニケーションが取れるツールです。テーマ毎にチャットグループを作成できるため、1対1のコミュニケーションだけでなく、複数人でコミュニケーションできます。

チャットでは、テキスト以外にも画像や動画、音声データを送れます。また、データ共有やタスク管理しやすく設計されているため、業務効率化に役立つツールです。

 

[チャットツールの代表例]

  • Slack
  • LINE WORKS
  • Chatwork
  • Microsoft Teams など

 

2.WEB会議ツール

出典元:『Zoom

WEB会議ツールとはインターネット経由でビデオ通話を行えるツールです。コロナ禍に普及して、多くの人に愛用されるようになりました。

PCやスマホに内蔵されているカメラ、マイクを活用してビデオ通話を行います。ノイズキャンセリング機能が搭載されているものであれば、クリアな音質を楽しめます。

電話とは異なる点は、相手の表情を見たり、資料を閲覧したりしながら打ち合わせができることです。また、ビデオ通話の録画・録音もできます。

遠隔の人と話せるツールとして、商談や面接、会社説明会、セミナーなど幅広いシーンで利用されています。

 

[WEB会議ツールの代表例]

  • Zoom
  • Google Meet
  • Microsoft Teams 

 

3.プロジェクト/タスク管理ツール

出典元:『Asana

プロジェクト/タスク管理ツールとは、優先度や緊急度などを考慮しながらプロジェクト/タスクを管理するためのツールです。プロジェクト/タスクを管理することで、全体のボリュームや進捗状況を把握できるようになり、作業漏れや納期遅延を防ぐことができます。ツール上でタスクに関するやり取りも可能なため、申請・承認業務も捗ります。

 

[プロジェクト/タスク管理ツールの代表例]

  • Backlog
  • Trello
  • Asana など

 

4.オンラインストレージ

出典元:『box

オンラインストレージとは、オンライン上のデータ保管スペースです。インターネットに接続すれば、自宅や外出先など好きな場所からオンラインストレージにアクセスできます。データの保存や共有だけでなく、複数名での共同作業も可能です。

オンラインストレージサービスは、会員登録するだけで気軽に利用できる無料版も用意されています。そのため、個人・法人問わずに多くの方に利用されています。ビジネスで利用する場合は、情報漏洩が起きないようにセキュリティ対策が施されたサービスを選びましょう。

 

[オンラインストレージの代表例]

  • Box
  • OneDrive
  • Dropbox など

 

5.グループウェア

出典元:『J-MOTTO

グループウェアは、社内コミュニケーションを円滑にするためのツールです。

従業員全員のスケジュールが把握できるカレンダー機能を利用すれば、会議や行事の日程調整が行えるようになります。

グループウェア上で連絡やファイル共有、申請・承認ができるため、報告・連絡・相談がしやすくなります。グループウェア上で社内報を発信すれば、社内コミュケーションを活性化することも可能です。

 

[グループウェアの代表例]

  • kintone
  • J-MOTTO

 

6.ERP

出典元:『SAP S/4HANA Cloud Public Edition

ERPとは、Enterprise Resource Planning(企業資源計画)の略称で、統合基幹業務システムをいいます。企業の「会計業務」「人事業務」「生産業務」「物流業務」「販売業務」などの基幹業務と統合し、情報の一元管理を行うためのシステムです。企業のあらゆる情報を一元管理することで、経営分析が行いやすくなります。

 

[ERPの代表例]

  • SAP S/4HANA
  • NetSuite
  • SuperStream-NX など

 

7.SFA/CRM

出典元:『eセールスマネージャー

SFA/CRMとは、顧客情報や商談情報、営業進捗状況を一元管理するシステムです。顧客情報や営業情報などを社内共有して、顧客とのコミュニケーションを強化するために使用します。SFAやCRMには分析機能も付いているため、自社サービスを購入する顧客の属性や、契約に至る顧客に行っているアプローチ手法を可視化できます。

 

[SFA/CRMの代表例]

  • Salesforce Sales Cloud
  • Microsoft Dynamics 365
  • eセールスマネージャー など

 

8.MA

出典元:『Adobe Marketo Engage

MA(Markting Outmetion)とは、見込み顧客をセグメント化してメールを配信するためのツールです。メールの開封率やURLクリック率を策定できます。そのため、見込み顧客の反応を確認しながら、メールを配信できます。リードナーチャリングの工数を削減できるとして、多くの企業で導入されているツールです。

 

[MAの代表例]

  • Adobe Marketo Engage
  • Pardot
  • KARTE など

 

9.会計ソフト

出典元:『freee会計

会計ソフトは会計業務を効率化するためのソフトです。会計ソフト上で、現金出納帳や総勘定元帳など、さまざまな帳票が簡単に作成できます。会計ソフトで記録や集計ができ、お金の動きをグラフでチェックできることが魅力です。簿記の知識がない方でも会計が行えるように作られていたり、わからないことを税理士に聞けたりします。

 

≪会計ソフトの代表例≫

  • マネーフォワード クラウド
  • freee会計
  • やよいの青色申告 オンライン など

 

10.労務管理

出典元:『スマートHR

労務管理システムとは、従業員の社会保険手続きや福利厚生の加入などの手続きを効率化するためのシステムです。従来の労務管理は、申請書を作成してメールや郵送でやりとりするのが一般的で、入力ミスで書き直しが発生することもありました。

しかし、労務管理システムを利用すれば、インターネット上で申請書の作成から提出までワンストップで行えるようになります。

 

≪労務管理の代表例≫

  • スマートHR
  • HRブレイン など

 

【8】SaaSを選ぶ際に気を付ける6の基準

SaaSの代表例をご紹介しましたが、さまざまなサービスがあります。チャットツールだけでも複数のサービスがあるため「どれを選ぶべきだろうか…」と悩んでしまうかもしれません。そのため、SaaSを選ぶ際の基準を押さえておきましょう。

 

1.価格/料金体系

コストと機能のバランスがよいサービスを選ぶことが大切です。

SaaSの料金体系は大きく「定額課金」と「従量課金」があります。

[料金体系]

  • 定額課金:どれだけ使用しても料金は同じである
  • 従量課金:サービスの使用量に応じて料金が変動する

また、ユーザー人数や機能に応じて月額料金が変動するサービスもあります。そのため、自社に見合うものを選ぶようにしましょう。

 

2.機能

SaaSの機能面を確認するときは、自社が欲しい機能が含まれているかを確認しましょう。

多機能なSaaSも登場していますが、さまざまな機能が搭載されているツールが必ずしも良いわけではありません。多機能なツールを選ぶと操作が複雑になったり、料金が割高になったりします。

そのため、自社が欲しい機能が含まれていて、操作しやすいかどうかを重視しましょう。

SaaSサービスはトライアルできることが大半のため、トライアル体験で使用感をチェックすることをおすすめします。

 

3.サポート体制

SaaSを導入して定着するまでは時間がかかります。SaaSを導入したばかりの頃は、操作方法に悩んでしまうこともあるかもしれません。そのような場合に、ベンダーサポートが受けられると安定稼働します。SaaSサービス利用時に困ったときも、サポート体制が整備されていたら安心できるでしょう。そのため、サポート体制があるかどうかを確認しておきましょう。

 

4.セキュリティ体制

SaaSを導入する前にセキュリティ体制が整備されているかを確認しておきましょう。

  • マルチデバイスに対応したシングルサイトオン
  • 多要素認証
  • 管理者権限付与
  • アカウント追加や削除を自動化するユーザープロビジョニング機能

上記のセキュリティが整備されていれば、安心してサービスを利用できます。

 

5.拡張性

SaaSサービスを導入する前に、既存システムと連携できるかを確認しましょう。例えば、CRM/SAFとMAを連携すれば、顧客のセグメントやメール配信までをワンストップで行えるようになります。しかし、全てのシステムと連携できるわけではありません。サービスにより、連携できるサービスが異なります。そのため、業務効率化を図りたい方は、SaaSサービスの拡張性を確認しましょう。

 

6.導入実績の数

SaaSを比較・検討する際は導入実績を確認しましょう。自社の同じ業種・業態、従業員数の企業が導入して成果を出しているものを選ぶと失敗を防げます。公式ホームページに導入実績が掲載されているため、どのような実績があるのかを必ず確認しましょう。

 

【9】まとめ

SaaS(Software as a Service)とは、サービスとして提供されるソフトウェアをいいます。ベンダーが開発したシステムを利用するため、自社でシステム開発する必要がありません。システム運用や保守もお任せできます。セキュリティリスクを考慮する必要がありますが、自社にピッタリ合うものを導入できれば、生産性を上げられるでしょう。

今回はSaaSの代表サービスをご紹介しました。さまざまなサービスが登場しているため、気になるものを活用してみてください。