CAC(顧客獲得単価)とは?計算方法、LTVとの違いから改善方法まで徹底解説!
マーケティング
【TECH+マーケティング責任者】武本 大平 [2024.07.29]
目次
- 【1】CAC(顧客獲得単価)とは
- 1.CAC(顧客獲得単価)の種類
- 1.Organic CAC
- 2.Paid CAC
- 3.Blended CAC
- 2.CPAとの違い
- CAC(顧客獲得単価)のメリット・重要性
- 1.費用対効果の高い施策に投資できる
- 2.ユニットエコノミクスを計算する際に必要
- 【2】CAC(顧客獲得単価)の種類別の計算方法
- 1.Organic CACでの計算方法
- 2.Paid CACでの計算方法
- 3.Blended CACでの計算方法
- 【3】CACとLTVとユニットエコノミクスの関係
- 1.ユニットエコノミクスとの関係
- 2.LTVとの関係
- 【4】CACの活用方法
- 1.各項目(計測期間、コスト、顧客内訳)設定する
- (1)計測期間
- (2)コスト
- (3)顧客内訳
- (4)目標値を設定する
- 2.顧客獲得のために費やしたコストを把握する
- 3.新規顧客獲得数を把握する
- 4.CACを算出する
- 5.LTVと比較する
- 【5】CACの改善方法
- 1.SEO対策
- 2.広告の最適化
- 3.営業の効率化
- 4.業務アウトソーシング
- 5.CVRを上げる
- 【6】CACを最適化した自社事例
- 【7】CACを下げたい方向けマイナビTECH+マーケティング支援サービス
- 1.定型タイアップ広告
- 2.テレマ型リード獲得サービス
- 3.BtoB向けオウンドメディア支援サービス
- 4.協賛型ウェビナー企画
- 【8】まとめ
【1】CAC(顧客獲得単価)とは
CACとは「Customer Acquisition Cost」の頭文字で、顧客獲得単価を意味します。つまり、顧客1人を獲得するために支払った費用です。CACは次の計算式で求められます。
CAC=(マーケティング費用+営業費用)÷新規顧客の獲得数
マーケティング費用には、広告出稿、セミナー運営費などを含め、営業費用には人件費や販売代理店手数料を含めます。
CACがLTV(顧客生涯価値)より高くなれば利益が見込めません。つまり、営業活動が適切に行われているかを把握するための重要指標となります。
1.CAC(顧客獲得単価)の種類
CACは顧客の獲得経路により「Organic CAC」「Paid CAC」「Blended CAC」の3つに分類できます。
1.Organic CAC
Organic CACとは、広告を出稿せずに集客できた顧客の獲得単価です。自然検索からの流入した顧客や、既存顧客から紹介された顧客が該当します。Paid CACよりも安価な価格で顧客を獲得できます。
2.Paid CAC
Paid CACとは、広告を出稿して集客できた顧客獲得単価です。Web広告やSNS広告で獲得した顧客、キャンペーンで購買促進して獲得した顧客などが含まれます。施策毎のPaid CACを計算すれば、各施策の費用対効果がわかります。
3.Blended CAC
Blended CACとは、Organic CACとPaid CACを合計した顧客獲得単価です。事業全体の顧客獲得コストをします。CACと呼ばれるときは、Blended CACを指すのが一般的です。
2.CPAとの違い
CACとCPAは混合されやすいですが、コストに含まれているものが異なります。
CPAは新規顧客を獲得するために費やした広告コストを指します。
その一方で、CACは新規顧客を獲得するために費やした全コストを指すものです。
つまり、CACの中にCPAも含まれています。
CAC(顧客獲得単価)のメリット・重要性
CACのメリット・重要性は2つあります。
1.費用対効果の高い施策に投資できる
CACを計算すれば、費用対効果が良い施策や、悪い施策を把握できるようになります。
例えば、新規顧客は増加しているにも関わらず、収益が黒字化しない場合はPaid CACに投資し過ぎている可能性が考えられます。
その場合は、Paid CACの予算をOrganic CACに充てることで収益が黒字化するケースもあります。
また、Paid CACで費用対効果が悪いものを特定して、費用対効果が良いものに広告予算を充当することでCACを改善することができます。
2.ユニットエコノミクスを計算する際に必要
CACはユニットエコノミクスを計算する際に必要です。
ユニットエコノミクスは、次の計算式で求められます。
- ユニットエコノミクス=LTV÷CAC
ユニットエコノミクスとは、顧客1人あたりの採算性を示す指標です。つまり、ユニットエコノミクスを算出すれば、事業の収益性を遠投できるようになります。
下記の記事で顧客獲得について詳しく解説しています。
・顧客獲得とは?自社失敗から学んだ顧客獲得のポイントをご紹介!
【2】CAC(顧客獲得単価)の種類別の計算方法
「Organic CAC」「Paid CAC」「Blended CAC」の計算方法は以下の通りです。
1.Organic CACでの計算方法
Organic CAC=自然に集客できた顧客に費やしたコスト÷顧客獲得件数
例えば、Google検索エンジンの自然検索流入で30名の新規顧客の獲得に成功して、SEO対策に100万円を支払った場合のOrganic CACの計算式は以下の通りです。
Organic CAC=100万円÷30名=3.3万円
2.Paid CACでの計算方法
Paid CAC=Web広告などに費やしたコスト÷顧客獲得件数
例えば、Web広告やSNS広告、アフィリエイト広告に200万円のコストをかけて、新規顧客80名を獲得できた場合のPaid CACの計算式は以下の通りです。
Paid CAC=200万円÷80名=2.5万円
3.Blended CACでの計算方法
Blended CAC=(マーケティング費用+営業費用)÷新規顧客の獲得数
例えば、営業活動コストに500万円をかけて、新規顧客を100名獲得できた場合のBlended CACの計算式は以下の通りです。
Blended CAC=500万円÷100名=5万円
【3】CACとLTVとユニットエコノミクスの関係
CACはLTVとユニットエコノミクスに深い関係があります。
1.ユニットエコノミクスとの関係
繰り返しになりますが、ユニットエコノミクスとは、顧客1人あたりの採算性を示す指標です。 ユニットエコノミクスは、次の計算式で求められます。
- ユニットエコノミクス=LTV/CAC
SaaSビジネスではLTVがCACの3倍より大きい場合は採算が取れると言われており、ビジネスが成長・存続できると判断されます。投資家やベンチャーキャピタルが投資判断をする際にも用いられます。
会社の資金繰りのみではSaaSビジネスの健全性は判断できません。顧客がSaaSサービスを契約して終了までの利益であるLTVとCACの関係を見ることで、ビジネスが成長・存続できると判断できるようになります。
2.LTVとの関係
ユニットエコノミクスはLTV/CACで計算されるように、CACとLTVを密接に関係しています。
LTVとはLife Time Valueの略語で顧客生涯価値を意味します。顧客がサービスを契約して終了するまでの期間で、どれだけ利益もたらしてくれるかを表した数値です。LTVは次の計算式で求められます。
LTV=平均購買単価×平均購買頻度(回/年)×平均継続期間(年)
のLTVの計算式にCAC(顧客獲得単価)を加味すると、下記の計算式になります。
- LTV=(平均購買単価-顧客獲得単価)×平均購買頻度×平均継続期間
つまり、CACがLTVを上回ると、事業としての健全性が低いと判断できます。顧客を獲得する度に損失が発生している状況です。LTVがCACの3倍より大きい場合は採算が取れると言われているため、この数値を意識するようにしましょう。
【4】CACの活用方法
CACの活用方法は次の通りです。
- 各項目(計測期間、コスト、顧客内訳)設定する
- 顧客獲得のために費やしたコストを把握する
- 新規顧客獲得数を把握する
- CACを算出する
- LTVと比較する
ここでは、各手順について詳しく解説します。
1.各項目(計測期間、コスト、顧客内訳)設定する
まずは、「計測期間」「コスト」「顧客内訳」を設定します。
(1)計測期間
CACの計測期間は企業や業種毎で異なりますが、1ヶ月、3ヵ月のように短期間で設定することが一般的です。しかし、SaaSビジネスは中長期でコストを回収していくビジネスモデルの場合は、半年、1年の中長期間でCACを計測することも大切です。
(2)コスト
「Organic CAC」「Paid CAC」「Blended CAC」のどれで算出するか決めましょう。その上で、どの範囲までのコストを含めてCACを算出するのかを決めます。
(3)顧客内訳
顧客は自然流入や広告流入など経路を絞り算出するかを決めておきます。
(4)目標値を設定する
CACを計算する理由は、事業の採算性を把握するためです。
顧客獲得に投資した費用を回収することがゴールになるため、回収期間の目標値を設定しておきましょう。例えば、投資回収期間を半年と設定した場合は、半年以内にLTVがCACを上回るように設定します。社会情勢により投資回収期間は大きく変わるため、3ヵ月や6ヵ月など定期的に投資期間の目標値は見直すようにしましょう。
2.顧客獲得のために費やしたコストを把握する
次に顧客を獲得するために使用した営業コストやマーケティングコストを把握します。
- Organic CAC:自然検索からの流入した顧客や、既存顧客から紹介された顧客
- Paid CAC:Web広告やSNS広告で獲得した顧客、キャンペーンで購買促進して獲得した顧客
- Blended CAC:Organic CACとPaid CACを合計した顧客
3.新規顧客獲得数を把握する
次に一定期間で、どれだけ新規顧客を獲得できたかを把握します。
新規顧客を獲得した際はCRM/SFAに顧客情報(顧客の情報、属性、商品購入履歴、対応履歴)を残しておくことをおすすめします。
※CRM/SFAを上手く活用すればCAC、LTV、ユニットエコノミクス計算を自動化することも可能です。
4.CACを算出する
次にCACを算出します。CACは、次の計算式で求められます。
- CAC=(マーケティング費用+営業費用)÷新規顧客の獲得数
マーケティング費用には、広告出稿、セミナー運営費などを含めて、営業費用には人件費や販売代理店手数料を含めます。
5.LTVと比較する
次にLTVとCACを比較します。LTVは次の計算式で求められます。
- LTV=平均購買単価×平均購買頻度(回/年)×平均継続期間(年)
CACがLTVの数値を超えてしまうと事業の採算が合わなくなるため注意が必要です。
LTVがCACの3倍より大きい場合は採算が取れると言われているため、この数値を意識するようにしましょう。
3倍より小さい場合はCACを下げるために営業活動やマーケティング施策を見直します。
【5】CACの改善方法
CACを下げるための改善方法は5つあります
1.SEO対策
Organic CACはPaid CACよりも安価な価格で顧客を獲得できるケースが多いと説明しましたが、その中でもSEO対策がおすすめです。
SEO対策とはGoogleやYahoo!JAPANの検索エンジンで上位表示させることで、自然流入を増やす施策です。検索エンジンで上位表示されれば、1トラフィックを獲得するのにコストがかかりません。
広告に予算をかけるのを抑えて、SEO対策に予算をかけることで、CACが下げることもあります。
2.広告の最適化
CACを下げるためには、広告を最適化して費用対効果を上げることが大切です。
間接効果を考慮する必要はありますが、成果が悪い広告を停止し、成果が良い広告へ広告費を配分するなどして広告を最適化させましょう。
とくにWeb広告やSNS広告はアナリティクスツールで成果を把握できます。
広告運用データ上でリード獲得単価などを確認しPDCAサイクルを回すことで、広告の費用対効果を上げることができます。
下記の記事でリード獲得について詳しく解説しています。
・リード獲得とは?効果的な最新手法20選から事例までご紹介!
下記の記事でリード獲得単価について詳しく解説しています。
・【リード獲得単価の抑え方】相場、意識する6つのポイント、注意点、この記事で全部まるわかり!
3.営業の効率化
営業効率を向上させるとCACを下げられます。営業効率化を図るためには、CRM/SFAの導入が欠かせません。
例えば、CRMで顧客関係を管理すれば、ベストタイミングで顧客のフォローが行えるようになります。また、SFAで顧客リストや営業日報の作成を効率化すれば、商談に集中できるようになります。
営業工数を削減できれば、営業担当者は優先度の高い案件に時間を割くことができ、CACを下げるだけでなく、新規顧客が獲得できるようになるでしょう。
4.業務アウトソーシング
業務アウトソーシングで固定費を下げられれば、CACを下げられます。
例えば、自社でインサイドセールス部門を立ち上げても、営業リストの精度が低ければ顧客は獲得しにくいです。
しかし、インサイドセールス業務をアウトソーシングすれば、委託先のノウハウを借りて効率良く顧客を獲得できるようになります。
インサイドセールス業務をアウトソーシングサービスでは、リード件数保証型サービスなども登場してきているため、上手く活用することをおすすめします。
5.CVRを上げる
ホームページ全体の設計を見直してCVR(コンバージョン率)を上げることでCACが改善できます。
Web広告、SNS広告を配信しても、遷移先のページが魅力的でなければお問い合わせに繋がりません。
そのため、ホームページの操作性やデザイン性など設計を見直してCVRを上げましょう。
【6】CACを最適化した自社事例
マイナビTECH+は最新のITとテクノロジーに関する最新ニュースやレポート、セミナー情報などを発信するビジネス情報メディアです。
マイナビTECH+のCACを計測したところ、Paid CACよりもOrganic CACの顧客獲得単価が安い傾向にありました。
そのため、Web広告やSNS広告に使用していた予算をSEO対策に回した結果、リード獲得数が209%UP、売上貢献金額が160%UPとなり、CACを下げることができました。
【7】CACを下げたい方向けマイナビTECH+マーケティング支援サービス
マイナビTECH+ではマーケティング支援サービスを提供しています。CACを下げるためのマーケティング支援サービスを提供しています。
1.定型タイアップ広告
マイナビTECH+の定型タイアップ広告は、次のような流れで広告制作の工数を減らし、リーズナブルな価格でタイアップ広告が利用できるサービスです。
[定型タイアップ広告]
- タイアップ広告のフォーマットを選択する
- 取材を実施する
- タイアップ広告を作成する
- タイアップ広告を掲載する
つまり、タイアップ広告の価格を抑えることにより、CACを下げられます。
マイナビTECH+>のタイアップ広告に関する詳細情報はコチラ
2.テレマ型リード獲得サービス
マイナビTECH+のテレマ型リード獲得サービスは、PullアプローチとなるマイナビTECH+内の記事掲載に、マイナビニュース名義で実施するテレマーケティングのPushアプローチを加えたサービスです。マイナビTECH+内に掲載した記事で獲得したリードとテレマーケティングで獲得したリードを納品します。リード件数保証型のため、CACを算出しやすい施策です。
マイナビTECH+のテレマ型リード獲得サービスに関する詳細情報はコチラ
3.BtoB向けオウンドメディア支援サービス
マイナビTECH+のオウンドメディアサービスは、オウンドメディア運営支援サービスです。マイナビTECH+は月間500万PV、290万UUのITメディアです。マイナビTECH+で培ったノウハウをご提供しながら、お客様のオウンドメディア運用をお手伝いします。Organic CACはPaid CACよりも安価な価格で顧客を獲得できるケースが多いです。
マイナビTECH+のBtoB向けオウンドメディア支援サービスに関する詳細情報はコチラ
4.協賛型ウェビナー企画
マイナビTECH+の協賛型ウェビナー企画は、特定テーマのセミナーを複数社協賛で開催できるサービスです。マイナビTECH+が募集している協賛型セミナーに協賛するだけです。協賛型セミナーであれば、複数社でセミナー費用を出し合い、200~500名の申込者数を獲得できます。そのため、CACを安く抑えたい方におすすめです。
マイナビTECH+の協賛型ウェビナー企画に関する詳細情報はコチラ
マイナビTECH+のマーケティング支援サービスには、他にもメニューがあります。マイナビTECH+のマーケティング支援サービスについて詳しく知りたい方は、下記の資料をダウンロードしてみてください。
マイナビTECH+のマーケティング支援サービスの資料ダウンロードはコチラ
【8】まとめ
CACとは「Customer Acquisition Cost」の頭文字で、顧客獲得単価を意味します。CACは、次の計算式で求められます。
CAC=(マーケティング費用+営業費用)÷新規顧客の獲得数
CACがLTV(顧客生涯価値)より高くなれば利益が見込めません。つまり、営業活動が適切に行われているかを把握するための重要指標となるため、CACとLTVを比較して3倍以上であるかを確認しましょう。
CACがLTVの3倍以下の場合は営業の効率化や広告の最適化が必要です。この記事では、CACを下げるための改善策をご紹介したため、ぜひ参考にしてみてください。
またマイナビTECH+では、マーケティング支援サービスを提供しています。
マイナビTECH+ではリーズナブルな価格で利用できる定型タイアップ広告や協賛型ウェビナー企画のサービスをご提供しています。
マイナビTECH+で培ったノウハウをご提供するため、ご興味がある方はぜひお気軽にお問い合わせください。
【TECH+マーケティング責任者】武本 大平
2021年からTECH+ のマーケティング部門立ち上げを推進。現在はTECH+マーケティング担当として、 各プロダクトの販促や各種マーケティングアクティビティの立案・実行を担当。マーケティング実務検定3級、SEO検定1級、ネットマーケティング検定を保有。