名寄せとは?実施手順やおすすめのツール7選をわかりやすく解説

名寄せとは?実施手順やおすすめのツール7選をわかりやすく解説

営業やマーケティング活動で十分な顧客データを獲得しながらも、「データを施策に上手く活用できていない」と悩む方は多いです。

そのような場合に、有効となるのが名寄せです。名寄せとは、複数の顧客データを統合し、表記ゆれや重複などを解消する作業のこと。

名寄せをすることで、顧客データの品質が高まり、正確な分析や顧客体験の向上につながる施策展開が可能になります。本記事では、名寄せのメリットやしないリスク、実施手順、おすすめのツールをご紹介します。

【1】名寄せとは

名寄せとは、組織内に散在する複数のデータベースより、顧客情報を整理・統合する手法のことです。消費者のデジタル行動が加速する中、企業はいかに顧客データの収集と活用をして、施策展開できるかが重要になりました。そのため、エクセルやMAツール、SFAツールなど複数のツールで顧客データを管理していれば、部門ごとでデータ管理をするのも珍しくありません。

しかし、顧客データの重複や入力ミスなどは、施策の混乱を招き、顧客の信頼の低下や顧客離れを招きます。名寄せをすることで、企業内におけるデータの掃除から整理まで行えるため、信頼性の高い分析を行えます。

【2】名寄せをするメリット

名寄せをすることで、正確なデータ分析や受注までの流れを効率化、コスト削減など様々なメリットを得られます。名寄せとは、企業内に蓄積された顧客データの整理整頓や大掃除とも言えます。

例えば、営業やマーケティングなどの事業部ごとに顧客データを管理していると、メール配信のタイミングと内容に統一性が出ない、新規リードに迅速に対応できないなどのデメリットが生じます。名寄せによって、分散していた顧客データを統合し、データの重複や表記ゆれなどを解消すれば、部門間を横断しながらデータを活用し、最適な施策展開が可能になるのです。

また、SFAやMA、メール配信などの各種ツールを効果的に活用できるメリットもあります。顧客データが点在している、データを活用した施策展開ができていないなど、データに関する悩みや課題を抱えている場合は、一度名寄せをしてみるとよいでしょう。

 

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【3】名寄せをしないリスク

名寄せをしなければ、正確なデータ分析ができないだけではなく、企業の信頼損失や顧客離れなどの損失を招きます。例えば、データセット内に顧客データが重複していたとしましょう。この場合、メール配信ツールで一斉配信をすると、顧客に同じ内容のメールが何度も配信されてしまうのです。もしくは売上集計で重複してしまい、顧客単価が高いBtoB企業は重要な計算ミスが生じるでしょう。

ガートナーの調査によれば、低品質のデータは年間平均1,500万ドルの損失を生み出すそうです。顧客の信頼や体験を低下させず、大きな損失を生み出さないためにも、名寄せは必要だといます。

【4】名寄せが必要な企業

自社で名寄せができているかどうかの判断ができない方もいるでしょう。まず複数の部署やツールが独立して顧客データを収集している場合、名寄せが必要となります。先にも解説した通り、複数部署が独立して顧客データを管理すると、顧客状況を無視した施策展開の原因となるためです。

また、各チャネルの入力フォーマットが統一されていない場合も、名寄せが必要となるでしょう。例えば、展示会のアンケートとオウンドメディアの入力フォーマットや項目が異なるケースは多々あります。フォーマットや項目が統一されていなければ、高確率で表記ゆれや重複などが発生します。

そのほか、フォームやアンケートに自由記述形式を多く設置していたり、古い顧客データが混じっていたりする場合も名寄せが必要です。名寄せは面倒な作業ですが、習慣化しなければいけません。

よく名寄せは歯磨きにたとえられます。毎日の歯磨きを怠ると虫歯が進行するように、定期的な名寄せを怠ると大きな損失が生じてしまうのです。だからこそ、定期的に名寄せをする習慣をつけましょう。

【5】効率よく名寄せをする方法を4ステップで解説

名寄せは手間と時間がかかる作業のため、事前に名寄せの手順を理解して、効率よく実施するようにしましょう。ここからは、名寄せの手順を4ステップで解説します。

STEP1:データの把握と選定

まずは各部門で把握したいデータを明確化します。データ項目が多くなるほど、データの修正や整理に時間がかかってしまうため、初めの段階で必要なデータだけ選定するようにしましょう。

施策の目的にもよりますが、新規リードの獲得や売り上げの拡大などが目的ならば、営業部門が必要なデータを選定するとよいでしょう。なぜなら、見込み客と最後に接触するのは営業だからです。商談を円滑に進めるために必要なデータを営業に選定してもらい、顧客データを集める施策展開をするようにしましょう。

STEP2:データ入力の定義決め

必要なデータが判明したら、属性情報の定義を決めます。例えば、入力フォームに役職の入力欄を設置する場合、経営者・取締役・部長・課長・係長のように細かに定義するのではなく、経営層・マネージャー・マネジメントなど幅を持たせた設定をするとよいでしょう。

この段階で各データの定義が明確化されていなければ、表記ゆれや入力ミスなどが多数生じ、データの修正に大きな時間がかかってしまいます。

STEP3:データクレンジング

すで顧客データを収集している場合は、データクレンジングから始めましょう。データクレンジングとは、データの掃除のことです。複数のデータベースから顧客データを統合すると、入力フォーマットの違いや余白、データの空欄、重複、表記ゆれなど様々な問題が生じます。これらの問題を解決しなければ、適切なデータ分析は行えません。

データクレンジングは最も時間のかかる業務ですが、データクレンジングをしなければ、企業に損失をもたらす低品質のデータが多く混ざってしまいます。そのため、データクレンジングは丁寧に行いましょう。後述する専用ツールを活用することで、効果的に実施できます。

STEP4:データマッチング

データマッチングとは、同じ顧客を割り出す作業です。具体的には、同じ種類や属性の顧客情報に同一IDを振り分けます。データマッチングの成功には、データクレンジングで表記ゆれや重複などを徹底的に排除しなければいけません。例えば、株式会社と(株)表記の混同、NTTや日本電信株式会社など社名の不統一などがあれば、正確なデータマッチングはできないでしょう。

 

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【6】名寄せには専用ツールがおすすめ

名寄せは、Excelやスプレッドシートなどでも行えます。しかし、Excelで名寄せを行う場合、関数に精通している必要があり、手動での作業になるため膨大な時間がかかってしまうでしょう。また、社内にデータアナリストやExcelに精通した人材がいない場合、適切に名寄せができないリスクもあります。膨大な顧客データを保有していたり、名寄せを効率よく行ったりしたい場合、名寄せ専用ツールの導入がおすすめです。

名寄せ専用ツールを使えば、社内に散在するツールを横断し、自動で表記ゆれや重複などのデータクレンジングを行えます。また、自動で顧客データを補足するツールもあるのです。適切な名寄せは、多くの新規リードの獲得に貢献するため、名寄せツールへの投資を検討してみるとよいでしょう。

【7】おすすめの名寄せツール7選

最後におすすめの名寄せツール7選をご紹介します。各ツールの特徴を比べ、自社に適したものがあれば、ベンダーに料金や詳細を問い合わせしてみましょう。

Excel/スプレッドシート

王道の名寄せツールといえばExcelとスプレッドシートでしょう。豊富な関数や機能を用いれば、データの表記ゆれや空欄の発見、社名の統一、重複データの削除、メールアドレスから企業名の抽出などを行えます。多くの方が普段からExcelを利用していることもあり、すぐに使いこなせる点も魅力的です。

低コストで効果的に名寄せをできる一方、手動での作業になるため、多くの時間がかかる、ミスが生じる可能性があるなどのデメリットもあります。そのため、下記のいずれかに該当する企業にExcelとスプレッドシートはおすすめです。

  • 顧客データが少ない
  • まずは無料で名寄せを試してみたい
  • 社内にデータアナリストや関数に強い人材がいる

FORCAS

FORCAS出典:FORCAS

FORCASは、受注率の高い顧客を可視化し、売り上げを最大化するツールです。名寄せ機能では、既存の顧客リストをアップロードするだけで、自動で表記ゆれや重複などを修正できます。また、370万以上の企業データを保有しているため、企業名の修正や法人番号の付与、企業属性の追加なども可能。ユーザーインターフェースも分かりやすいため、誰でも簡単に使いこなせるでしょう。

Agra Vシリーズ

Agra Vシリーズ出典:AGRA

Agra Vシリーズはデータ検索・統合システムです。ユーザーは企業内にある情報を簡単に見つけられるようになり、関連するデータのリコメンドも表示されます。業務に必要なデータを絞り込んで、データクレンジングができます。また、辞書機能が搭載されており、辞書に基づいたデータ統合が可能です。

DataStage

DataStage出典:DataStage

DataStageはデータ統合の開発基盤。搭載されている名寄せ機能がQualityStageです。QualityStageは、住所や名前などの表記の揺らぎを自動解消します。また、単語の出現頻度やパターンなどを分析し、業務に活用できるか判断することも可能。重複データの削除後には、柔軟にルールを設定してデータマッチングができるため、効率よくデータクレンジングからマッチングまで実施できるでしょう。

Sansan

Sansan出典:Sansan

Sansanは8,000社が利用する営業を強くするデータベースです。顧客情報の蓄積ツールとして広く知られていますが、名寄せ機能もあります。Sansanの名寄せ機能を使えば、顧客情報のデータ化後に複数顧客情報を1つに統合できます。また、最新の企業情報を搭載しているため、ターゲットとなる顧客や企業の理解を効果的に深められるでしょう。

TRILLIUM

TRILLIUM出典:Precisely Trillium

Trilliumは、国内250ユーザーが利用する名寄せツールです。姓名辞書や住所辞書、法人キーワード辞書などを搭載しているため、精度の高いデータクレンジング・データマッチングに強みを持っています。

また、名寄せルールの見直しが定期的に行われるため、常に高い精度を維持できるでしょう。さらに、名寄せの条件や精度を自由に設定・調節できるため、自社に適した条件での名寄せが可能です。膨大な顧客データを保有する企業に、おすすめのツールといえます。

HubSpot

HubSpot出典:HubSpot

顧客管理ツールHubSpotにも名寄せ機能があります。HubSpotの名寄せ機能は、メールアドレスもしくはCookieによるコンタクトが重複した場合に自動で上書きされます。名寄せ専用ツールではないため、表記ゆれや企業情報の付与などは行えません。

主にオンラインで顧客情報を獲得している企業は、デジタルマーケティングを総合的に支援するHubSpotを導入し、必要に応じてExcelで名寄せをするとよいでしょう。

【8】まとめ

現代の企業活動においては、顧客情報を活用したパーソナライズ体験の提供や顧客に最適な価値の提供が欠かせません。しかし、苦労して集めた顧客データでも、重複や表記ゆれなどがあれば、効果的に活用できません。定期的に名寄せをして、社内に散在する顧客データのクレンジングと統合をしましょう。また、膨大な顧客データを抱える場合は、専用の名寄せツールの導入を検討するのがおすすめです。

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