セグメント配信とは、顧客を要素別に分類しそれぞれのニーズに合わせた情報をメールで配信する仕組みのことです。主にメールマーケティングやメール広告で利用されます。
この要素については、年齢や性別、商品やサービスの閲覧履歴やダウンロードの有無まで幅広くなっています。
その他の例として、要因別に顧客を分類することなく全く同じ情報を送信する手法であるメール一斉送信などがあります。
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ここからは、セグメント配信にはどのようなメリット・デメリットがあるのかを確認していきましょう。
セグメント配信のメリットは、以下の2つです。
それぞれ詳しく解説していきます。
ECサイトなどがセグメント配信する場合、顧客の購入履歴や資料請求から関連商品から顧客のニーズに合わせた内容の配信が一般的となっています。
そのため、顧客は配信されたメールに反応しやすいことがメリットです。
結果として、メールの開封率やクリック率などの商品購入などのコンバージョン向上につながります。
また、顧客にとって配信メールは非常に有益な情報源なため、受信したメールに嫌悪感を示すことは少なく、メール送付の解除率減少につなげることも可能です。
次は、顧客との関係維持ができるというメリットです。
セグメント配信では、顧客の商品・サービスへの興味関心度合いや購入履歴に応じたメルマガを配信できます。
顧客のニーズに合った的確に情報提供ができるため、顧客とこれまで築いてきた良好な関係性の維持が可能です。
また、メール配信でメルマガを購入しただけで商品やサービスの購入や契約に至らない場合でも、今後商品やサービスを使い続けてくれる優良顧客になる可能性を秘めています。
また、顧客との関係維持だけでなく、リードナーチャリングにも役立てることができます。
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続いて、セグメント配信のデメリットを解説していきます。
主なデメリットは以下の2つです。
それぞれ詳しく解説していきます。
デメリットの1つ目としては、メール配信準備にコストがかかるというデメリットです。
セグメント配信をするためには、顧客を要素別に仕分けする必要があるため時間がかかるほか、分析する人件費などのコストも必要となります。
セグメントの際に、細分化しすぎるあまり分類の重複や、顧客の仕分けミスが発生する可能性があるため注意が必要です。
さらに、セグメントを分ける際にメルマガの文章やコンテンツのデザインを必要に応じて変更する必要があります。
送信するターゲットにもよりますが、年齢や性別に応じて随時デザインの変更が必要になってくるでしょう。
このように、メール配信の準備には時間や労力のコストがかかります。あらかじめ、時間に余裕を持って配信するようにしましょう。
次に、デメリットの2つ目としては第一段階のセグメントが不十分だと費用対効果が得られにくいということです。
前述したとおり、顧客のセグメントにはかなりの時間がかかります。
そのため、セグメント配信を行う際には配信の目的を明確にし、顧客の分類を的確にすることが必須です。
顧客がメルマガを見ることでどう行動して欲しいのか、イメージする必要があります。
この目的が不明確だと、仕分け時の判断基準が曖昧になってしまうほか、正確にセグメントできない恐れがあります。また、ターゲットごとのニーズの把握も重要です。
ここからは、実際にセグメント配信を始める手順を以下の4STEPでご紹介します。
それぞれを詳しく解説していきましょう。
はじめに、顧客情報のセグメンテーションを行います。
セグメント配信を行うには、顧客に共通しているニーズをもったグループごとに分けることが必要です。
既存の顧客データや購買履歴データをもとにビジネスに有効な顧客を選出し、分類するための項目を決めます。
セグメントの項目には、年代や性別といった基本的な情報だけでなく地理的要因や嗜好などさまざまな分類基準があります。
ここでは、以下4つの基準例を取り上げます。
居住エリアや天候、都市部や郊外などで、地理的要因から分類します。
わかりやすい例では、気温が高い地域に住む人にとっては暖房器具の情報は不必要かもしれません。
しかし、気温が低い地域の人には興味関心を持ってもらえるのではないでしょうか。お店やイベント情報など、その地域の特性に合わせたセグメントが重要です。
属性とは年代や性別、職業や年収などといった要素のことを指します。
この属性は基本的なセグメント項目ですが、テーマによって細分化が必要になってきます。
たとえば、子ども用品を例にあげると「乳幼児用のおむつ」なのかランドセルといった「小学校入学前に準備するもの」なのかといった、年齢に合わせた情報を選ぶことが重要です。
嗜好というのはひと言でいうと対象者の好みを指します。
その中のライフスタイルや、パーソナリティ、価値観などの要素ごとに分類します。
たとえば、年収が同じくらいの近隣地域に住む30代男性が2人いても性格や価値観が異なるためファッションや読む雑誌が違ってくるでしょう。
釣り好きな人や、スポーツチームのサポーター、特定のアーティストのファンなどといったセグメントにもそれぞれ異なる情報のニーズがあります。
ECサイトであれば、商品の購入履歴やサイトへのアクセス回数や時間、購入に至ったルート、購入頻度など顧客の行動から分類していきます。
初めての利用者なのかや普段から使ってくれるリピーターなのかで、求めるニーズは異なるでしょう。
セグメントで分類する際には、これらのカテゴリを単独で使用するのではなく、いくつかをかけ合わせて抽出する場合が多くなっています。
たとえば、「都市部に住んでいる」「20代・30代」の「フルタイム勤務で働く」「女性」で、「美容コスメのECサイトでたまに買い物している」などが一例です。
STEP2として、分類し終えたセグメントを想像しながら、メールの配信内容を決めます。
配信内容は、次にあげる点を意識しながら決定することがおすすめです。
メール作成時に最も大事なポイントは、対象となる顧客層への理解です。
相手が明確になっているからこそ、ピンポイントに情報を伝えることができます。
たとえば、STEP1で分類したECサイトを利用する女性層は、どのようなタイプのコスメを購入しているのかを考えていきます。
価格帯や、興味を持ってもらいやすいキャッチコピーなどを顧客目線で理解した上で、セグメントの配信メールでお知らせする商品やセール情報のキャッチコピーを決定しましょう。
なお、このような顧客の理解は分析する個人の主観に基づくものではなく、客観的なデータを使って分析することが必要です。
自社の顧客情報や購買データなどを分析するだけでなく、外部のデータを利活用し客観的な仮説を立てるようにしましょう。
セグメント配信では、顧客が自分のために送られてきたメールだと思わせるようなコミュニケーションが理想的です。
そのためには、自分に関係ないと思わせる情報を少なくする必要があります。
たとえ、好きなブランドの情報だとしても、居住地域から遠い地域の情報では関係ない情報に感じてしまうでしょう。
また、紹介する情報の焦点が定まっていないと相手に伝わる情報がぼやけます。ピンポイントに自分に向けた情報だと思わせるように心がけましょう。
「自分宛て」のメールだと思わせる手法では、強調する際に使える簡単なテクニックとして、メール配信ツールの差し込み機能が有効です。
これを使えば、顧客の名前から会員情報までをメール件名や本文中に表示させることができるでしょう。
顧客に合わせた内容のメールが届けば、名前が入っていないメールよりも強く印象に残るメールを作成可能です。
メール配信のリスト作成とセグメントごとの準備が整ったら、いよいよメール配信です。
セグメント配信では、主にメール配信ルールを利用して行います。
メール配信機能としては、メールを手軽に作れる機能や配信先リストを活用し一斉送信する機能が一般的です。
その中でも、設定に合わせて配信先を選ぶセグメント機能が付属しているツールを選ぶようにしましょう。
また、配信メールのタイミングも重要です。
顧客情報からセグメントごとにメールの開封時間を選定し、ターゲットとなる顧客層が閲覧しやすい時間帯に配信設定を合わせましょう。
セグメント配信後には、配信データを用いてメールの開封率やコンバージョン率などの効果測定を行います。
一度セグメント配信をしただけでは、効果が発揮されない場合があります。
諦めることなく回を重ねて試行錯誤しながら継続していきましょう。トライアンドエラーは、顧客を理解する要因として役立ちます。
効果測定のデータを蓄積、分析し、顧客理解をする上で、次回の戦略を立てて実行すると、改善・検証のPDCAサイクルを回す必要があります。
最後に、セグメント配信で実際に成功した事例を3つご紹介します。
顧客の生年月日データを利用し、利用者の誕生日に合わせたお祝いメッセージをクーポン特典としてLINEでセグメント配信をした事例です。
この手法はメール配信でもよく実施される手法ですが、LINE配信はメールと比べて即時性が高いため、顧客がいち早くメッセージに気づくという利点があります。
また、LINEはメッセージアプリとしての利用者が多いため、誕生日配信メッセージと非常にマッチしています。
企業のWebサイト会員向けに「地域限定の商品販売やお得情報を地域限定で送る」というセグメント配信を行った事例です。
セグメントを細分化し、メルマガ配信を行ったことで会員に合わせたマーケティングが可能にしたことで、メルマガの記事内に「地方限定の情報です」と記載していただけでは得られなかった効果を実現しています。
続いて、MA(マーケティングオートメーション)ツールを活用した見込客へのセグメントごとに最適化したメルマガ配信をした事例です。
たとえば、グローバル経営を目指すセグメントには、グローバルマーケティングに関する情報を案内するといった内容です。
単純ですが、ツールを使って作業を仕組み化することで運用コストを抑えながらも、訪問件数を1.5倍へ増加させるという効果に成功した事例もあります。
オウンドサイトでDLした資料のデータを蓄積し、ユーザー毎にどんな企画に興味があるのかを見極め、メルマガを配信した事例です。
例えば、データ活用関連の企画資料をよくDLするユーザーには、データ活用やBIソリューションに関する企画資料を送付します。
ユーザーは、自分が興味のある企画のみが送られてくるので、開封率が高くなり、商談数が増加しやすい傾向にあります。
この記事では、セグメント配信の概要からメリットとデメリット、手順まで詳しく解説してきました。
セグメントによって配信対象を細分化することで、顧客の興味関心や行動特性に合った情報を届けることが可能です。
近年は、すべての顧客に対して同じようにアプローチするマーケティング手法では通用しない多様化の時代が到来しています。
記事内で紹介したように、顧客の理解に基づいた的確なセグメント配信によって、顧客体験の充実度や顧客満足度を高めながらビジネスチャンスを拡大していきましょう。