「競争が激化する中で効果的なマーケティングを打つために、自社の強みと弱みを調べたいけれど、SWOT分析はどのように行えばよいのだろう…」「SWOT分析が適切に行えているだろうか…」などお悩みを抱えていませんか?
今回はSWOT分析について詳しく解説します。
この記事では、実際に企業のSWOT分析を行っているため、実践力も身に付くはずです。そのため、SWOT分析を習得する際にお役立てください。
マーケティング
【TECH+マーケティング責任者】武本 大平 [2025.02.12]
「競争が激化する中で効果的なマーケティングを打つために、自社の強みと弱みを調べたいけれど、SWOT分析はどのように行えばよいのだろう…」「SWOT分析が適切に行えているだろうか…」などお悩みを抱えていませんか?
今回はSWOT分析について詳しく解説します。
この記事では、実際に企業のSWOT分析を行っているため、実践力も身に付くはずです。そのため、SWOT分析を習得する際にお役立てください。
まずは、SWOT分析ついて解説します。
SWOT分析とは、自社の現状(強み・弱み・機会・脅威)を把握するために活用するワークフレームです。「強み(Strength)」「強み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の頭文字から、SWOT分析と呼ばれています。
SWOT分析
経済学者H・ミンツバーグが提唱し、ハーバード・ビジネススクールでSWOT分析が活用されたことにより有名なフレームワークとなりました。SWOT分析を利用すれば、自社の強みや弱みを洗い出した上でポジションを定められ、より効果的なマーケティング施策が打てるようになります。
SWOT分析の目的は、自社の立ち位置を明確にすることです。自社の優れている点や劣っている点を理解すれば、効果的な戦略を練れるようになります。
<SWOT分析の活用場面>
SWOT分析は、自社のポジションを明確にしてマーケティングで成果を出すために活用します。
マーケティングで成果が見込めなかったり、改善の方向性が見えなくなったりすることも珍しいことではありません。このような悩みを抱えた際に、自社の内部環境(強み・弱み)と外部環境(機会・脅威)を整理し、ポジションを確立することで、マーケティングの方向性が定めやすくなります。
例えば、自社の強みである部分を伸ばせば、大きな成果が期待できるでしょう。一方で、自社の弱みを克服したい場合は改善していく必要があります。外的要因で自社商品、サービスの需要が見込めなくなれば撤退も考えなければなりません。
このように、SWOT分析を活用すれば、マーケティングの次の一手が打ちやすくなります。
下記の記事でマーケティングに活用できるフレームワークについて解説しています。
・【テンプレ付き】マーケティングフレームワークとは?代表的な18種類と選び方を解説!
SWOT分析は3STEPで行います。
ここでは、各手順について解説します。
まず、内部環境を分析します。
自社の強みを洗い出すは、(1)競合他社と差別化できているもの(2) 自社商品が選ばれている理由を考えます。
まず、競合他社と差別化できているものを洗い出す際は、3C分析を活用しましょう。「顧客」「競合他社」「自社」を分析することで、競合他社が提供できていないけれど、自社は提供できているものを特定できます。
次に、自社商品が選ばれている理由を把握するために、顧客の声を聞きましょう。インタビューやアンケート調査で、自社商品が選ばれている理由を聞き出せます。
各企業で異なりますが、次のようなものが強みとなります。
<参考例>
3C分析の説明は下記の記事で詳しく解説しています。
・3C分析とは?目的ややり方を徹底解説【マーケティングの基本】
自社の弱みを洗い出す際には(1) 自社が劣っている点(2)自社が苦手としていることを整理しましょう。
まず、競合他社と自社の比較表を作成します。その上で「価格」「品質」「サポート力」「知名度」を比較していきます。競合サイト、口コミ、決算資料などを見て競合他社の情報を集めます。一般的に競合他社の強みが、自社の弱みとなるケースが多いです。
また、組織メンバーで意見を言い合い、自社が苦手とすることを整理しましょう。異なる部門の人を集めて意見を聞き出すことで、自社が苦手としていることを洗い出せます。
各企業で異なりますが、次のようなものが弱みとなります。
<参考例>
次に外部環境を分析します。
自社にとってプラスに働く外的要因を見つけましょう。後述していますが、PEST分析と5フォース分析を活用することで、社がコントロールできない外部環境の影響を洗い出せます。外部環境について詳しく把握するために、業界レポートやニュースを見て、市場の変化が自社にどのような影響を及ぼすのかを考えましょう。
各企業で異なりますが、次のようなものが機会となります。
<参考例>
自社にとってマイナスに働く外的要因を見つけましょう。機会を洗い出す方法と同じで、自社に悪影響を及ぼす外的要因を見つけていきます。各企業で異なりますが、次のようなものが脅威となります。
<参考例>
外部環境を分析する際はPEST分析や5フォース分析を活用すると、細かく分析できます。
PEST分析とは政治・経済・社会・技術の4つの要素から、自社を取り巻く環境を把握するためのフレームワークです。マクロ環境を分析する際に役立ちます。
政治 (Politics) |
法改正が行われる可能性はあるか? 例:法律に準拠したラベルを貼る必要が出てきた |
経済 (Economy) |
インフレは進行するのか? 例:物価高騰で消費者の節約志向が強まってきた |
社会 (Society) |
消費者の価値観、行動にどのような変化があるか? 例:独身の方が増えてきて、少量パッケージの需要が伸びてきた |
技術 (Technology) |
新技術、デジタルがビジネスにどのような影響を与えるか? 例:ドローンや自動運転自動車で商品を配送する動きが出てきている |
pest分析の説明は下記の記事で詳しく解説しています。
・pest分析とは?マクロ環境分析の目的ややり方、分析事例まで解説!
ファイブフォース分析とは業界の収益性に影響を与える5つの要因を分析するフレームワークです。ミクロ環境を分析する際に役立ちます。
競合他社の強さ (Industry Rivalry) |
競争他社の数どの程度か? 例:新規参入企業が増えて競争が激化している |
新規参入者の脅威 (Threat of New Entrants) |
新規参入は容易か、参入障壁の高さはどの程度か 例:新規参入のハ-ドルが低く、参入者が増えてきている |
代替品の脅威 (Threat of Substitutes) |
顧客が他の製品やサービスに乗り換える可能性がどれぐらいか 例:自社商品の代替品がある |
顧客の交渉力 (Bargaining Power of Buyers) |
顧客がどれぐらい選択肢を持っているか 例:さまざまな商品が販売されているため、消費者側に選択肢がある |
供給業者の交渉力 (Bargaining Power of Suppliers) |
サプライヤーが取引条件を有利に進められる力を持っているか 例:大手企業と取引しているため、価格交渉が難しい |
5フォース分析の説明は下記の記事で詳しく解説しています。
・5フォース分析とは?目的やメリット、やり方を解説!
SWOT分析で4つの要素を洗い出したら戦略を立てていきます。4つの要素を掛け合わせて、より効果的な施策を打っていきましょう。
「強み × 機会」は、攻めの戦略を立てる際に活用します。例えば、自社独自の技術に対する市場の需要が高まっている場合、それに合わせたキャンペーンを展開することで新たな顧客を獲得できる可能性があります。自社の強みを最大限に活かしてビジネス機会を創出したい場合は、強みと機会を組み合わせて考えてみましょう。
<参考例>
「強み × 脅威」は、外部環境に存在するリスクや脅威を回避・無力化するために、自社の強みをどのように活用すべきか検討する際に活用します。脅威をリスクと捉えるのではなく、逆にチャンスへと変える視点を持つことが重要です。自社の優位性を最大限に活かすことで、競争に勝つことができます。
<参考例>
「弱み × 機会」は、自社の弱みを克服し、ビジネスチャンスに変えるための戦略を考える際に活用します。弱みが原因で貴重な機会を逃さないよう、対策を講じることが大切です。対策を講じることで、新たな成長や収益の可能性を引き出すことができます。
<参考例>
「弱み × 脅威」は、外部環境における脅威をさらに悪化させないように、リスクを最小限に抑えるための戦略を検討する際に活用します。場合によっては、事業縮小や撤退も選択肢として考慮する必要があります。
<参考例>
SWOT分析を活用する際のポイントは5つあります。
最初にSWOT分析の目的を定めておきましょう。目的を定めることで、どのような情報を収集すればよいのか判断しやすくなります。
目的を定めないと、次のような問題が発生するため注意してください。
そのため、SWOT分析の前に目的を明確にしておきましょう。
効果的な分析を行うためには、前提条件を整理しておき、メンバー全員で共有することが大切です。前提条件が曖昧だと、分析の方向性が定まらず無駄な取り組みになりかねません。
例えば、競合他社について共有しておけなければ、どこの企業を競合他社とするのか認識ズレが起きてしまいます。このような失敗を防ぐために、調査対象、競合他社など前提条件を整理しておきましょう。
さまざまな視点を持つメンバーを集めることで、さまざまな意見が飛び交うようになります。
特定の部署だけでSWOT分析すると、視野が狭まり、抜け漏れが生じてしまいかねません。
例えば、営業部では顧客ニーズに偏りがちです。開発部が技術的な実現可能なのかを評価し、経営層が収益性を分析する形で協力することで、より良い戦略が立てられるようになります。の実現性が大幅に向上します。そのため、経営層、営業、マーケター、エンジニアなど、異なる視点を持つメンバーを集め、お互いの知見を活かしながら分析を行いましょう。
SWOT分析は、内部環境(強み・弱み)と外部環境(機会・脅威)を評価するためのツールですが、主観的な視点に偏ると正確な分析ができません。そのため、客観性を保つようにしましょう。
客観性を保つためには、複数のメンバーの意見を取り入れたり、定量データを活用したりするのが有効的です。社内の人だけでは主観的な視点に偏りそうだと不安を感じる場合は、コンサルタントや専門家など第三者を含めて分析を行いましょう。
SWOT分析は、外部環境(機会と脅威)や内部環境(強みと弱み)の変化を反映するために、定期的な見直しが必要です。市場や競合環境が急速に変化する中、初回の分析だけでなく、継続的に行うことが大切です。
新たな競合他社が登場した場合などに、SWOT分析を行いましょう。また、四半期毎など定期的な見直しのタイミングを決めておくことで、定期的に見直す習慣が作れます。
SWOT分析について解説してきましたが、実際に分析してみましょう。マイナビTECH+が有名企業をSWOT分析してみましたが、ぜひ一緒に取り組んでみてください。
出典元:『トヨタ自動車』
トヨタ自動車は、世界を代表する自動車メーカーとして広く知られています。
高い技術力と効率的な生産体制を活かし、多様な顧客ニーズに応えるラインナップを取り扱っていることが強みです。
また、ハイブリッド車(HV)や燃料電池車(FCV)など環境対応車で業界をリードしており、地球環境保護への取り組み意識が高い企業としても知られています。
一方で、競合他社が電気自動車(EV)に多額の投資をしている中で、トヨタ自動車は投資を延期している状況です。そのため、電気自動車(EV)が遅れを取っています。
今後、MaaS(Mobility as a Service)やスマートシティの需要が伸びるとされており、こちらに多額の投資をしています。この投資が新たな収益源になる見込みです。
日本国内では自動車離れが深刻な問題となっており、自動車メーカーは大打撃を受けると言われていますが、MaaS(Mobility as a Service)やスマートシティに取り組むことで乗り越えようとしています。
強み (Strengths) |
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弱み (Weaknesses) |
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機会(Opportunities) |
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脅威 (Threats) |
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出典元:『マクドナルド』
マクドナルドは、世界最大規模のファストフードチェーンとして知られています。1940年に創業し、現在では100を超える国と地域で約40,000店舗を展開しています。 このスケールメリットを活かして、高品質な食材を安価な価格で調達できることが強みです。
また、マクドナルドにはハンバーガー大学があり、クルーに対するトレーニングが入念に行えるようになっています。さらに、マクドナルドアプリ、配送サービスなどでリードしています。
一方で、健康志向な方向けのメニューが少ないことが弱点です。競合他社では、ソイパティなど健康志向な方向けのメニューが開発されてい ます。ハンバーガーは高カロリーで健康に悪いと世論の声もありますが、健康志向な方が増えるとシェアが奪われてしまうでしょう。
しかし、健康志向な方向けのメニューを開発すれば、ビジネス機会にもなります。
マクドナルドに限った話ではありませんが、物価高騰や人件費高騰で利益が出にくくなっています。日本マクドナルドでは、2024年1月に約3分の1の商品の価格を値上げしました。
強み (Strengths) |
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弱み (Weaknesses) |
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機会(Opportunities) |
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脅威 (Threats) |
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出典元:『Apple』
Appleは、1976年に創業され、現在は世界をリードするテクノロジー企業として知られています。
革新的な製品と洗練されたデザイン、直感的なユーザーエクスペリエンスを提供することで圧倒的な支持を得ています。圧倒的なブランド力を持っていることが強みです。
また、ハードウェア、ソフトウェア、サービスをシームレスに統合したエコシステムにより、他社への乗り換え抑制に成功していることも強みと言えるでしょう。Apple社の時価評価額は390兆円で、毎年4.5兆円を研究開発費に費やせる財務基盤の強固さも魅力です。AIやAR/VR分野へ積極的に投資をして、新たなビジネス機会を得ようとしています。
一方で、Mac、iPhone、iPad、Apple Watchの競合製品が続々と登場してきています。非常にリーズナブルな価格の競合製品が登場してきたため、価格に敏感な消費者を獲得するのは難しくなってきました。
Apple社の売上の中心はiPhoneですが、近年、GoogleのGoogle Pixelもブランド力を上げてきています。Google Pixelを脅威と捉えて、差別化する必要があります。
強み (Strengths) |
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SWOT分析とは、自社の現状(強み・弱み・機会・脅威)を把握するために活用するワークフレームです。自社のポジションを明確にしてマーケティングで成果を出すために活用します。次の一手が打ちやすくなるため、マーケティングの施策を考える前にSWOT分析を行いましょう。この記事では、SWOT分析の方法をご紹介しました。ぜひ、これを機会に自社の分析を行ってみてください。
【TECH+マーケティング責任者】武本 大平
2021年からTECH+ のマーケティング部門立ち上げを推進。現在はTECH+マーケティング担当として、 各プロダクトの販促や各種マーケティングアクティビティの立案・実行を担当。マーケティング実務検定3級、SEO検定1級、ネットマーケティング検定を保有。
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