展示会とは、企業が自社製品やサービスを紹介する場のことです。自社製品の宣伝だけではなく、見込み客の名刺獲得も見込める重要なチャネルとなっています。以下では、展示会の回数頻度・来場者の特徴・開催場所について解説します。
日本展示協会による「2019年にわが国で開催された展示会実績調査」によれば、2019年は603件の展示会が開催されています。簡単に計算すると、週に10件以上の展示会が開催されているということです。しかし、2020年以降は、コロナ禍の影響もあり展示会の開催数は大幅な減少傾向にあると考えられます。
株式会社展示会営業マーケティングの調査によれば、2020年に展示会に来店したビジネスパーソンは全体の13.1%でした。2019年の36.8%から大幅に減少した理由としては、コロナの影響が考えられます。
それでは、ビジネスパーソンはどのような目的で展示会に来訪しているのでしょうか。同調査では、「情報収集や業界トレンドの把握」が74.5%、「取引先などからの招待」が39.6%、「特定の製品やサービスの商談」が25.5%と判明しています。この調査より、展示会の来訪者は大多数は業界に関する情報収集や商談を目的としたビジネスパーソンであると言えます。
展示会は多くの人が集まるため、交通の便が良い都市で開催される傾向にあります。JETROの展示会検索で確認したところ、2022年12月時点で展示会の開催数が最も多いのは東京で239件、次いで大阪の79件、千葉の42件でした。展示会を開催もしくは出展する際は、多くの見込み客がいるエリアを特定するようにしましょう。
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展示会の種類は下記の4つです。
ここからは、自社に最適な展示会に出展できるように、各展示会の種類について解説します。
合同展示会とは、複数の企業が集まって開催するビジネスパーソンを対象にした展示会です。「社内業務効率化」や「新しい働き方支援」、「マーケティング・テクノロジー」などのテーマが設けられ、それに関連する企業が出店します。
多数の企業が参加する大規模な展示会のため、多くの来場者が参加します。そのため、効果的な認知度拡大や見込み客獲得などを期待できるでしょう。
セール展示即売会とは、商品の展示から販売までを目的にした展示会です。その場で購入できるため、安価な製品を取り扱うBtoC企業が多く集まる傾向にあります。来場者には、製品の確認ができるだけではなく、中間業者を挟まないため市場価格よりも安価で購入できるメリットがあるのです。
プライベート展示会とは、企業が単独で開催する展示会です。主に資金に余裕があり、多くの顧客を抱える大手企業が開催します。プライベート展示会に来場できるのは、開催企業から招待を受けた顧客のみです。そのため、既存顧客や株主などの重要ステークホルダーとの関係性の強化を目的に開催されます。
パブリック展示会とは、一般来場者向けに公開された展示会のことです。代表的なパブリック展示会は、コミックマーケットやモーターショー。合同展示会と同様に、多くの企業が集まって開催されます。しかし、合同展示会はビジネスパーソンを対象にしたBtoB向け展示会であるのに対し、パブリック展示会は一般消費者を対象にしたBtoC向け展示会という違いがあります。
展示会に出展するメリットは下記のとおりです。
以下では、各メリットの詳細について解説します。
展示会に出展すれば、多くの来場者に自社商材について知ってもらえます。日本展示協会の調査では、2019年の総来場者数は約749万人でした。年間603件の展示会が開催されていたため、単純計算すると1回の展示会で1万2千人以上参加したということになります。
展示会の規模によって来場者数は大きく異なりますが、展示会に出展することで数百人から数千人の顧客にリーチできる可能性があるのは、大きな魅力でしょう。
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展示会に参加する来訪者は、展示会で取り扱うテーマやトピックについて興味を持っています。つまり、展示会に出展すれば、自社製品に興味を持つ多くの潜在顧客と接点を構築できるのです。
また、展示会では来場者と名刺交換するのが一般的。名刺交換した来場者の中には、商談から受注に至る顧客もいるため、BtoB企業の重要なマーケティングチャネルとみなされています。
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展示会には、既存顧客を招待することもできます。既存顧客に自社の新製品や業績などを伝えれば、既存顧客の信頼感を高められます。また、既存顧客のニーズを特定し、適切な提案をすることで、アップセルやクロスセルにも期待できるのです。展示会に既存顧客を招待し、LTV(顧客生涯価値)や顧客単価を高めましょう。
展示会の出展に興味があるものの、自社に最適な展示会を見つけられないと悩むマーケティング担当者は少なくありません。そこでここからは、展示会を見つける3つの方法をご紹介します。
JETROの公式サイトでは、これから開催される展示会や展示会の関連ニュースを確認できます。まずはJETROで自社に適した展示会をリストアップし、各主催者に詳細を尋ねましょう。また、自社で展示会を開催する場合は、J-messeの「見本市・展示会データベース」に無料で登録できるため、プロモーションに活用しましょう。
「見本市展示会総合ハンドブック」とは、国内850件の展示会情報が掲載されている書籍です。業種別や月間別、都市別などの開催スケジュールが掲載されており、自社に適した展示会を見つけられるでしょう。有料となりますが、展示会マーケティングに注力する場合は、購入しておくのがおすすめです。
その他、SNSやWeb上のプレスリリースなどでも展示会情報がシェアされているので、定期的に確認しておきましょう。
展示会への出展からフォローまでの流れは以下の通りです。
ここからは、各ステップの詳細を解説します。
まずは展示会に出展する目標を明確にしましょう。展示会出展の主な目標は以下の通りです。
上記の中から、自社状況にあった目標を選びましょう。目標は複数設定することも可能ですが、展示会の期間は限られているため、目標に優先順位をつけるようにしましょう。
目標を選んだら、展示会におけるKPIを設定します。基本的に、展示会のKPIは「名刺獲得数」「商談数」「アンケート獲得数」のいずれかになるでしょう。
展示会の出展には数百万円の費用がかかることは珍しくありません。出展する展示会を決めたものの、予算オーバーという事態を避けるためにも、まずは予算を決めましょう。展示会予算は下記の計算式で算出します。
例えば、名刺の目標獲得数が2,000枚で獲得単価が5,000円なら、予算は1千万円となります。しかし、展示会の出展にはブース作成費や人件費、広告費なども発生することを忘れてはいけません。展示会の出展自体にもかかる費用を計算し、目標やブース作成費などを調整しましょう。
予算が決まったら、展示会の選定と申し込みをします。多くの展示会は、翌年のブースの申し込みを受け付けています。展示会には莫大なコストがかかるからこそ、早めに準備をすることが重要です。そのため、遅くとも開催の半年前、可能ならば1年前には申し込みましょう。
展示会の申し込み時に小間位置を選ぶ場合、多くの来場者の目につく入り口付近もしくはセミナー会場周辺を確保したいところです。
展示会のブース作成は、施行会社や代理店に依頼するのが一般的です。代理店に依頼する場合は、数回の打ち合わせをし、自社が準備する範囲を明確にしておきましょう。
展示会当日に、多くの来場者に自社ブースに来てもらえるように、準備をしながら集客も実施しましょう。主な集客チャネルはメールです。既に自社と接点を持っている顧客に、メールを通して展示会のプロモーションを伝えましょう。
なお展示会の告知は、定期的に行うのがおすすめです。基本的には、展示会の1か月前と1週間前には欠かさず告知をしましょう。展示会が数日にわたって開催される場合、2日目以降に展示会の様子を写真付きで報告すれば、顧客の興味関心を効果的に高められます。
経営層や意思決定者などの重要ステークホルダーに来てほしい場合は、展示会への招待をしましょう。意思決定者の多くは忙しい日々を送っているため、2か月前には招待状を送り、スケジュールを確保してもらいます。
また、顧客を招待する際は、メールではなく手書きの手紙を送ります。手紙を送った後は営業から電話を入れる、もしくは営業が直接手紙を届けるのも、熱意を見せられるため参加率の向上を見込めるでしょう。
下記の記事で集客効果を高める展示会の案内状の作成方法について詳しく解説しています。
・テンプレ付き!展示会の案内状の作成ポイントと送るタイミング!
展示会開催前には、ミーティングを行い、下記項目をスタッフ全員で再確認しましょう。
運営が始まったら、1~2時間ごとに成果を把握します。成果のペースが遅く、目標達成が難しい場合は、すぐに原因の特定と改善策の実施をしましょう。展示会の期間は限られているため、高速でPDCAを回さなければ、目標達成は難しいです。その日の展示会終わりではなく、その場で改善するようにしましょう。
展示会が終わったら再度ミーティングを開き、目標の達成状況やよくある質問、注意事項、翌日の目標などを共有します。その日に獲得したアンケートや商談シートで、すぐに対応が必要となる顧客がいる場合は、その日のうちに担当に引き継ぎましょう。
下記の記事で展示会でアンケートの回答率を高めるコツについて詳しく解説しています。
・【例文付き】展示会アンケートが重要な理由と作成ポイントを解説
展示会は終了してからが本番です。展示会で獲得したリードに、素早くフォローアップをしましょう。例えば、展示会から5日後や7日後などにフォローアップをしても、リードの熱意は下がっているため、商談につながる確率は低いでしょう。展示会の翌日、遅くとも2日後には電話やメールでフォローをしましょう。
素早くフォローを実施するには、事前準備が必須です。名刺やアンケートを電子化する期日や優先度の高い顧客の定義、フォロー方法、お礼メールの内容と配信日などを決めてから、展示会に臨みましょう。
下記の記事で展示会後のお礼メールの作成方法について詳しく解説しています。
・【例文付き】効果的な展示会後のお礼メールの作り方!
展示会を成功させるためには、下記3つのポイントを抑えてください。
以下では、それぞれのポイントを解説します。
展示会に注力する場合は、運営マニュアルを作成するのがおすすめです。運営マニュアルの作成により、円滑な運営で来場者に最適な体験を提供できるようになります。スタッフの接客の質を保て、フォローも迅速にできるようになるでしょう。
運営マニュアル作成の際は、下記項目を入れるようにしましょう。
接客の質を保てるマニュアル作成に注力しましょう。展示会では、スタッフが来場者に声かけをして、適切な接客をすることが重要です。しかし、展示会スタッフの中には接客に慣れていないメンバーも多くいるため、事前にマニュアルで接客の質を確保しましょう。
また、マニュアルに展示会で得られたノウハウや知見を蓄積することで、次回以降の展示会にも活用できます。
展示会では、メンバーのモチベーションを維持しなければいけません。例えば、スタッフに活気があって明るい雰囲気のブースとスタッフが挨拶をしていないブースがあった場合、あなたはどちらのブースに訪れたいでしょうか。多くの方が、活気のあるブースを選ぶはずです。
メンバーのモチベーションを維持するためには、スタッフに自社の顔であり、笑顔で接客することを伝えましょう。また、事前に社内で展示会の練習をしてメンバーの緊張をほぐしたり、当日もメンバーを丁寧にフォローしたりするのも、モチベーションの維持に効果的です。
展示会に出展すると分かりますが、興味本位でブースに立ち寄るだけの見込みのない顧客が一定数います。見込みのない顧客に時間をかけるのは非効率なので、数分で切り上げるようにしましょう。
見込み客とそうでない顧客を見極める方法としては、事前にターゲットを明確に設定するのが有効です。ターゲットを設定したら、メンバーとの共有は当然ながら、マニュアルにも記載しましょう。
ブースに訪れた顧客と少し会話をし、ターゲットかどうかを見極めます。見込みのない顧客と分かった場合は、「簡単にご説明いたします」などと言い、すぐに切り上げるようにしましょう。見込みのない顧客に時間をかけないことで、メインターゲットに多くの時間をさけるようになり、名刺獲得数や商談数の増加を見込めます。
展示会成功のカギは、徹底した事前準備にあります。ブース設計からマニュアル作成、アンケート、お礼メールなどを用意しておきましょう。早い段階で準備を進めることで、当日は円滑な運営を実施でき、名刺や商談獲得数などの目標達成ができるでしょう。
また、近年はコロナ禍の影響もあり、オンライン展示会が増加しています。オンライン展示会なら、企業側は低コストで出展できる、訪問者は地理的制約を取り除いて参加できるなどのメリットがあります。Tech+でも多くの展示会を掲載しているので、ぜひご利用くださいませ。