ウェビナーの開催方法・配信形式は主に3つの種類があります。ウェビナーの目的やターゲット、コンテンツ内容にあわせて最適な方法を選ぶことが、成果を最大化する第一歩です。
以下、配信方式ごとの特徴とポイントを解説します。
リアルタイム配信は、テレビの生放送のようにライブ形式でウェビナーを実施する方法です。開催日時に集まった主催者と参加者が、一体となってセミナーを作り上げていくイメージを持つとよいでしょう。
リアルタイム配信の最大の魅力はライブ感です。チャットやQ&A機能を使えば、参加者とリアルタイムでコミュニケーションが取れ、疑問をその場で解消できるなど、活気ある質疑応答が期待できます。
リアルタイム配信は新製品発表会や専門的なセミナーなど、参加者との双方向性が重視される場合に特に有効です。参加者の熱意を直接感じられるのも大きなメリットで、満足度の向上や内容の深い理解につながります。
ただし、生放送であるため、映像や音声トラブルに対する十分な備えが不可欠です。また、一度発信した内容の修正は困難なため、事前のリハーサルを入念に行うことが求められます。
オンデマンド配信(録画配信)は、事前に収録・編集した動画コンテンツを参加者が好きなタイミングで視聴できる形式です。参加者が自分のペースで内容を理解したい場合や、企業が質の高いコンテンツを継続的に提供したい場合に適しています。
視聴者にとってオンデマンド配信形式は時間や場所に縛られることなく、再生、一時停止、早送り、巻き戻しなどを自由にできることがメリットです。
企業側は事前にコンテンツを編集できるため、質の高い情報提供やブランドイメージに沿った演出が可能です。一度作成したコンテンツを繰り返し活用できるため、研修資料や製品デモンストレーション、過去イベントのアーカイブなど、多様な用途に活用できます。
ハイブリッド配信はライブ配信とオンデマンド配信を組みあわせた方法です。開催する企業は、イベントの臨場感を保ちつつ、多くの人が時間的な制約なくアクセスできる環境を提供できます。
ハイブリッド配信の開催例としては、まずセミナーやイベント会場の様子をライブ配信し、オンラインからもリアルタイムで参加できるようにします。その後、ライブ配信の録画映像を編集し、オンデマンドコンテンツとして公開・提供するといった流れが代表的です。
ハイブリッド配信は多様化する視聴者のニーズに応え、機会損失を防ぐという観点からも、現代のウェビナー戦略において重要な選択肢の一つです。リアルタイムの熱気や一体感を伝えながら、当日参加できなかった方や内容を再確認したい方へのフォローも可能になり、イベント全体の価値を高められます。
ウェビナーの開催方法にはリアルタイム配信、オンデマンド配信、ハイブリッド配信の3種類があると説明しましたが、自社の目的や状況に最適なものを選ぶことが重要です。
ウェビナーの開催方法を選ぶ際のポイントは以下の4つです。
各ポイントを慎重に検討し、効果的なウェビナー戦略を立てていきましょう。
ウェビナーを開催するうえで、最初に明確にすべきことが「何のためにウェビナーを行うのか?」という目的です。ウェビナーの目的が決まらないと、配信形式や内容、成果を測る指標(KPI)も定まりません。
たとえば下表のように、目的によってアプローチは変わってきます。
目的 |
推奨コンテンツ |
活用したい配信形式 |
ウェビナー後のアクション |
新規見込み顧客の獲得 (リードジェネレーション) |
幅広い層が興味を持つ情報提供型コンテンツ |
・リアルタイム配信 ・オンデマンド配信 ・ハイブリッド配信 |
・アンケートでニーズ把握 ・MAツールでスコアリング ・営業へ連携 |
既存顧客への製品説明 (製品デモンストレーション) |
製品の魅力や操作方法をわかりやすく解説するコンテンツ |
・リアルタイム配信 ・ハイブリッド配信 |
・質疑応答で疑問解消 ・購入・契約へ誘導 |
社内研修 |
理解度向上を目指す教育コンテンツ |
・ライブ配信 ・オンデマンド配信 |
・理解度テスト実施 ・十分な質疑応答時間確保 |
目的を具体的にすることで、「誰に、何を、どう届け、どのような成果を目指すか」というウェビナーの全体像が明らかになり、最適な開催方法が自然と絞り込めます。
ウェビナーのターゲット像を具体化しておくことも大切です。業種、役職、働き方、ITスキルを考慮して、参加しやすく内容に集中できる開催方法を選択しましょう。
たとえば、以下のような使い分けが効果的です。
開催前に参加方法や配信ツールの使い方を丁寧に案内しておくと、ITに不慣れな方も安心でき、参加率や満足度の向上につながります。
ウェビナーを計画する上で、視聴者とどれくらい深くコミュニケーションを図りたいかによって、最適な配信形式や活用すべき機能は大きく変わります。リアルタイムの質疑応答やチャット、投票といった双方向性は、参加者のエンゲージメントと理解度を高め、満足度向上につながります。
活発に意見交換したいなら、Q&A・チャット機能が充実したZoomなどでのライブ配信が最適です。モデレーターやスクリプトの準備も運営を円滑にします。情報提供を主な目的とするならオンデマンド配信も有効です。目指すコミュニケーションの形を具体的にイメージして、開催方法を選びましょう。
コミュニケーション重視度 |
推奨形式 |
活用したい機能 |
運営のポイント |
【高】リアルタイムで活発な質疑応答をしたい |
ライブ配信 |
・Q&A ・チャット ・投票 ・挙手 |
・モデレーターの配置 ・スクリプトの準備 |
【中】チャットは活用しつつ、質問は一部対応したい |
ライブ配信 疑似ライブ配信 |
・チャット ・時間内Q&A |
・チャット監視 ・FAQの準備 |
【低】情報提供がメイン、 質問は別途受け付けたい |
オンデマンド配信 資料配布 |
・コメント機能 ・問い合わせフォーム |
・視聴後のアンケートで質問収集 |
ウェビナーの開催方法を選ぶ際は、予算と社内リソース(人員・時間・スキル)の現実的な見極めが重要です。予算オーバーやリソース不足になって頓挫しては元も子もありません。無理なく最大の効果を目指しましょう。
【予算や社内リソースを抑えたい場合】
YouTube LiveやGoogle Meetといった無料プランのある配信ツールを選定し、集客も自社のSNSアカウントや既存顧客へのメール配信を中心にすることで、費用を最小限に抑えることが可能です。
ただし、無料ツールは機能が限定的であったり、サポート体制が十分でなかったりする場合があるため注意が必要です。
人員面では、企画から配信、フォローアップまで少人数、あるいは一人の担当者が兼務することも想定されます。そのため、準備や運営にかかる時間を効率化する工夫や、高度な技術スキルを必要としないシンプルな運営方法が求められます。
【ある程度 予算や社内リソースがある場合】
Zoomウェビナーの有料プランやネクプロ、V-CUBEなどの多機能な国産ツール 、Web広告による集客などを検討できます。事前に費用対効果をシミュレーションしておくと、社内承認もスムーズに進みやすいでしょう。
人員面に余裕があれば、企画担当、配信技術担当、集客担当、司会者、登壇者、Q&A対応担当など、専門的な役割分担が可能になり、より質の高いウェビナー運営が期待できます。その分、各担当者が取られる時間(工数)や連携のためのコミュニケーションコストも考慮に入れる必要があります。自社対応が難しければ、専門業者への依頼も選択肢となります。
ウェビナーを成功に導くためには、念入りな準備が欠かせません。ツールの選定から資料作成まで、一つひとつの事前準備が円滑な運営や魅力的な配信につながります。
ウェビナーを開催する際に必要な準備は、以下の4つです。
ZoomやTeamsなどのウェビナー配信ツールは数多く存在し、それぞれ機能や特徴が異なります。ウェビナーを成功させるためには、目的に合ったツールを選ぶことが不可欠です。ここでは、具体的な選定ポイントを解説します。
ツールによって対応できる最大参加者数は異なります。無料プランや安価なプランでは数十名程度、有料プランやエンタープライズ向けでは数百名から数千名規模に対応できるものもあります。将来の規模拡大も見据えて、余裕を持ったキャパシティのツールを選びましょう。
配信ツールの料金体系は、月額固定制、従量課金制、年間契約など様々です。無料プランでも基本的な機能は利用できますが、参加人数制限や機能制限がある場合がほとんどです。必要な機能と予算のバランスを考慮し、初期費用だけでなくランニングコストも含めて比較検討しましょう。
ウェビナー参加者との双方向性を重視するならQ&Aや投票、チャットなどの機能が必要です。リアルタイムでの質疑応答を活発にしたい場合はQ&A機能、参加者の意見を即座に集約したい場合は投票機能、気軽にコメントを促したい場合はチャット機能が有効です。
ウェビナーを録画して、後日オンデマンド配信したり、社内共有したりすることを想定している場合、録画機能は必須です。クラウド録画かローカル録画か、録画時間や保存容量の制限、編集機能の有無などを確認しましょう。
特にBtoBマーケティングにおいては、ウェビナーで獲得したリード情報や参加者データを既存の顧客管理システム(CRM)やマーケティングオートメーション(MA)ツールとスムーズに連携できるかが重要になります。手動でのデータ移行は手間がかかり、ミスも発生しやすいため、自動連携機能の有無や対応しているツールを確認しましょう。
各ツールの特徴や料金、サポートを比較し、無料トライアルで事前確認することを推奨します。自社のニーズに合わないと成果が出ず、参加者にも不便をかけるため慎重に選定しましょう。
以下の記事でおすすめのウェビナーツールについて詳しく解説しています。ツール選びに悩んでいる方はぜひチェックしてください。
ウェビナーの印象は、映像や音声の品質に大きく左右されます。内容がよくても、映像が不鮮明、音声が不明瞭では視聴体験が低下し、途中離脱の原因にもなりかねません。より良い画質や音質を目指すなら、PC内蔵ではなく専用の外部機器を準備することを推奨します。
カメラは最低フルHD(1920x1080ピクセル)画質、フレームレート30fps以上の外部Webカメラを選びましょう。光量の少ない場所でもノイズが少なくなるCMOSセンサー搭載モデルがおすすめです。
マイクは雑音を拾いにくくクリアな音声が特徴の単一指向性USBマイクやヘッドセットが適しています。照明も重要です。リングライトなどで顔を明るく映せば映像全体の質感が向上します。機材を調達できたら、必ず配信ツールとの接続テストとリハーサルを行いましょう。
ウェビナーにおすすめのカメラについては以下の記事で解説しています。ウェビナーで使用するカメラ選びでお悩みの方はぜひ参考にしてください。
ウェビナーを配信・撮影する場所も品質に大きく影響します。まず静音性です。外部騒音やオフィス内の雑音、自宅の生活音は集中を妨げるため、静かな個室を確保しましょう。次に背景です。整理整頓を基本として、生活感の映り込みは避けましょう。無地の壁やロゴパネル、バーチャル背景(グリーンバック併用推奨)を使用するのがおすすめです。
もっとも重要なのが安定したインターネット環境です。可能な限り有線LAN接続を使用し、アップロード速度は最低でも10Mbps以上(推奨20Mbps以上)を確保しましょう。事前に回線速度テストサイトでチェックした上で、バックアップ回線としてモバイル接続ができる環境を用意しておくこと安心です。
事前にトークスクリプト(台本)を作成したり、わかりやすいプレゼン資料を準備することもウェビナーの成功に不可欠です。トークスクリプトは、ウェビナー全体の流れや時間配分を管理し、伝えるべき情報を漏れなく構成するために役立ちます。挨拶からCTAまで含め、BtoBでは課題解決型のストーリー構成が効果的です。
プレゼン資料は「1スライド1メッセージ」を基本に、図やイラストを効果的に活用し、情報を詰め込みすぎないように構成するのがポイントです。フォントや配色も見やすさとブランドイメージを考慮しましょう。
完成後はトークスクリプトと資料を活用しながら複数人でリハーサルし、確認・修正を重ねることで、より完成度の高いウェビナーを実現できます。
ウェビナーの司会台本や資料作成の手順については以下の記事で解説しています。台本作りや資料作成で悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
ここでは、ウェビナーを成功に導くための5つのステップをはじめて開催する方にもわかりやすく解説します。
ウェビナーは、しっかりと手順を踏んで開催することで、効果を期待しやすくなります。準備から当日までのステップをひとつずつ進め、魅力的なウェビナーを開催しましょう。
ウェビナーを成功させるための第一歩は、明確な目的設定と誰に何を伝えるかを具体化する企画準備です。この初期計画が、全体の方向性と成果を大きく左右します。
たとえば「新製品認知度20%向上、見込み客100件獲得」などの具体的な目標を立てましょう。次に「中小企業の30代マーケター、業務効率化に関心」といった詳細なペルソナを設定し、その課題やニーズを深掘りします。
BtoBなら技術詳細や導入事例、BtoCならライフスタイルの変化など、ターゲットにあわせたテーマと内容を検討することが重要です。
魅力的なウェビナーも、情報がターゲットに届かなければ参加者は集まりません。効果的な集客・告知は成果を左右する重要プロセスです。まずターゲットが利用する情報チャネルを把握し、メルマガやSNS広告、オウンドメディアなどを組みあわせた計画を立てましょう。たとえば、以下のような施策・計画を立てるのがおすすめです。
なお、SNS広告をはじめとするオンライン広告の活用方法や、メルマガ、オウンドメディアのより詳細な運用については、以下の記事で詳しく解説しています。ウェビナー集客の幅をさらに広げたい方は、ぜひ参考にしてください。
・【2024年版】オンライン広告とは?広告支援のプロが種類から事例まで解説!
ウェビナー当日の運営は、参加者の満足度と企業の印象を左右します。スムーズな進行と参加者に配慮した丁寧な対応で価値ある時間を提供することが大切です。そのためには、徹底したリハーサルと明確な役割分担が必要となります。
司会者、登壇者、Q&A担当などの役割を定め、タスクや連携を記した進行スケジュールやトークスクリプトを準備します。Q&A担当は質問へ迅速かつ丁寧に対応し、双方向のコミュニケーションでエンゲージメントの向上を目指しましょう。
技術面では、開始までにゆとりを持って時間を確保し、PCやマイクなど機材の最終チェックとツールの動作確認を行いましょう。画面共有や音声・映像品質も入念にテストします。万が一のトラブルに備え、代替機材や対応手順の事前共有も重要です。
以下の記事で、ウェビナーの質疑応答について解説しています。ウェビナーの質疑応答で悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
ウェビナーをビジネスチャンスにつなげるためには、開催後の迅速かつ戦略的なフォローアップが不可欠です。参加者との関係を継続し、見込み顧客を育成するプロセスと捉えてください。
まず、ウェビナー終了後は遅くとも24時間以内を目安に、参加者全員へお礼メールを送信します。その際、資料ダウンロードリンクやアーカイブ動画のURL、アンケート協力依頼も忘れずに記載しましょう。
集まったアンケート結果や参加者の行動データを分析し、関心度やニーズを把握することが大切です。これらの情報をもとに、MA(マーケティングオートメーション)ツールなどを活用して参加者をセグメント化し、それぞれにあわせた情報提供やアプローチを行います。
たとえば、個別相談を希望する参加者へは、営業担当者が速やかに連絡を取り、商談へとつなげます。きめ細やかなフォローを通じて、継続的な関係構築を目指しましょう。
ウェビナーは開催したら終わりではなく、成果を客観的なデータで評価し、改善を重ねることが長期的な成功に不可欠です。効果測定で得られた知見を次回の企画に活かし、質の高い情報提供と投資対効果の向上を目指しましょう。
まず、企画時に設定したKPI(申込数・参加率・アンケート回答率・CVRなど)を集計し、目標達成度を検証します。未達成の項目は、原因を深く掘り下げて考えます。分析結果をチームで共有し、改善策を次回の計画に反映するPDCAサイクルを回すことが、ウェビナーの質や運営能力の向上につながります。
以下の記事でウェビナーの分析方法について解説しています。ウェビナーの分析方法でお困りの方はぜひ参考にしてください。
ウェビナーを通じてビジネスの成果を最大限に引き出すためには、以下の行動を実践しましょう。
上記のポイントをしっかり実践することで、より成果のつながるウェビナー運営が可能になるでしょう。
以下の記事でウェビナーの集客方法や成功のコツを解説しています。ウェビナー集客の方法でお困りの方はぜひ参考にしてください。
ウェビナーでより大きな成果や運営の質向上を目指したい場合は、専門の支援サービスを利用することも有効です。自社だけでは対応が難しい領域もプロの力を活用すれば可能となります。
とくに以下のポイントは、ウェビナーに取り組もうとする企業の多くが直面する課題です。
ウェビナー開催は企画から分析まで専門知識が求められ、通常業務との兼任で対応するには困難が伴います。成果が伸び悩んでいるなら、第三者の目線で改善の糸口を見つけるためにも専門家との連携を検討しましょう。
TECH+ではBtoB企業向けにウェビナー企画・運営を支援しています。特に「協賛型ウェビナー」では、TECH+が企画したトレンドテーマのウェビナーを通して自社サービスを効果的にアピールできるため、運営の手間を大幅に削減し、集客にリソースを割く必要もありません。
一方、「カスタマイズ型サービス」では、これまでの実績にもとづき、お客様の目的やターゲットにあわせて、企画立案から集客、撮影・配信、当日のスムーズな運営まで、丁寧にサポートしています。
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