ターゲティング広告とは?特徴、運用方法、成功事例まで網羅して解説
認知拡大・ブランディング
【TECH+マーケティング責任者】武本 大平 [2023.01.23]
目次
- 【1】ターゲティング広告とは
- ターゲティング広告の仕組み
- 【2】ターゲティング広告のメリット
- 1.コンバージョンにつながりやすい
- 2.離脱ユーザーに再度アプローチできる
- 3.顧客獲得単価を抑えられる
- 【3】ターゲティング広告のデメリット
- 1.広告運用の知識がないと効果が見込めない
- 2.ユーザーに不快に思われる恐れがある
- 【4】ターゲティング広告の種類
- 1.年齢
- 2.性別
- 3.地域
- 4.オーディエンスカテゴリー
- 5.コンテンツキーワード
- 6.プレイスメント
- 7.サーチキーワード
- 8.曜日・時間
- 【5】ターゲティング広告のやり方
- 1.自社運用と代行運用の比較表
- 2.自社運用
- 3.代行運用
- 【6】ターゲティング広告の成功事例
- 1.SEA BREEZE
- 2.マルコメ液みそ
- 3.QBハウス
- 【7】成功事例でわかるターゲティング広告のコツ
- 1.STP分析を行う
- 2.ユーザー視点で広告を作成する
- 3.運用が難しい場合はプロに依頼する
- 【8】まとめ
【1】ターゲティング広告とは
出典元:『Yahoo!広告 JAPAN』
ターゲティング広告とは、顧客の興味・関心を推測して、ターゲットを絞り込んで広告配信する手法をいいます。例えば、ダイエットサプリを調べているユーザーをダイエットに興味・関心あるとみなして広告を配信します。
主にオンライン広告で利用され、Google広告やYahoo!JAPAN広告をはじめ、Facebook広告、Twitter広告、LINE広告でも利用できる手法です。さまざまな広告の成果を左右するため、ターゲティング広告について理解を深めておくことをおすすめします。
ターゲティング広告の仕組み
出典元:『Yahoo!JAPAN広告』
ターゲティング広告はCookieを利用して配信しています。Cookieとは以下のようなものです。
- Webサイトを表示する際にCookieが発行される
- Cookieがブラウザに保存される
- 保存したCookieをサーバーに送信する
- Cookieの情報参考に広告を表示する
Cookieは「訪問サイト」「入力データ」「利用環境」などの情報が記録されたファイルです。上記のように、Cookieを利用することで、ユーザーに合わせた広告配信が行えるようになります。Cookieにはサイト訪問の履歴や利用環境の情報が記録されていますが、個人情報が漏洩するわけではありません。そのため、安心してCookieを利用できます。
下記の記事でオンライン広告について詳しく解説しています。
・【完全版】オンライン広告7種を比較!費用やメリット・デメリットも解説
【2】ターゲティング広告のメリット
ターゲティング広告のメリットは3つです。
- コンバージョンにつながりやすい
- リスティング広告と相性が良い
- 広告コストを抑えられる
ここでは、それぞれのメリットについて詳しく解説します。
1.コンバージョンにつながりやすい
ターゲティング広告は顧客の興味・関心を推測して、ターゲットを絞り込んで広告配信する手法です。ユーザー側が興味・関心を持てる広告を配信すれば、資料請求やお問い合わせ、商品購入などコンバージョンにつながりやすくなります。
例えば、ダイエットの方法を検索した人に対してダイエットサプリの広告を配信すれば、商品を購入してもらえて売上が伸ばせます。このように、ターゲットを絞り込んで広告配信を行い、コンバージョンが獲得できることがターゲティング広告の魅力です。
2.離脱ユーザーに再度アプローチできる
Webサイトに訪問したユーザーの90%以上が、資料請求やお問い合わせしないまま離脱してしまいます。その理由は、消費者自身が購入したい商品を比較・検討できるようになったためです。
インターネットの普及により、企業にお問い合わせしなくても情報収集ができるようになり、気軽に商品を比較できるようになりました。比較・検討段階のユーザーに自社商品の存在を忘れられてしまわないように、再度アプローチできることがターゲティング広告の魅力です。
3.顧客獲得単価を抑えられる
ターゲティング広告は自社商品に興味・関心のあるユーザーに絞り込んで、広告を配信する手法です。そのため、他の広告と比較してコンバージョン率が高くなります。
自社商品に興味・関心のないユーザーは広告配信の除外対象にすることもでき、広告費のムダをなくせます。このように、上手くリターゲティング広告を運用できれば、顧客獲得単価を押さえられることもターゲティング広告の魅力です。
【3】ターゲティング広告のデメリット
ターゲティングはメリットだけでなく、以下のようなデメリットもあります。
- 広告運用の知識がないと効果が見込めない
- ユーザーに不快に思われる恐れがある
ここでは、それぞれのデメリットについて詳しく解説します。
1.広告運用の知識がないと効果が見込めない
リターゲティング広告では、「年齢」「性別」「コンテンツキーワード」など10種類のターゲティングが行えます。それぞれのターゲティングを組み合わせることも可能ですが、マーケティング知識や広告知識がないと、理想の成果が見込めません。広告費を捻出したにも関わらず、期待通りの成果が見込めないと失敗してしまう危険性もあります。
2.ユーザーに不快に思われる恐れがある
サイバー攻撃などの情報漏洩により、ユーザーの個人情報保護に関する意識は高くなってきています。そのため、ユーザーのサイト閲覧履歴を基に追跡して広告配信し続けると不快に思われてしまう恐れがあります。
Appleは個人情報保護の観点から、Cookieの利用制限を発表してユーザーの許可を得なければいけなくなりました。このような動きがあるため、リターゲティング広告により企業イメージが悪くなる恐れがあることを理解しておきましょう。
【4】ターゲティング広告の種類
ターゲティング広告の対象 |
ターゲティング広告の種類 |
ユーザー |
年齢 性別 地域 オーディエンスカテゴリー サーチキーワード サイトリターゲティング |
配信サイト |
コンテンツキーワード プレイスメント |
その他 |
曜日 時間 |
ターゲットティング広告は10種類に分類できます。それぞれ、どのような場面で利用するかを理解しておきましょう。
1.年齢
広告を配信するユーザーの年齢層を指定できます。
一般的に年齢層は「15~19歳」「20~24歳」のように5歳ごとにグループ分けされています。そのため、若者向けの商品、シニア向けの商品のターゲティングをしたい場合におすすめです。
Google広告やYahoo!JAPAN広告の場合は、ユーザーの検索履歴や掲載実績を基にした推定年齢で、ユーザーの年齢の正確性が保証されているわけではありません。
Facebook広告やTwitter広告などのSNS広告の場合は、プロフィールに入力した誕生日データが参考にされます。
2.性別
広告を配信するユーザーの性別を指定できます。
性別は「男性」「女性」「不明(性別が不明のユーザー)」が選択できます。そのため、女性向けの商品、男性向けの商品のターゲティングをしたい場合におすすめです。
Google広告やYahoo!JAPAN広告の場合は、ユーザーの検索履歴や掲載実績を基にした推定の性別で、ユーザーの性別の正確性が保証されているわけではありません。
Facebook広告やTwitter広告などのSNS広告の場合は、プロフィールに入力した性別データが参考にされます。
3.地域
広告を配信するユーザーの所在地を指定できます。それだけでなく、ユーザーの興味・関心のある地域を指定して広告配信ができます。そのため、店舗の来客数を増やしたい場合におすすめです。
ユーザーのサイトアクセス履歴や検索キーワードを基に、興味・関心のある地域を推定します。例えば「飲食店 新宿」と検索したユーザーは「東京に住んでいる人」「東京に遊びにきている人」「東京で働いている人」などに該当するでしょう。このようなユーザーに広告配信することで、地域マーケティングの成果を出しやすくなります。
4.オーディエンスカテゴリー
特定のカテゴリーに興味を持つユーザーに広告配信ができます。また、特定のライフイベントを迎えるユーザーに広告配信できます。そのため、自社の商品に興味・関心を示しそうなユーザーに訴求したい場合におすすめです。
興味関心 |
旅行や車などユーザーの興味・関心を指定 |
購買意欲 |
カゴ落ちなどの履歴をから購買意欲の高いユーザーを指定 |
ライフイベント |
就職、結婚、出産などのライフイベントを迎えたユーザーを指定 |
5.コンテンツキーワード
広告を表示するWebページの掲載面を指定できます。そのため、自社商品に関連度の高いページに広告を配信したい場合におすすめです。掲載先のWebメディアをキーワード指定することで、自社商品と関連性が高いWebページに広告が掲載できます。
6.プレイスメント
広告を表示するWebメディアの掲載面を指定できます。そのため、自社商品に関連度の高いWebメディアに広告を配信したい場合におすすめです。
コンテンツキーワードとの違いは、Webメディア自体を指定することです。そのため、「このメディアに広告を配信したい」など明確な戦略がある場合に有効な方法です。
7.サーチキーワード
ユーザーが過去に検索したキーワードを基に広告配信できます。リスティング広告で獲得できなかった顧客を獲得する補助的な役割を担います。そのため、自社サイトに訪問していない顕在層にアプローチしたい場合におすすめの手法です。リスティング広告と一緒に扱われることが多いです。
8.曜日・時間
指定の曜日、時間に広告を配信できます。時間は1時間帯で設定できるため、スケジュールを指定して広告を配信したい方におすすめです。一般的には、キャンペーン情報やタイムセールなどのお得な情報を提供したい場合に用いられます。
【5】ターゲティング広告のやり方
ターゲティング広告のやり方には「自社運用」と「代行運用」があります。それぞれのやり方にメリット・デメリットがあるため適切なやり方を選択しましょう。
1.自社運用と代行運用の比較表
メリット |
デメリット |
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自社運用 |
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代行運用 |
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2.自社運用
自社運用とは、Web広告担当者を選任して社内で広告運用する方法をいいます。別名でインハウス運用と呼ばれているケースも多いです。
自社運用を選択すれば、ターゲティング広告のノウハウを蓄積できます。また、Web広告担当者は他部署と連携しやすくスピード対応できることが自社運用の魅力です。
しかし、ターゲティング広告に関する十分な知識を持つ人材がいなければ、成果が見込めず失敗に終わってしまいます。そのため、Web広告担当者を教育しなければいけません。さらに、Web広告担当者が退職してしまうと自社運用できなくなるなど退職リスクも生じます。
3.代行運用
代行運用とは、広告代理店に広告運用を依頼する方法をいいます。運用代行を依頼するため、運用代行手数料が必要です。代行運用を利用すれば、広告運用、効果検証、改善施策の立案など業務の手間が省けます。
また、高いスキルを持ったプロに広告運用をお任せできるため、費用対効果が高くなることが多いです。費用対効果を上げたい場合は、類似の企業で成果を出してきた広告代理店にお任せをすることが大切です。そのため、広告運用の実績を確認しましょう。
また、多くの案件を抱えている場合は、対応スピードが遅れてしまう恐れがあります。そのため、抱えている案件数を確認しておきましょう。
【6】ターゲティング広告の成功事例
ターゲティング広告について解説してきましたが、具体的にどれぐらいの効果が見込めるのでしょうか?ターゲティング広告の成功事例を見ておきましょう。
1.SEA BREEZE
出典元:『株式会社資生堂 PRTIMES』
SEA BREEZEは1902年に株式会社資生堂の化粧品ブランドです。1960年に日本に上陸しました。肌の火照りをケアするスキンケアローションとして人気を博しましたが、時代の流れと共に売上が低迷。そのため、化粧品ブランドのボジションを見直すことにしました。
従来はマリンスポーツを楽しむ20代、30代の男性向けにプロモーションを行っていましたが、マリンスポーツを楽しむ若者は減少し、時代遅れのPRとなっていたのです。そこで、暑い日に制汗剤を使用する高校生向けにプロモーションを切り替えました。「部活のあとに汗を拭く高校生」にターゲットを変更したことで、低迷期の8倍まで売上を伸ばすことに成功しました。
2.マルコメ液みそ
出典元:『マルコメ株式会社 公式ホームページ』
マルコメ株式会社は味噌を中心とする日本の食品メーカーです。1978年の味噌の年間購入量は12.9㎏、2015年に味噌の年間購入量は5.5㎏まで減少しました。毎朝、お味噌汁を飲むという人が減少しました。味噌の年間購入量の減少に奥様からの「味噌を溶かす作業が面倒くさい」という声があり、液みそシリーズの商品が開発されました。
奥様向けに「手抜きじゃなくて、手間を減らす」という広告を打ち出し、共感を集めることに成功し、出荷累計数700万本突破(2011年6月末現在)と人気商品となりました。
3.QBハウス
出典元:『キュービネットホールディングス株式会社』
キュービネットホールディングス株式会社はヘアカット専門店「QBハウス」を運営しています。日本に591店舗、シンガポール、香港、台湾、アメリカなどにも出店しているヘアカット専門店です。
QBハウスは成功した理由は、忙しいビジネスマンをメインターゲットに設定して、マーケティングをしたことです。
「10分の身だしなみ」とインパクトのあるキャッチコピーを付けており、素早さが受け入れられて人気に火が付きました。
ヘアカットは休日に行くのが当たり前だった常識が覆えし、昼休みや会社終わりに髪を切りにくいという新たな常識を作り上げました。
【7】成功事例でわかるターゲティング広告のコツ
成功事例には、以下のような共通点があります。
- STP分析を行う
- ユーザー視点で広告を作成する
- 運用が難しい場合はプロに依頼する
ここでは、ターゲティング広告のコツをご紹介します。
1.STP分析を行う
自社商品を売るためにはマーケティング戦略を練るためのSTP分析を行いましょう。STP分析とは、市場全体を把握して狙うべき市場を決定することをいいます。STP分析の指標6Rを活用して考えていきます。
Realistic Scale |
マーケットの市場が大きくて売上が伸ばせるか |
Rank |
ターゲットに興味を持ってもらえるか |
Rate of Growth |
自社商品は成長していく見込みがあるか |
Reach |
ターゲットが明確で情報が届けられるか |
Rival |
競合他社の状況はどうか、自社に優位性はあるのか |
Response |
マーケティングの効果測定はできるのか |
2.ユーザー視点で広告を作成する
ユーザーに興味・関心を持ってもらえる広告を作成する場合は、ユーザー視点が欠かせません。ユーザーに価値がある商品であることを伝えられなければ、広告がクリックされることも、お問い合わせを獲得することもできません。
そのため、ユーザーが抱えている悩みや実現したい要望などユーザー視点で考えて、相手に刺さる広告を作成することが大切です。
3.運用が難しい場合はプロに依頼する
ターゲティング広告は10種類あり、各ターゲティングを掛け合わせることも可能です。とても複雑なため、マーケティングの知識や広告運用の知識がないと成果が見込めません。
そのため、ターゲティング広告の運用に不安を感じる場合はプロに運用代行をお任せしましょう。
【8】まとめ
ターゲティング広告は、顧客の興味・関心を推測して、ターゲットを絞り込んで広告配信する手法をいいます。上手くターゲティング広告が行えれば、自社商品に興味・関心のある顧客のみに広告配信ができて費用対効果が感じやすくなります。
しかし、ターゲティング項目は数多くあるため成果を出すためにはマーケティング知識とWeb広告運用の知識が必要です。Web広告運用のやり方には、自社運用と代行運用があるため、自社に見合った方法で取り組んでみてください。
【TECH+マーケティング責任者】武本 大平
2021年からTECH+ のマーケティング部門立ち上げを推進。現在はTECH+マーケティング担当として、 各プロダクトの販促や各種マーケティングアクティビティの立案・実行を担当。マーケティング実務検定3級、SEO検定1級、ネットマーケティング検定を保有。