RTB(リアルタイム入札)とは?仕組みやメリットをご紹介
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【TECH+マーケティング責任者】武本 大平 [2022.11.30]
目次
- 【1】RTB(リアルタイム入札)とは?
- 【2】そもそも、アドテクノロジーとは?
- 【3】RTBが生まれた背景・歴史は?
- 純広告で1メディア1広告主の時代
- 成果報酬広告で複数メディア複数媒体の時代へ
- 複数媒体の広告枠を管理。アドネットワーク時代へ
- 「広告枠」の取引。アドエクスチェンジ時代へ
- 複数アドエクスチェンジを横断したリアルタイム広告枠取引時代へ
- 【4】RTBとDSP・SSPとの違いは?
- RTBとDSPの違い
- RTBとSSPの違い
- 【5】リアルタイム入札のメリット・デメリットは?
- リアルタイム入札のメリット
- リアルタイム入札のデメリット
- 【6】RTBの仕組みについて
- 【7】RTBを利用した広告配信の流れ
- 1.ユーザーがWeb(媒体)ページを訪問
- 2.媒体からインプレッション発生にSSPへ広告リクエストを送信
- 3.SSPがオーディエンス情報(ユーザー属性など)をデータ化
- 4.SSPが接続先DSPにビッドリクエストを送信
- 5.DSPがリクエストを受信し、解析、DSP内で入札実施
- 6.DSP内で入札勝者情報をSSPに返信
- 7.一番入札価格が高いDSPの広告タグを媒体に送信
- 8.SSPは、勝者のDSPに広告リクエストを送信
- 9.勝者のDSPがクリエイティブ情報を送信
- 10.広告表示
- 【8】公正取引のための工夫について
- フロアープライス
- セカンドプライス
- 【9】まとめ
【1】RTB(リアルタイム入札)とは?
RTBはReal Time Bidding(リアルタイムビディング)の略で、オンラインを利用した広告の仕組みです。広告を配布したい広告主と、広告を実際に配布する媒体側がお互い有益になるように開発され、いまではWeb媒体を利用した広告配信において、なくてはならない存在になっています。
普段何気なく見ているWebページにも広告配信されており、その広告枠を巡っていくつもの企業が入札を行い、入札を勝ち取った企業の広告配信がされています。その仕組みがRTBであり、いまや社会において最も目にする広告の一つと言えるでしょう。
【2】そもそも、アドテクノロジーとは?
RTBを詳しくご紹介していく前に、まずはアドテクノロジーについて触れていきましょう。
アドテクノロジーとは、その言葉通り、「広告配信の技術」です。広告配信はアドテクノロジーが進化する前は、一つ一つのWebページ(サイト)に広告配信の依頼をして、そのサイトのオーナーに交渉し、サイトに広告バナーやテキストを配置してもらい、ユーザーを自社サイトなどに誘導することが一般的でした。
しかし、そのような広告配信の方法では、実際にターゲットとなるユーザーに向けて広告配信をするのはとても非効率で、企業のターゲットであるユーザーにより多く認知してもらうためには一つ一つのサイトオーナーに声をかけたり交渉するのは至難の業でした。
そこで登場したのが、アドテクノロジーです。アドテクノロジーはアドネットワークやアドエクスチェンジ、DSPやSSPなどさまざまなテクノロジーがありますが、これらを活用することで、より多くのターゲットにリアルタイムに広告配信することが実現できるようになりました。
【3】RTBが生まれた背景・歴史は?
アドテクノロジーの一つである「RTB」はどのようにして生まれたのでしょうか?
その歴史を紐解きながらRTBについて詳しくなっていきましょう。
純広告で1メディア1広告主の時代
先述したように、RTBなどのアドテクノロジーが生まれる前は、一つ一つのサイトに対して広告配信を依頼し、広告バナーを貼ってもらうといった配信形態をとっていました。この広告の手法を「純広告」と呼んでおり、今でもYahoo!JAPANなどのトップページに配信してもらいたいといった場合には、純広告という手法を取り、直接媒体オーナーに依頼することがあります。
ただ、すべてのサイトがYahoo!JAPANのようにアクセスを持っているわけではないため、広告配信をしたいオーナーは、より多くのユーザーが集まり、かつターゲットが集まりそうなサイトを自分で探し、交渉する必要がありました。
しかも、広告配信はすぐに行われるものではなく、交渉後、広告配信をするための準備を行い、サイトに広告が掲載されるまで多くの時間を要していました。そして、別の広告配信オーナーからの依頼が同サイトに合った場合には再度交渉するなど、広告配信をするための労力がとても多くかかるのが「純抗告メイン」の時代です。
下記の記事で純広告について詳しく解説しています。
・純広告とは?種類や費用形態、メリット・デメリットを徹底解説
成果報酬広告で複数メディア複数媒体の時代へ
次に、広告を出すだけでお金がかかっていた時代から、「成果報酬広告」という制度が生まれました。これは、広告配信だけでは費用は発生せず、実際にクリックされて広告を見た人やサイトに訪れた人に応じて成果報酬による広告費用を支払うというものです。
これにより、多くのメディアやサイトに掲載することが出来なかった企業も、成果報酬型が生まれることにより、複数メディアへの媒体掲載が可能になりました。
しかし、多くのメディアに配信することができても、どの媒体からの効果が多いのか、どの媒体で見られることが多いのかなど分析がなかなかしづらく、最低帰化していくのが難しい時代でした。
複数媒体の広告枠を管理。アドネットワーク時代へ
そして、そこから生まれたのが「アドネットワーク」です。
アドネットワークは複数の広告媒体をネットワークによって一元管理し、広告配信オーナーは一つの媒体に依頼することで多くのメディアやブログ、Webサイトに広告配信をすることができるようになりました。
また、アドネットワークの出現におり、データが一元管理されるため、配信した広告がどのような結果になっているのか、分析がしやすくなり最適化することが可能になりました。
「広告枠」の取引。アドエクスチェンジ時代へ
アドネットワーク時代に課題になったのが「課金形態」です。
アドネットワークでは、それぞれの媒体ごとに課金形態が異なり、CPCによる課金を基本としているメディアや、インプレッションつまり広告が表示されただけで課金されるなど、メディアやサイトごとにその形態が異なっていました。
アドエクスチェンジが出現したことで、広告の課金形態が「入札型インプレッション課金」というものに統一され、広告を表示させたい企業ごとに入札を行い、入札に勝った企業が広告枠での広告配信ができるという仕組みが実現化しました。
入札型インプレッション課金に統一されたことで、配信企業も媒体企業も「広告枠」の取引となり、シンプルになったことで広告枠を開放するメディア・企業が多くなりました。
複数アドエクスチェンジを横断したリアルタイム広告枠取引時代へ
そして、今回ご紹介している「RTB]の時代になります。
アドエクスチェンジの技術が進み、複数のアドエクスチェンジを横断した仕組みができるようになりました。そして、それが実現したことで広告媒体側はユーザーの属性や最低出稿単価を理解し、企業間同士のリアルタイムな広告枠の取引を実現できるようになります。
これらの仕組みを「RTB」と呼んでおり、それらはDSPやSSPといった仕組みを利用することで実現しています。
次に、DSPやSSPについても確認していきましょう。
下記の記事でアドエクスチェンジについて詳しく解説しています。
・アドエクスチェンジって何?アドネットワークやSSPとの違いとは?
【4】RTBとDSP・SSPとの違いは?
ここからは、RTBを説明する上で欠かせないDSPとSSPについて確認していきましょう。
RTBとDSPの違い
RTBとDSPの違いは、RTBはリアルタイムの広告配信の仕組みという全体的な言葉であるのに対して、DSPはRTBを実現するための一つの役割を意味しています。
具体的には、DSPの役割は「広告の買い付け」です。
RTBを実現するためには広告を配信したい「広告配信オーナー」と広告を配信するメディアなどの「媒体」の二つが必要です。このうち、DSPの役割は広告配信オーナーからの要望に対して、広告枠を買い付け、入札を行うというものです。
つまり、DSPはあくまでもRTBの仕組みの一つであると考えられます。
下記の記事でDSPについて詳しく解説しています。
・DSPとは?仕組みやメリットからおすすめのDSP広告までご紹介!
RTBとSSPの違い
SSPもまた、RTBにおけるリアルタイム入札を実現する仕組みの一つです。
DSPが「広告配信オーナー」からの依頼に対して広告を買い付けるのに対して、SSPは媒体側にとって最大の利益になる広告オーナーを探すことです。
一つの広告枠を多くの企業が欲しがっているとき、入札価格が高ければ高いほど媒体メディアは喜ぶでしょう。そのような最適な広告配信オーナーを見つけて媒体側の利益を最大限にするのがSSPの役割です。
つまり、SSPもRTBのリアルタイム入札を実現する仕組みの一つとなります。
下記の記事でSSPについて詳しく解説しています。
・SSPとは?仕組みやDSPとの連携方法など詳しくご紹介
【5】リアルタイム入札のメリット・デメリットは?
ここからは、リアルタイム入札のメリット・デメリットについて確認していきましょう。
リアルタイム入札のメリット
リアルタイム入札を行うメリットはさまざまですが、その中でもメリットが大きいのは、アドエクスチェンジの枠を超えてさまざまな媒体に広告を配信できるという点や、ひとつひとつのサイトオーナーに交渉せずとも、価格を自分たちの希望の価格で入札に参加できるため、費用面においてもメリットは大きいでしょう。
リアルタイム入札のデメリット
一方でリアルタイム入札にもデメリットがあります。それは、低品質な広告枠の存在です。
すべてのサイトがWebマーケティングに精通し、キレイなレイアウトのサイト設計ができているとは限りません。そのため、低品質な広告枠の存在があることでインプレッションしても実際のリード獲得や収益につながらないサイトもあるでしょう。
【6】RTBの仕組みについて
RTBはどのような仕組みで成り立っているのでしょうか?
RTBはSSPやDSPを利用し、広告を配信したいオーナーと広告枠を提供しているWebサイトやWebメディアに対して、それぞれ最適な広告配信ができるようにコントロールしています。
簡潔に伝えると、広告枠を提供しているサイトの情報を確認し、広告を配信したいオーナーたちの入札額を確認して、広告枠に対して、最適な(入札額の高い)広告を配信する手続きをするというのが仕組みです。
その流れについて、見ていきましょう。
【7】RTBを利用した広告配信の流れ
ここからは、RTBを利用した広告配信の流れを具体的に確認していきましょう。
1.ユーザーがWeb(媒体)ページを訪問
広告が配信されるまでには、広告に効果をもたらす「ユーザー」の存在が大切です。そのユーザーがサイトにアクセスした際に、広告枠を提供しているWebサイト側がユーザー情報を確認します。
2.媒体からインプレッション発生にSSPへ広告リクエストを送信
広告枠を提供している媒体側がユーザーからのサイトアクセス(インプレッション発生)時に、SSPに広告リクエストを配信します。
3.SSPがオーディエンス情報(ユーザー属性など)をデータ化
SSPは広告枠を提供している媒体側からオーディエンス情報(ユーザー属性などの情報)を確認し、データ化していきます。
4.SSPが接続先DSPにビッドリクエストを送信
SSPはオーディエンス情報をデータ化すると同時に、複数のDSPに対してビッドリクエスト(入札に必要なさまざまな情報)を送信し、入札に参加するDSPを募ります。
5.DSPがリクエストを受信し、解析、DSP内で入札実施
SSPからビッドリクエストを受け取ったDSPは、ビッドリクエストを解析して、DSP内にて入札を実施します。
6.DSP内で入札勝者情報をSSPに返信
DSP内にて行われた入札に勝った広告主の情報をSSPに返信します。このとき、DSPはセカンドプライス方式という方式によって価格が決められています。
7.一番入札価格が高いDSPの広告タグを媒体に送信
SSPは複数DSPからの返答を解析して、その中で一番入札価格が高いDSPの広告タグを媒体に送信します。
8.SSPは、勝者のDSPに広告リクエストを送信
SSPは勝者として確定したDSPに対して、広告リクエストを送信します。
9.勝者のDSPがクリエイティブ情報を送信
勝者として情報を受け取ったDSPは広告のクリエイティブ情報を媒体側に送信します。
10.広告表示
そして、広告が表示されるという流れになります。
【8】公正取引のための工夫について
最後に、RTBが公正に取引され、適正な価格で取引されるために行われている工夫を見ていきましょう。
フロアープライス
SSPは、フロアープライスという仕組みを設けており、最低落札価格が設定でき、それを下回る価格で入札に参加された場合にも入札が通らないようになっています。
つまり、媒体側にとって広告枠の価格を担保されるというものになります。
セカンドプライス
RTBにおいてリアルタイム入札が行われる中で、入札額が最も大きい価格にならなければ入札できないとわかった場合、どうしても配信したいとき、どれくらいの費用をかければ良いか、不明なまま高額設定してしまう可能性があります。
そのような場合でも、RTBではセカンドプライスという方式を取っており、2番目に高い金額で入札した金額の+1円を落札価格にするという制度が設けられています。
そのため、高額設定した場合でも、2番目の金額と同じくらいの金額で落札できることになります。
【9】まとめ
ここまで、RTBについてご紹介してきましたが、RTBを知る上ではSSPやDSPの存在も知ることが必要とわかりました。本サイトではSSPなどについても詳しくご紹介していますので、別ページにて参考にしてください。
【TECH+マーケティング責任者】武本 大平
2021年からTECH+ のマーケティング部門立ち上げを推進。現在はTECH+マーケティング担当として、 各プロダクトの販促や各種マーケティングアクティビティの立案・実行を担当。マーケティング実務検定3級、SEO検定1級、ネットマーケティング検定を保有。