「商品・サービスの販売手法を決める際に役立つ4C分析とは、どのようなフレームワークなのだろう…」「4C分析と4P分析はどのような違いがあるのだろうか…」と気になっていませんか?
4C分析が行えるようになれば、顧客の購買意欲を上げるための販売手法が検討しやすくなります。
今回は4C分析について詳しく解説します。この記事では、有名企業を4C分析した事例もご紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
マーケティング
【TECH+マーケティング責任者】武本 大平 [2025.03.05]
「商品・サービスの販売手法を決める際に役立つ4C分析とは、どのようなフレームワークなのだろう…」「4C分析と4P分析はどのような違いがあるのだろうか…」と気になっていませんか?
4C分析が行えるようになれば、顧客の購買意欲を上げるための販売手法が検討しやすくなります。
今回は4C分析について詳しく解説します。この記事では、有名企業を4C分析した事例もご紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
4C分析とは顧客視点で商品やサービスの販売方法を検討するためのフレームワークです。
1993年に米国のマーケティング学者ロバート・F・ロータボーン氏が提唱しました。次の4つの要素を分析するため4C分析といいます。読み方は「よんしー分析」です。
4C分析の目的は、顧客ニーズを満たした商品開発、販売手法を検討して競争優位性を高めることです。
高度経済成長期はモノを作れば売れる時代ですが、バブル期以降は日本経済が冷え込み、モノを作るだけでは売れない時代となりました。そのため、顧客視点で「価値」「価格」「利便性」「コミュニケーションのとりやすさ」を考えて、商品やサービスに反映させていくことが重要となりました。
顧客がどのように感じるかを深く掘り下げて、最大限の価値を提供するために4C分析を活用します。
4C分析は「4P分析」「3C分析」「5C分析」と混合されやすいです。そのため、各フレームワークも併せて理解しておきましょう。
3C分析は業界環境を分析するために活用するフレームワークです。「市場・顧客」「競合他社」「自社」について明らかにして、マーケティング戦略の土台を作るために活用します。
対象 |
分析項目 |
市場・顧客 (Customer) |
|
競合他社 (Competitor) |
|
自社 (Company) |
|
下記の記事で3C分析について詳しく解説しています。
・3C分析とは?目的ややり方を徹底解説【マーケティングの基本】
4P分析は企業視点で商品やサービスの販売方法を検討するためのフレームワークです。利益を確保するために、どのような商品開発や販売手法にすべきか検討する際に活用します。
下記の記事で4P分析について詳しく解説しています。
・4P分析とは?意味や目的、使い方まで紹介【具体例の解説付き】
5C分析とは、業界環境を分析するために活用するフレームワークです。3C分析をより多角的に分析したい場合に活用します。
対象 |
分析項目 |
市場・顧客 (Customer) |
|
競合他社 (Competitor) |
|
自社 (Company) |
|
中間顧客 (Customer) |
|
地域 (Community) |
|
下記の記事でマーケティングで活用できるフレームワークについて詳しく解説しています。
・【テンプレ付き】マーケティングフレームワークとは?代表的な18種類と選び方を解説!
4C分析では「Customer Value(顧客価値)」「Cost(価格)」「Convenience(利便性)」「Communication(コミュニケーションのとりやすさ)」を分析します。
Customer Value(顧客価値)とは、顧客が商品やサービスから得られる価値です。製品のスペックだけでなく、使用することでどのようなメリットがあるかを考えることが重要です。
例えば、カメラ搭載スマホの場合は性能が高いだけでなく、思い出の写真をキレイに残せたり、暗い場所でも鮮明に撮影できたりして、カメラより支持されるようになりました。このように、商品・サービスを通してどのような価値が提供できるかを考えます。
Cost(価格)とは、商品やサービスの販売価格ではなく総合的なコストを指します。販売価格を下げれば良いわけではなく、販売価格に見合った価値を提供することが大切です。
販売価格が高くても、商品やサービスに価値を感じていれば購入してもらえます。そのため、顧客が納得できる販売価格を設定することが大切です。Cost(価格)を分析する際は、次のコストを含めて統合的に考えていきましょう。
Convenience(利便性)とは、顧客が商品やサービスをどれだけ簡単に購入できるかを指します。インターネット普及後、ECサイトを運営する企業が増加し利便性が購買行動を左右するようになりました。また、電子マネーを利用する方も増加してきているため、顧客が便利だと思う顧客体験を提供していきましょう。
Communication(コミュニケーションのとりやすさ)とは、企業と顧客で信頼関係を構築するために、どのようなコミュニケーションを取ればよいかを考えることをいいます。企業から一方的に情報を発信するのではなく、双方向のコミュニケーションを図ることが重要です。顧客の視点に立ち、どのようなコミュニケーションが喜ばれるかを考えましょう。
4C分析のメリットは3つあります。
4C分析により顧客ニーズを満たした商品開発ができるようになります。なぜなら、顧客視点で「価値」「価格」「利便性」「コミュニケーションのとりやすさ」を考えて、商品やサービスに反映させていくためです。
単純に高性能な商品を開発するのではなく、顧客が本当に求めている価値は何かを基準に商品開発が行えるようになります。例えば、高性能な商品でも使いづらければ不満を持たれてしまいかねません。顧客の負担を取り除くことを重視し商品開発を行えば、市場にフィットした商品を誕生させられて売上を伸ばすことができます。
4C分析を活用して商品開発を行えば、競合製品と差別化を図れて、市場にてポジションを確立できるようになります。なぜなら、4C分析で顧客が求めている価値のある商品を提供できるようになるためです。
そのため、価格競争に巻き込まれずにブランドの独自性を強調できるようになります。ブランドの独自性が強調できれば、競合他社よりも販売価格が高くても購入してもらえるようになります。このように、顧客価値を軸にした差別化で価格競争から脱却できることもメリットです。
4C分析を活用することで、顧客視点による新たな付加価値を発見できるようになります。なぜなら、4C分析は顧客視点で物事を考えるため、顧客の隠れたニーズに気付きやすくなるためです。
特に、感情的価値 や社会的価値に注目すると競合他社にはない価値を提供できるようになります。 新たな付加価値を発見できれば、顧客に選ばれる魅力的なブランドが作れるようになり価格競争に巻き込まれずに済みます。
4C分析は「新商品の開発」「既存商品の改善」「競合製品の分析」に活用します。
新商品を開発する際に4C分析を活用して顧客ニーズを把握し、反映させれば魅力的な商品が作れます。顧客ニーズを正確に把握するために「市場調査」「インタビュー」「アンケート調査」「VOC分析」を行い、商品の方向性を定めることが大切です。
新商品開発に4C分析を活用すれば、顧客の視点で「商品品質」「販売価格」「顧客体験」が考えられるようになりヒット商品が生まれやすくなります。
既存商品を改善する際に4C分析を活用すれば、顧客ニーズの変化に適応できるようになり、商品を強化できるようになります。顧客ニーズは日々変化しています。そのため、定期的に顧客の声に耳を傾けて、既存商品の課題を特定していきましょう。顧客の声を参考にしながら、既存商品の品質、販売価格、サポート体制などを改善することで顧客満足度を向上させられます。定期的に改善していくことで、新規顧客や既存顧客に支持される商品を作れるようになります。
競争の激しい環境で勝利するためには、競合製品の分析が欠かせません。競合他社を4C分析すれば、競合製品の強みや弱みを把握できて、自社製品の差別化ポイントを発見できるようになります。
顧客視点から競合製品を分析すると、どのような顧客をターゲットに定めているのか、どのようなアプローチをしているかを明らかにできます。また、競合製品のレビューを見れば、消費者がどのような点に満足していて、どのような点を不満に感じているか把握することも可能です。さまざまな競合製品を分析すれば、自社が狙うべき市場を定められるようになります。
4C分析は4STEPで取り組みます。
ここでは、各手順について詳しく解説します。テンプレートを活用すると、4C分析が行いやすくなります。インターネット上でテンプレートが配布されているためダウンロードして利用しましょう。
まずは、ターゲットを定めます。自社の商品やサービスはどのような人向けなのかを考えます。ターゲットが不明確だと4C分析が曖昧になってしまいかねません。そのため、4C分析を行う前にターゲットを定めましょう。ターゲットは2STEPで設定できます。
どのような市場を狙うのか市場をセグメント化して、ターゲットを決めます。市場をセグメント化する際には、以下のような切り口から考えてみましょう。
セグメント方法 |
概要 |
デモグラフィック |
年齢や性別、職業などで顧客をグループ化する 例:年齢、性別、収入、家族構成、宗教など |
サイコグラフィック |
顧客の心理(価値観や信念)を分析してグループ化する 例:パーソナリティ、価値観、ライフスタイルなど |
ジオグラフィック |
マーケットの場所でグループ化する 例:国、都道府県、気候区分、人口密度など |
行動 |
顧客の行動に基づいてグループ化する 例:商品の購入頻度、購入金額など |
ターゲットを設定したら、顧客プロファイル(ペルソナ)を作成して、マーケティング戦略が立案しやすくなるように情報整理しておきましょう。次のような顧客情報を整理すると、顧客の理解が深まります。
ペルソナ
氏名/性別/年齢/居住地/勤務地/職業/学歴/年収/家族構成/趣味/よく行く場所/接触メディア/SNS/使用デバイス/平日の過ごし方/休日の過ごし方/商品の選び方/検索キーワード/課題/要望/価値観
下記の記事でペルソナについて詳しく解説しています。
・【保存版】ペルソナとは?必要な要素から作り方や事例までを解説!
4C分析の前に自社優位性を把握しておきましょう。SWOT分析を行えば、自社の強みや弱みを正確に把握できるようになります。
自社優位性を把握することが重要な理由は、競争環境の中で、どのような差別化をすれば顧客に選んでもらえるか理解できるようになるためです。
自社の強みを理解できていなければ、競合他社との差別化が曖昧になり、顧客の心を掴めません。4C分析を行っても、自社が叶えられることかどうか判断も難しくなります。
そのため、4C分析の前に、競合他社と自社を比較して、自社優位性を把握しておきましょう。
下記の記事でSWOT分析について詳しく解説しています。
・SWOT分析とは?脅威・機会・弱み・強みの要素から戦略を練る方法を解説
次に「Customer Value(顧客価値)」「Cost(価格)」「Convenience(利便性)」「Communication(コミュニケーションのとりやすさ)」を分析します。
4C分析は顧客視点で行うものですが、企業視点に陥ってしまうことがよくあります。なぜなら、自社商品はどうすれば売れるかに意識が向いてしまうためです。
そのため、自社商品は顧客のどのような課題を解決するものなのかと考えるようにしましょう。
このように考えると、自然と顧客視点で物事を考えられるようになります。また、顧客を含めて分析する方法もおすすめです。
最後に4C分析の各要素の整合性を把握します。「Customer Value(顧客価値)」「Cost(価格)」「Convenience(利便性)」「Communication(コミュニケーションのとりやすさ)」が満たされているかどうかを確認しましょう。どれか1つだけ突出しているだけでは、顧客に商品を選んでもらえません。
例えば、機能性が優れた商品でも販売価格が高ければ売れないでしょう。
このように、商品を売るためには各要素のバランスが必要になります。そのため、各要素で整合性が取れているかを最後に確認してください。
人気商品は顧客ニーズを満たしています。4C分析を行えば、なぜ人気なのか理解できるため、気になる商品を分析してみましょう。マイナビTECH+が人気商品を4C分析してみました。ぜひ、4C分析のやり方の参考にしてみてください。
出典元:『スターバックス』
スターバックスは国内シェアNo.1を誇る日本最大級のカフェチェーンです。美味しいコーヒーを提供するだけでなく、家族や友人と語り合える、良い関係を築ける場所(サードプレイス)を提供し支持されています。スターバックスが支持される理由を4C分析すると、以下の通りとなります。
Customer Value (顧客価値) |
|
Cost (価格) |
|
Convenience (利便性) |
|
Communication (コミュニケーションのとりやすさ) |
|
出典元:『ゴリラのひとつかみ』
ゴリラのひとつかみは、株式会社ドウシシャが販売する健康家電です。50万個の大ヒット商品となってなり、品切れ状態が相次いでいます。さまざまな健康家電が販売されている中でもヒット商品となったゴリラのひとつかみを4C分析すると、以下の通りとなります。
Customer Value (顧客価値) |
|
Cost (価格) |
|
Convenience (利便性) |
|
Communication (コミュニケーションのとりやすさ) |
|
出典元:『iPhone』
iPhoneは国内スマートフォンシェアNo.1を誇る端末です。Androidと比較しても価格が高いにも関わらず、顧客獲得に成功しています。iPhoneを4C分析すると、以下の通りとなります。
Customer Value (顧客価値) |
|
Cost (価格) |
|
Convenience (利便性) |
|
Communication (コミュニケーションのとりやすさ) |
|
4C分析とは、マーケティング戦略を練るために顧客視点で商品やービスを分析するフレームワークをいいます。顧客視点で「Customer Value(顧客価値)」「Cost(価格)」「Convenience(利便性)」「Communication(コミュニケーションのとりやすさ)」を考えていけば、顧客価値を軸にした差別化で価格競争から脱却できます。
他社製品より販売価格が高くても売れるようになるでしょう。バブル期以降は日本経済が冷え込み、モノを作るだけでは売れない時代となりました。
顧客がどのように感じるかを深く掘り下げて、最大限の価値を提供することで成功しやすくなります。そのため、マーケティング戦略を練る際は4C分析を行ってみてください。
マイナビTECH+ではBtoBマーケティング支援サービスを提供しています。マーケティング戦略を強化のご提案もしているため、ご興味がある方はぜひお問い合わせください。
【TECH+マーケティング責任者】武本 大平
2021年からTECH+ のマーケティング部門立ち上げを推進。現在はTECH+マーケティング担当として、 各プロダクトの販促や各種マーケティングアクティビティの立案・実行を担当。マーケティング実務検定3級、SEO検定1級、ネットマーケティング検定を保有。
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