プロダクトマーケティングとは?必要性、やり方を徹底解説!

プロダクトマーケティングとは?必要性、やり方を徹底解説!

大手メーカーを中心に製品に特化したマーケティングが行われるようになりました。

このマーケティング手法と「プロダクトマーケティング」といいます。

なぜ、プロダクトマーケティングを行う必要があるのでしょうか?どのような効果が見込めるのでしょうか?

今回はプロダクトマーケティングについて詳しく解説します。

この記事を読めば、プロダクトマーケティングのやり方まで分かるようになるため、ぜひ参考にしてみてください。

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【1】プロダクトマーケティングとは

プロダクトマーケティングとは、製品に特化したマーケティングを行うための手法をいいます。

大手メーカーを中心に取り組まれており、4P戦略に沿ってマーケティング施策を考案していきます。

【4P戦略】

  • Product:自社製品の概要やコンセプトを決める
  • Price:自社製品の価格を決める
  • Place:自社製品を販売する場所や方法を決める
  • Promotion:広告宣伝の方法を決める

日本企業はモノづくりの技術力が高いのに、マーケティングが弱いと言われています。

マーケティングが弱いと、新製品を開発しても差別化ができずに価格競争に陥ってしまうかもしれません。このような事態を避けるために、製品の価値を伝えるプロダクトマーケティングに取り組む必要が出てきました。

1.マーケティングとの違い

マーケティングとは、商品が売れる仕組みをつくることをいいます。世の中の人が求めている商品を探り、提供するための活動の総称です。市場調査で新商品を企画したり、プロモーション手法を検討したり活動内容は多岐に渡ります。

その一方でプロダクトマーケティングは、自社製品を市場に浸透させるための仕組みをつくることをいいます。自社製品の認知度拡大、販売促進、カスタマーサポートまでの活動の総称です。

このように、マーケティングとプロダクトマーケティングでは「マーケティング施策を展開する目的」や「活動内容」が異なります。

2.プロダクトマネジメントとの違い

プロダクトマネジメントは製品の品質管理を意味します。市場調査をしてターゲット顧客を定めて製品開発を行います。つまり、プロダクトマネジメントとは市場で製品が販売される前の段階の活動を指すのです。

その一方で、プロダクトマーケティングは製品が売れる仕組みづくりを意味します。

つまり、プロダクトマーケティングはプロダクトを販売するための施策の考案を指すのです。このように、プロダクトマネジメントとプロダクトマーケティングは「業務範囲」が異なります。

 

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【2】プロダクトマーケティングの必要性

プロダクトマーケティングが必要な理由は、消費者ニーズの多様化が起きているためです。昔は今のようにモノが溢れておらず、自社製品を開発して販売すれば売れました。

そのため、大手メーカーでは大衆向けに情報提供できるテレビCMや新聞広告などマスマーケティングを利用していたのです。

しかし、世の中にモノが溢れ始めてきて、消費者が商品を選べるようになりました。インターネットの普及で、商品の比較・検討もできるようになり、自分の好みの商品が選べるようになりました。

つまり、商品を購入するまでのプロセスが変化しており「自社で作ったモノを売る」から「売れるモノを作る」にシフトしてきているのです。このような背景から、プロダクトマーケティングが注目を浴び始めています。

【3】プロダクトマーケティングで必要なスキル

プロダクトマーケティングの必要性は理解できたと思いますが、取り組む際にはどのようなスキルが必要なのでしょうか?次にプロダクトマーケティングで必要なスキルをご紹介します。

1.リサーチ力

プロダクトマーケティングは「売れるモノを作る」を目標としており、相手にどのような価値を提供すれば支持が得られるのかリサーチする能力が求められます。

ターゲットとなる顧客が抱えている課題を洗い出して、それを解決できる製品を開発していきます。そのため、優れたリサーチ力だけでなく、豊富な知識と柔軟な思考も必要です。

売れるモノを作るためには顧客理解が欠かせません。そのため、リサート力を鍛えておくようにしましょう。

2.マーケティング力

自社製品の知名度を上げたり、販売促進の方法を考えたりするためにマーケティング力も必要です。開発した製品を「誰に」「どこで」「どのように」販売していくかを考えていきます。製品に見合うマーケティング、セールス手法を採択し売上を最大化していきます。

プロモーションの仕方にはさまざまな方法があるため、幅広い知識が求められます。

3.販売戦略の設計力

素晴らしい製品を開発しても、マーケティングが弱いと新製品を開発しても差別化ができずに価格競争に陥ってしまいます。このような事態に陥らないように、販売戦略を考えていかなければいけません。

販売戦略の設計は市場調査やターゲット選定、ポジショニング、コンセプト設計、ライフサイクルマネジメントなど多岐に渡ります。したがって、ビジネスフレームワークを使用して、根拠に基づいた販売戦略を設計できる力が求められます。

【4】プロダクトマーケティングのやり方

プロダクションマーケティングの手順は以下の通りです。

  1. ターゲットを明確にする
  2. ポジショニングを考える
  3. ポジショニングを社内共有する
  4. プロダクトマーケティングの計画を練る
  5. マーケティング施策のコンテンツを作る
  6. 顧客エンゲージメントを高める

ここでは、具体的なやり方をご紹介します。

1.ターゲットを明確にする

売れるモノづくりを実現するためには、誰がターゲットなのかを定めてニーズを確保しなければいけません。

  • 製品のターゲット顧客は誰か
  • なぜ製品を顧客が購入してくれるのか
  • 顧客は製品で何をしたいのか
  • 他社製品と自社製品は何が違うのか

上記のようにターゲットとなる顧客を定めて、顧客ニーズを可視化しましょう。市場に需要がなければ素晴らしい製品を開発しても売れません。これらを踏まえずに製品販売を進めるとプロダクトマーケティングが失敗に終わってしまいます。

そのため、ターゲットを定めて需要があるかどうか入念に調査しましょう。

2.ポジショニングを考える

ポジショニングとは、競合製品と比較して自社製品の強みと弱みを確認することをいいます。自社製品の強みと弱みを把握することで、他社製品と並んでも消費者の心を掴みやすくなります。

他社製品より優れている部分が多ければ、価格競争に陥ることもなく自社製品を選んでもらえるようになるでしょう。そのため、自社製品の強みと弱みを把握するためにポジショニングを考えてみてください。

3.ポジショニングを社内共有する

プロダクトマーケティングは、売れるモノづくりを目指して製品企画からカスタマーサクセスまで複数の部署が協力し合う必要があります。そのため、各部署で情報共有が欠かせません。社内でポジションニングに関する情報を共有しておかなければ、ターゲット顧客がズレてしまい製品が販売しづらくなります。

または、事業の方向性を修正しなくてはいけなくなり、ムダな工程が発生してしまいます。このような問題を防止し、売れるモノづくりを実現するためにも、社内でポジショニングに関する情報を共有しましょう。

4.プロダクトマーケティングの計画を練る

プロダクトのポジショニングについて社内共有をしたら、プロダクトマーケティングの計画を立てていきます。プロダクトマーケティングの計画で決めるものとして、以下のような内容があげられます。

  • プロジェクト全体の構成
  • プロジェクトの目標
  • プロジェクトの予算
  • マーケティング活動の進め方
  • カスタマージャーニーマップを作成
  • マーケティング活動内で行うキャンペーン例
  • 顧客サポートの内容

プロダクトマーケティングを無計画に進めると失敗に終わってしまいます。そのため、上記の内容を決めましょう。全てが計画通りにいくわけではないですが、計画を立てることで実行に移しやすくなります。

5.マーケティング施策のコンテンツを作る

マーケティングの計画を作成したら、プロダクトの広告宣伝方法を決めていきます。広告宣伝は認知度拡大や販売促進を目的として行うものです。

ターゲットの属性、タッチポイント(顧客と広告の接点)に見合うマーケティング施策を選ぶようにしましょう。コンテンツを制作する場合は、顧客ニーズに訴求するようなクリエイティブを心がけると反響が獲得しやすくなります。

6.顧客エンゲージメントを高める

マーケティング施策を実行したら、同時に顧客エンゲージメントを高めるために行動していきましょう。例えば、資料請求してくれた顧客に対して資料が届いたか、他に知りたいことはないかなどコンタクトを取っていきます。

見込み顧客にコンタクトをとる場合は、相手が求めている情報を提供するなどして、信頼関係を構築していきましょう。また、見込み顧客が自社製品を購入してくれた後もサポートすることが大切です。

既存顧客との関係を良いものにすることで、クロスセル(別の商品を購入してもらうこと)やアップセル(ランクの高い商品を購入してもらうこと)が期待できて顧客生涯価値を最大化できます。

 

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【5】プロダクトマーケティングのコツ

プロダクトマーケティングのやり方をご紹介しましたが、成果を出すためのコツを覚えてきましょう。

1.4C分析を行う

プロダクトマーケティングは、売れる製品を開発して販売するための施策です。そのため、定期的に顧客ニーズを4C分析で検証する必要があります。

下記の表に4C分析をまとめていますが、各項目の中でも「Customer Cost」が重要です。なぜなら、顧客がお金を払っても製品を購入する理由を見つけられれば、顧客のニーズを満たせるためです。

【4C分析…顧客視点で考えるマーケティング戦略】

  • Customer Value:顧客にとっての価値
  • Customer Cost:顧客のコスト(負担)
  • Convenience:容易に入手できるか、利便性
  • Communication:コミュニケーション

2.プロダクト開発にストーリー性を持たせる

プロダクト開発に持たせるストーリー性は、市場調査と顧客ニーズ調査に基づいて共感が得られる製品を開発するために必要なものです。

モノが溢れている現代では、類似製品が溢れており、プロダクト開発にストーリーがないと差別化ができなくなってきました。そのため、消費者の購買意欲を刺激する製品のストーリー性が重要となってきます。

近頃は、SNSで情報が拡散される時代のため、消費者の心を掴むような製品開発のストーリーを考えておきましょう。

3.プロダクトサイクルを踏まえる

プロダクトマーケティングの施策は、常に同じ施策が有効となるわけではありません。プロダクトサイクルに沿って施策を変化させていくことが大切です。

【プロダクトサイクル】

  • 導入期:プロダクトが市場参入した直後のため、認知拡大が最優先の時期
  • 成長期:プロダクトが認知されて販売促進ができ、売上と利益が上昇していく時期
  • 成熟期:プロダクトの成長が頭打ちとなり、シェアの維持が必要となる時期
  • 衰退期:売上が減少するだけでなく、顧客維持が難しく撤退を考える時期

それぞれの時期においてプロダクトマーケティングの対策を考えておかないと、マーケットの変化に対応できず、急速に衰退してしまう恐れがあります。そのため、プロダクトサイクルを考慮してマーケティング施策を立案しておきましょう。

【6】プロダクトマーケティングの成功事例

プロダクトマーケティングのやり方をご紹介しましたが、取り組んでいる企業は、どのような効果が見込めているのでしょうか?ここでは、プロダクトマーケティングの成功事例をご紹介します。

1.レッドブル・ジャパン株式会社

成功事例1-1出典元:『レッドブル・ジャパン株式会社 公式ホームページ

レッドブル・ジャパン株式会社が栄養補給ドリンク「RedBule」を販売している会社です。栄養補給ドリンクは種類が豊富ですが、どの商品も疲労回復を製品コンセプトにしています。そのような競合製品と差別化するために、エネジードリンクというコンセプトで差別化しました。

「スポーツで結果を出したい」「仕事を乗り切りたい」とエネルギー補給したいときに飲むドリンクと定義するなど、ポジショニングで成果を出している企業です。

2.ハーゲンダッツジャパン株式会社

成功事例2-1出典元:『ハーゲンダッツジャパン株式会社 公式ホームページ

ハーゲンダッツジャパン株式会社は、アイスクリーム「ハーゲンダッツ」を販売している会社です。季節感やプレミアム感を感じる新商品のテレビCMを放映し、好調な売上を記録しています。

アイスクリームのターゲットは子供であることが大半です。そのため、お小遣いで購入できる金額であり、万人受けするフレーバーが基本となります。しかし、ハーゲンダッツは「大人のアイス」というコンセプトで差別化を図り、ファンを獲得することに成功しています。

3.花王株式会社

成功事例3-2出典元:『花王株式会社 公式ホームページ

花王株式会社は、ダイエット飲料水「ヘルシア緑茶」を販売している会社です。緑茶市場は伊藤園「お~いお茶」、サントリー「伊右衛門」などの人気商品があり、新規参入は難しいと言われていました。

しかし、花王株式会社のマーケターが市場調査をすると、人気商品の緑茶は青年向けであることが判明。そして、人気商品と競合にならない「肥満に悩む中年」をターゲットに製品開発をしました。その結果、唯一無二のポジションを獲得できて、ロングセラー商品となりました。

【7】まとめ

プロダクトマーケティングは「売れるモノをつくる」ためのマーケティング施策です。モノが溢れて消費者ニーズが多様化する時代では、モノを開発しても売れません。そのため、プロダクトマーケティングのやり方を把握して、売れるモノをつくり販売していくことが重要となります。

この記事では、プロダクトマーケティングのやり方をご紹介しました。ぜひ、この記事を参考にしながら、プロダクトマーケティングに取り組んでみてください。

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