インバウンドマーケティングとは、ホームページやSNS上でコンテンツを配信して、見込み顧客を惹きつけて自社のファンになってもらう手法をいい、プル型のアプローチになります。
コンテンツを読んだ人から反応をもらえたらコミュニケーションを取り、良好な関係を構築することで、顧客の購買意欲を高めていけます。
■インバウンドマーケティングの施策
下記の記事でプル型、プッシュ型について詳しく解説しています。
・プッシュ型とプル型の違い3つ!メリット・デメリット・施策を紹介
インバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティングの違いは「アプローチ方法」です。
インバウンドマーケティングは、顧客を惹きつけるコンテンツを用意して、相手からのお問い合わせを待つアプローチ方法です。その一方で、アウトバウンドマーケティングは、企業が見込み顧客に対して積極的に営業していくアプローチ方法をいいます。主な手法として、飛び込み営業やテレアポがあります。
下記の記事でアウトバウンドマーケティングについて詳しく解説しています。
・アウトバウンドマーケティングとは?特徴から実践方法まで解説!
インバウンドマーケティングとコンテンツマーケティングの違いは「意味」です。
インバウンドマーケティングとは、ホームページやSNS上でコンテンツを配信して、見込み顧客を惹きつけて自社のファンになってもらい、お問い合わせをもらうマーケティング戦略をいいます。
その一方で、コンテンツマーケティングは有益な情報を発信して、顧客を惹きつける施策をいいます。つまり、インバウンドマーケティングを実現するための施策なのです。
近年、インバウンドマーケティングが注目されており、アウトバウンドマーケティングから切り替える企業が増えてきています。なぜ、インバウンドマーケティングに切り替える必要があるのかを見ていきましょう。
2010年前半頃よりスマートフォンが普及して、多くの人が気軽にインターネットで情報を取得できるようになりました。またTwitterやInstagramのSNSが普及して、誰でも気軽に情報を発信できるようになりました。
その結果、顧客の消費行動が以下のように変わったため、インターネット上で役立つコンテンツを作成して惹きつける必要性が出てきました。
■顧客の消費行動「DECAX」
Discovery |
役に立つコンテンツを発見する |
Engage |
コンテンツを読んで、企業との関係を深める |
Check |
コンテンツを発信している企業の商品、サービスを確認する |
Action |
企業の商品、サービスを購入する |
EXperience |
企業の商品、サービスを体験して上で他の人と共有する |
多くの人がスマートフォンで情報検索できるようになり、ネットリテラシー(インターネット上の情報の真偽を判断する能力)も高まってきました。その結果、Web広告が受け入れられにくくなってきました。
株式会社ファンクの独自調査によると、Web広告に対して「鬱陶しい」「不愉快になる」「信憑性が低い」と回答する人がいて、60.4%が「広告内容の信憑性は低い」と思っていることが判明しました。
この調査結果からわかるように、ネットリテラシーを持つユーザーが増えたため、ホームページやSNS上で顧客のためになる有益な情報を発信していく必要性が出てきたのです。
ネットリテラシーの高いユーザーは、信頼できる情報の収集に長けています。マイボスコムの独自調査によると、ネットリテラシーの高いユーザーは以下のような媒体から情報を収集していると述べられています。
[最も信頼できると思う情報源]
多くのユーザーがWebサイトやポータルサイトは信頼できると述べているため、企業はサイト運営が欠かせなくなってきました。
インバウンドマーケティングに取り組むとどのような効果があるのでしょうか?ここでは、インバウンドマーケティングのメリットをご紹介します。
インバウンドマーケティングは商品やサービスを売り込む手法ではなく、有益な情報を配信して、顧客に自社のファンになってもらう手法です。そのため、顧客に商品、サービスを押し売りしているような不快感を与えずに済みます。
顧客が興味・関心を寄せられるコンテンツを作成すれば、商談、受注に繋がりやすくなります。このように押し売り要素がないことがメリットです。
インバウンドマーケティングは、有益な情報を配信して、自社サイトやSNSを見てもらうことをいいます。発信した情報に興味・関心を持っているユーザーが訪問してくるため、見込み度の高い顧客の情報を獲得しやすいです。
お問い合わせにより個人情報を得た顧客にアプローチしていき、商品・サービスを売るため、商談化率、受注率が上がります。このように、営業活動の効率化ができることもメリットとなります。
インバウンドマーケティングは、自社サイトやSNSで有益な情報を発信していき、お問い合わせを獲得していく手法です。そのため、基本的にコンテンツ制作費しかかかりません。コンテンツ制作は1本2~3万円で制作できます。
また、GoogleやYahoo!JAPANの検索結果に1度上位表示されたら、長期間、表示されたままになりコンテンツは資産になります。Web広告のように広告費を消化したら消えることはありません。そのため、費用対効果が高い手法として注目を集めています。
自社サイトやSNS上で有益な情報を発信していけば、ユーザーの目に留まり「この情報は素晴らしい」と好意を持ってもらいやすくなり、TwitterやFacebookなどで情報を拡散してもらえます。
このように、質の高いコンテンツを制作すれば、広告費をかけなくても情報拡散してもらえて、認知度アップが狙えることもメリットです。
インバウンドマーケティングの効果は、Web解析ツールで測定できます。Web解析の結果を参考にしながら「どのようなコンテンツを制作すればよいのか?」「どのような顧客が自社に興味を持ってくれているのか?」を把握でき、どのようにアプローチしていけばよいかを考えていけるようになります。
TVCMやラジオCMの場合は、認知度は上がりますが、どれぐらいの人がマスメディア経由でお問い合わせしてくれたのか測定が難しいです。このような悩みを抱えずに済み、Web解析して改善していけることがメリットとなります。
インバウンドマーケティングにはメリットだけでなく、デメリットもあります。
インバウンドマーケティングは成果が出るまで時間がかかります。なぜなら、自社サイトやSNSで情報を発信して見てもらい、相手からの反応を待たなければいけないためです。また、自社サイトにコンテンツをアップしても、SEO対策の効果を見込むためには1ヶ月程度はかかります。
TVCMなど大々的にアピールするアウトバウンドマーケティングと比較すると、成果が出るまで時間がかかることがデメリットとなります。
インバウンドマーケティングで成果を出すためには、さまざまなコンテンツを制作していく必要があります。そのため、コンテンツ制作に関するリソースを確保しなければいけません。
予算と担当者を確保しなければ、安定的に継続してコンテンツを制作することが難しくなります。このように、コンテンツ制作に労力がかかることもデメリットです。
コンテンツは制作したら終わりではなく、効果測定して改善していかなければいけません。
インターネットの世界は流れが早く、Googleの検索アルゴリズムは随時アップデートされています。このようなアップデートの情報をキャッチアップして、コンテンツを改善していかなければいけません。
インバウンドマーケティングは運用データを見て改善していけることがメリットですが、定期的に見直していかなければいけないことがデメリットとなります。
インバウンドマーケティングとは、コンテンツを配信して顧客と良好な関係を構築して、商品、サービスを購入してもらうマーケティング戦略です。この戦略は4つのステージに分けられます。
ここでは、ステージ毎の手法について詳しく解説します。
ATTRACT(惹きつける)の段階では、ユーザーに役立つコンテンツを配信して、自社サイトやSNSを見てもらいます。この段階では、ユーザーは商品購入を検討していません。商品やサービスの存在を知らない状態となります。そのため、ATTRACT(惹きつける)の段階では、ユーザーが抱えている悩みや実現したい要望を仮説立てして、役立つコンテンツを配信していくことが大切です。
ユーザーに悩みや要望について考えさせて、ニーズを顕在化していきます。ユーザーがどのような媒体を活用するかを見極めて、最適な媒体にコンテンツを公開しましょう。
ATTRACTの手法
下記の記事でオウンドメディアについて詳しく解説しています。
・BtoBオウンドメディアとは?メリット・デメリット、手順まで解説
CONVERT(リード化)の段階では、自社サイトやSNSの訪問ユーザーからお問い合わせを獲得していきます。そのため、顕在化した顧客ニーズを満たす情報を提供しましょう。
例えば、ユーザーと同じ悩みを抱えている企業の成功事例などを公開するなど、価値の高い情報を提供してお問い合わせを獲得していきます。
CONVERTの段階では、ホワイトペーパーやEbookのようなダウンロードしてもらう前提のコンテンツを作成すると、リード化しやすくなります。
CONVERTの手法
下記の記事でホワイトペーパーについて詳しく解説しています。
・[事例解説付き]ホワイトペーパーの作り方をわかりやすく解説!
下記の記事でセミナーについて詳しく解説しています。
・セミナーとは?参加満足度が高いイベントを開催するための手順を紹介
CLOSE(契約)の段階では、獲得したリード(見込み顧客)のWeb行動を分析して、見込み度の高い顧客にアプローチして契約をとっていきます。
Webサイトの閲覧履歴やメルマガの開封履歴などを参考にして、1人1人の顧客に役立つ情報を提供していき良好な関係を築いていきます。この役割を担うのがインサイドサールスです。
見込み顧客と良好な関係を築き、購買意欲が高まった顧客を営業担当者にパスして、契約を取っていきます。
CLOSEの手法
下記の記事でインサイドセールスについて詳しく解説しています。
・インサイドセールスとは?役割・業務、メリット、体制構築/目標設計から事例までわかりやすく解説
下記の記事でBtoBマーケティングについて詳しく解説しています。
・メールマーケティングとは|取り組むメリットや手法、効果的に行うポイントを徹底解説
DELIGHT(ファン化)の段階では、既存顧客にリピートしてもらったり、良い口コミを広めてもらったりするためにファン化していきます。
例えば、商品・サービスを購入したばかりのお客様には、使い方ガイドを配布すると喜んでもらえるでしょう。また、商品・サービスを使い切るタイミングでクーポンを配布すれば、リピートして商品を購入してもらえるかもしれません。このようなスマートなやりとりを目指し、既存顧客のファン化を目指します。
DELIGHTの手法
インバウンドマーケティングについて理解できたら、実践方法を学んでいきましょう。インバウンドマーケティングの手順は以下の通りです。
ここでは、各手順について詳しく解説します。
まずは、インバウンドマーケティングのゴールを設定していきましょう。なぜなら、インバウンドマーケティングのゴールを設定しておくことで、どのような施策をどれぐらい行うべきかを明確にできるためです。ゴールの例を参考にしながら、設定してみてください。
ゴールの例
ステージ |
ゴール |
施策 |
ATTRACT (惹きつける) |
アクセス数10,000PV |
SNS(Twitter) ホームページ オウンドメディア |
CONVERT (リード化) |
見込み顧客100件 |
Ebook ホワイトペーパー セミナー |
CLOSE (契約) |
契約10件 |
インサイドセールス メール |
DELIGHT (ファン化) |
リピート率50% |
スマートコンテンツ カスタマーサクセス |
次にペルソナを設定していきます。ペルソナとは、自社商品、サービスを売りたい人物像をいいます。
ペルソナを具体的に決めていくことで「どのような悩みを抱えているのか?」「どのような情報を知りたがっているのか?」を明確にできます。
BtoBとBtoCのビジネスモデル別のペルソナ設計方法を参考にしながら、設定していくようにしましょう。
氏名 |
田中太郎 |
年齢 |
30歳 |
性別 |
男性 |
職業 |
システムエンジニア |
収入 |
500万円 |
家族構成 |
1人暮らし 同棲中の彼女がいる |
居住地 |
東京都練馬区 |
悩み |
最新のゲームの情報を探している VRゴーグルに興味があるけれど、値段が高いと思っている どのVRゴーグルを購入すればよいか悩んでいる |
行動 |
せっかちな性格なので、欲しいものはすぐに欲しいと思っている |
心理 |
好奇心が旺盛で新しいものに興味を持ちやすい 同じものより、いろいろなものを使う方が好き |
担当者の情報 |
名前 |
田中 太郎 |
年齢 |
30歳 |
|
所属部署 |
システム開発部門 |
|
役職 |
リーダー職 |
|
決裁権 |
無し |
|
業務経験 |
8年 |
|
部門 |
体制 |
システム開発部門 10名で1つのシステムを開発している |
業務 |
お客様先のシステムを開発している |
|
会社名 |
株式会社テックプラス |
|
会社の情報 |
売上 |
売上100億円 |
業種 |
システム開発会社 |
|
課題 |
リモートワークを導入後にプロセス型の人事評価ができなくなった |
下記の記事でペルソナについて詳しく解説しています。
・ペルソナとは?メリットや作成手順をたった4ステップで解説!
ペルソナの設定ができたら、カスタマージャーニーマップを作成して戦略を考えていきます。
カスタマージャーニーとは、顧客が商品・サービスの存在を知ってから、購入するまでのプロセスをまとめた図をいいます。どのようなマーケティング戦略が効果的なのか、どの施策から優先して行うべきかが客観的に判断できるようになるため、カスタマージャーニーマップを作成するようにしましょう。
下記の記事でカスタマージャーニーの作成方法について詳しく解説しています。
・カスタマージャーニーマップとは?必要性や作成手順、事例まで解説
ペルソナを設定してカスタマージャーニーマップを作成して、マーケティング戦略を立案できたら、必要なコンテンツを制作していきます。コンテンツを制作する手順は以下の通りです。
コンテンツを制作してアップロードしたら、必ず効果測定を行うようにしましょう。
インバウンドマーケティングのKPIは、以下のようなものを定めることが多いです。
ステージ |
KPI |
改善 |
ATTRACT (惹きつける) |
訪問者数 訪問回数 ページビュー数 離脱率 回遊率 ページ遷移率 リテンション率 |
テーマを変える コンテンツの内容を変更する クリエイティブにこだわる |
CONVERT (リード化) |
コンバージョン数 コンバージョン単価 コンバージョン率 |
MAツールを導入する 見込み度を解析してアプローチ方法を変更する |
CLOSE (契約) |
受注率 |
営業資料を見直す 営業トークスクリプトを作成する |
DELIGHT (ファン化) |
リピート率 |
カスタマーサクセスを強化する 顧客の声を聞いて反映する |
株式会社マイナビは、IT情報を収集しているビジネスパーソンが満足できる情報をオウンドメディア「マイナビTECH+」で提供しています。
オウンドメディアでは、最新のトレンドを掲載したり、大手企業の導入事例を紹介したりなど品質の高いコンテンツを制作し、多くの人に見てもらえるものを追求しています。このような取り組みにより、オウンドメディアを運営して、以下のような効果が見込めました。
弊社が「マイナビTECH+」を運営してみて掴んだ、インバウンドマーケティングのコツは3つあります。
1つ目が、ユーザーに役立つ質の高いコンテンツが重要であることです。
質の高いコンテンツを作成するためのポイントは4つあります。
大切なことは、ユーザーが求めている情報は何かを考えて、信頼できる情報をわかりやすく解説することです。
2つ目が、MAの導入が不可欠であることです。
MAツールとは、見込み顧客に対して役立つ情報をメールで送信するツールです。見込み顧客のWeb履歴やメルマガ開封率などをスコアリング化して、スコアでセグメント化して最適なメールを送信することができます。
大量のリードを獲得できたとき、見込み顧客1人1人で、手動でメールを送ると対応ができなくなってしまいます。そのため、MA導入は欠かせません。
3つ目が、知識のアップデートが必要であることです。デジタルの発展により、マーケティングは日進月歩しています。
例えば、ユーザーの検索意図を細かく分析できるツールなどが登場しています。これらのツールを活用すれば、ユーザーに役立つコンテンツが作成しやすくなるでしょう。
また、新型コロナウイルスの影響により、ウェビナーやオンライン展示会などのマーケティング手法が認知されるようになりました。このような変化があるため、マーケティングに関する知識のアップデートが必要になります。
下記の記事で、インバウンドマーケティングの本について詳しく解説しています。
・[2023年最新]インバウンドマーケティング本でおすすめの7冊を紹介!
インバウンドマーケティングとは、ホームページやSNS上でコンテンツを配信して、見込み顧客を惹きつけて自社のファンになってもらうことをいいます。ネットが普及し顧客の消費行動が変化したことにより、インバウンドマーケティングに注力する企業が増えました。
この記事では、弊社のマイナビTECH+の成功事例を踏まえて、インバウンドマーケティングの行い方を紹介しました。現在、見込み顧客が獲得できないと悩んでいる方は、この記事を読みながらインバウンドマーケティングに取り組んでみてください。
マイナビTECH+では、インバウンドマーケティングの支援サービスを提供しています。
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