「販売戦略を検討する際の4P分析はどのようにやるのだろうか…」「4P分析と4C分析は何が違うのだろうか…」と悩んでいませんか?
今回は4P分析について解説します。この記事では、有名企業の分析事例をご紹介しているため、どのように分析すればよいか、ぜひ参考にしてみてください。
マーケティング
【TECH+マーケティング責任者】武本 大平 [2025.03.05]
「販売戦略を検討する際の4P分析はどのようにやるのだろうか…」「4P分析と4C分析は何が違うのだろうか…」と悩んでいませんか?
今回は4P分析について解説します。この記事では、有名企業の分析事例をご紹介しているため、どのように分析すればよいか、ぜひ参考にしてみてください。
4P分析はマーケティング・ミックスに活用するフレームワークです。
読み方は「ふぉーぴーぶんせき」または「よんぴーぶんせき」です。米国のマーケティング学者エドモンド・ジェローム・マッカーシーが提唱しました。
顧客に商品を購入してもらい利益を出すために、企業視点で「Product(商品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(販売促進)」を考えていきます。
4P分析
4P分析も4C分析もマーケティング・ミックスで活用するフレームワークです。
マーケティング・ミックスとは顧客の購買意欲を上げる販売戦略をいいます。
4P分析は企業視点で販売戦略を立案する際に用いるフレームワークです。一方で、4C分析は顧客視点で販売戦略を立案する際に用いるフレームワークとなります。
4C分析
4Cと4Pを併用することで精度の高い販売戦略が立案できるようになります。
下記の記事で4C分析について詳しく解説しています。
・4C分析とは?目的やメリット、やり方を具体例を交えて解説!
4P分析のメリットは4つあります。
4P分析を行い「商品」「価格」「流通」「プロモーション」について検討していことで、商品のスペックと価格の統合性が取れるようになります。
例えば、価格を決める際には、競合他社の販売価格を調査して、どれぐらいで販売するのが妥当なのかを考えます。あまりにも、かけ離れた価格を付けると売れないためです。
そして、商品の価値を加味した価格を付けます。このような流れで考えていくため、商品のスペックと価格の統合性が取れるようになります。
4P分析を活用すれば「商品」「価格」「流通」「プロモーション」をどうするか検討しやすくなり、販売戦略を立てていくことができます。
例えば、商品について情報整理する段階で「デザイン」「機能」「品質」「サポート」のどこが強みなのか気づくことができるでしょう。自社の強みや弱みを押さえた上で、効果的なマーケティング施策(販売戦略)が打てるようになります。
4P分析を活用することで、販売戦略について論理的に考えられるようになります。マーケティング会議にて話し合う場合でも論点がブレずに議論することができるようになるため、合意形成が取りやすくなるでしょう。何について話し合うかも定められるため迅速な意思決定が行えるようになります。
4P分析で販売戦略を練り、リソース配分を適切に行えば売上や利益を最大化していけます。
例えば、流通を検討する際に、ターゲット顧客がどのようなチャネルを利用するかを踏まえて絞り込めば、顧客対応を効率化できるようになるでしょう。
プロモーションにおいても同様です。ターゲット顧客に訴求するためのプロモーション(広告)に絞り込むことで無駄なコストを抑えられるようになります。
このように、無駄なコストを抑えられるため利益が出やすくなります。
4P分析は「Product(商品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(販売促進)」を分析していきます。ここでは、4つの要素の分析方法について詳しく解説します。
どのような商品を提供するかを検討する際には、まずコンセプトを決めます。
「誰が使うのか?」「いつ、どこで使用するのか?」「商品の価値とは?」を明確にします。
その上で顧客が何を求めているのかを考えることも大切です。顧客ニーズを正確に把握するためにアンケートやインタビューを行いましょう。その上で、自社が満たせそうな顧客ニーズを発見していきます。
「デザイン」「機能」「安全」「操作」「保証」において、競合他社より魅力的な商品を開発することで売れやすくなりますが、自社が顧客に提供できるものは何かを考えることが大切です。競合他社と自社を比較して、どこが強みで、どのような価値を提供できるかを考えていきましょう。
顧客に対してどのような価値を提供できるかを考えることが大切ですが、競合他社が提供できない価値でなければ選んでもらえません。そのため、SWOT分析で自社の強みと弱みを発見した上で、顧客にどのような価値を提供するかを考えましょう。
SWOT分析
自社優位性を発見することで、自社商品が選ばれやすくなります。
下記の記事でSWOT分析について詳しく解説しています。
・SWOT分析とは?脅威・機会・弱み・強みの要素から戦略を練る方法を解説
どれぐらいの価格で販売するかを検討する際には、どれぐらいの利益を確保すればよいかを考えましょう。その理由は、利益を確保できなければ事業が成り立たないためです。
しかし、世間の感覚とかけ離れた価格を設定すると商品が売れなくなります。そのため、競合他社の商品価格を調査して、どれぐらいの価格が適正なのか判断しましょう。
そして、カスタマーバリューを加味して、顧客がいくらであれば納得して商品を購入してくれるのかを考えます。
消費者の心理テクニックを活用して価格を決めると商品が売れやすくなります。そのため、次のようなテクニックを上手く活用しましょう。
テクニック |
詳細内容 |
名声価格 |
高い価格をつけてブランド価値を高める |
端数価格 |
2,980円と端数にすることで安いイメージを与える |
段階価格 |
松竹梅のプランを用意して真ん中を選ばれやすくする |
均一価格 |
均一価格にして不要なものまで購入してもらう |
抱き合わせ価格 |
セット販売で販売してお得さを感じさせる |
プライスライニング |
お歳暮やお中元等など、価格帯が決まっていることを利用する |
サブスクリプション |
サブスクリプション型のビジネスモデルにする |
お試し価格 |
ライトユーザーが試せる価格を設定する |
どこで販売するのかを決める際は、「ターゲット」と「商品の特性」を踏まえて検討していきましょう。消費者に意見を聞き、どうすれば利便性が上がるのかを考えます。
例えば、ファーストフードであれば気軽に食べられることが利点です。大手ファーストフードは低価格の商品を提供するだけでなく、自宅から店舗に歩いていける距離に出店するなどして気軽に行けるように工夫しています。
このように、「ターゲット」と「商品の特性」を踏まえて販売手法を検討していくことが大切です。
流通では最適な経路(チャネル)を選ぶことが大切です。単純に経路を増やせばよいものではありません。流通経路を広げれば消費者に商品を届けやすくなりますが、商品のブランドイメージをコントロールできなくなります。流通経路を狭くすれば消費者に商品が届きにくくなりますが、商品のブランドイメージをコントロールできます。そのため、自社の商品特性に合った最適なチャネルを選びましょう。
チャネル戦略 |
詳細内容 |
開放的チャネル |
経路を広げて多くの消費者に商品を届ける (例)食料品や日用品など |
選択的チャネル |
開放的チャネルと排他的チャネルの中間 (例)化粧品や家電製品など |
排他的チャネル |
経路を狭くして、ブランドイメージをコントロールする (例)自動車、PC、ブランド品など |
どのように販促活動するかを検討する際は、ターゲットに合ったプロモーションを考えましょう。STP分析を行い「どのようなターゲットに」「どのような優位性を訴求するのか?」を決めます。
STP分析
下記の記事でSTP分析について詳しく解説しています。
・STP分析とは?自社の強みや立ち位置を分析する方法を解説!
ターゲットを決めたらペルソナを作成しましょう。ペルソナとは、自社サービスを利用するであろう架空の顧客プロファイルです。
氏名、年齢、家族構成、職業、出身、性格、趣味、使用SNS、読む雑誌、1日の生活の流れをまとめておくことで、思考や消費行動が見えてアプローチしやすくなります。費用対効果が高いプロモーションを打つために欠かせないため、必ずペルソナを作成した上でプロモーション戦略を考えていきましょう。
下記の記事でペルソナについて詳しく解説しています。
・【保存版】ペルソナとは?必要な要素から作り方や事例までを解説!
4P分析で販売戦略を立案する際のポイントは4つあります。
4P分析は企業視点で販売戦略を検討する際に活用するフレームワークですが、主観や希望的観測を入れてはいけません。
主観や希望的観測を入れると、市場とはかけ離れた価格を設定してしまい、顧客に商品を選んでもらえなくなります。そのため、データに基づいて販売戦略を立案しましょう。
例えば、自社は顧客に対してどのような価値を提供できるか考える際は、アンケートやインタビューをしてみることをおすすめします。
また、価格を決める際は競合商品の価格を調査して、どれぐらいが適正価格なのか考えることが大切です。このように、データに基づいて販売戦略を立案することで、成果が見込みやすくなります。
4P分析の各要素(商品・価格・流通・販売促進)は別々に考えるのではなく、統合的に考えることが大切です。
例えば、食品や日用品など手頃な価格の商品を販売する場合はスーパーやコンビニなど、さまざまな場所で販売した方が購入してもらいやすくなります。一方で、ブランド品など高価な価格の商品を販売する場合は富裕層のみに届くように販売経路を絞り込んだ方がよいでしょう。このように統合的に考えることが大切です。
4P分析は企業視点で販売戦略を立案する際に活用するフレームワークです。企業視点だと、偏った販売戦略になりかねません。
あくまでも、顧客に商品を選んでもらう必要があります。そのため、4C分析を併用して顧客視点で販売戦略を立案してみましょう。
企業視点の4P分析と顧客視点の4C分析を併用することで、精度の高い販売戦略が立案できるようになります。
サービス業の販売戦略では4P分析ではなく7P分析を活用しましょう。
7P分析とは「People(人)」「Process(サービスのプロセス)」「Physical Evidence(物理的環境)」を追加したものです。
7P分析
サービス業では無形サービスを提供したり、時期で変動を受けたりすることがあるため4P分析で販売戦略を立てるだけでは十分な効果が得られません。そのため、上記のように7つの要素から販売戦略を考えるようにしましょう。
4P分析だけではマーケティング戦略の立案は失敗してしまいかねません。なぜなら、外部環境や内部環境を分析して自社優位性を見つけておくことで、精度の高いマーケティング戦略が立案できるようになるためです。そのため、マーケティング戦略プロセスの一連の流れを覚えておきましょう。
マーケティング戦略プロセス
マーケティング戦略 |
マクロ環境分析 |
pest分析 |
ミクロ環境分析 |
5フォース分析 |
|
業界環境分析 |
3C分析 |
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戦略目標 |
SWOT分析 |
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基本戦略 |
STP分析 |
|
具体的施策(企業視点) |
4P分析 |
|
具体的施策(顧客視点) |
4C分析 |
下記の記事で、マーケティングフレームワークについて詳しく解説しています。
・【テンプレ付き】マーケティングフレームワークとは?代表的な16種類と選び方を解説!
4P分析のやり方をご紹介しましたが、実際に企業を4P分析しましょう。マイナビTECH+が有名企業を4P分析してみましたが、ぜひ一緒に分析をしてみてください。
出典元:『スターバックス』
スターバックスは国内シェアNo.1を誇るカフェチェーン店です。国内に1,991店舗(2025年2月時点)あります。スターバックスと他店との大きな違いはカフェメニューのカスタマイズができることです。アラビカ種のコーヒー豆を使用するなどコーヒーの品質だけではなく楽しさを提供しています。
居心地がよいサードプレイスを提供しているカフェチェーンとして有名ですが、季節限定の商品やスターバックスリワードなど素晴らしい顧客体験を提供しており、このような差別化で幅広い世代の人に愛されるカフェへと成長しました。
Product(商品) |
アラビカ種のコーヒー豆100% 季節限定商品や地域限定商品を提供 メニューのカスタマイズが可能 |
Price(価格) |
ブランド価格 |
Place(販売手法) |
交通の多いエリアに出店 都心部でサードプレイスを提供 モバイルオーダーを導入 |
Promotion(販売促進) |
季節限定の商品 キャンペーン ポイントプログラム スターバックスリワード |
出典元:『マクドナルド』
マクドナルドはコロナ禍でも売上を伸ばし、2024年には最高益を出したことで知られているファーストフード店です。マクドナルドが支持される理由は、ボリューム感のあるセットメニューが約600円で食べられることです。そのため、学生でも注文することができます。
またデリバリー注文すればすぐに届くため仕事で忙しいビジネスパーソンの頼もしい味方となっています。
それだけでなく、ハンバーガーやポテト、サラダ、カフェメニューと幅広い商品ラインナップがあります。季節・期間限定商品やコラボ商品などを開発していてファミリー層も楽しめるファーストフード店です。このように幅広い世代の人に対して価値を提供しており、売上を伸ばすことに成功しています。
Product(商品) |
|
Price(価格) |
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Place(流通) |
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Promotion(販売促進) |
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出典元:『セブンイレブン』
セブインイレブンは国内No.1のシェアを誇るコンビニエンスストアです。セブンイレブンの強みは商品企画力の高さです。
プライベート商品「セブンプレミアム」は品質と価値にこだわり続け、累計売上15兆円を超える国内最大級ブランドに成長しました。一流の料理人や専門家が開発した商品なども販売されています。
また、地域に合ったサービスを提供しており、物産展となるような取り組みをするなどして集客に成功しています。
便利だからコンビニ行く以外の動機付けをしています。
また、セブンイレブンは高齢者や運転免許を取らない若年層が買い物に困らないようにデリバリーに対応しました。自社が顧客にどのような価値を提供できるかを考えているため、支持されているのです。
Product(商品) |
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Price(価格) |
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Place(流通) |
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Promotion(販売促進) |
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4P分析はマーケティング・ミックスに活用するフレームワークです。顧客に商品を購入してもらい利益を出すために、企業視点で「Product(商品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(販売促進)」を考えていきます。
事業が成り立つように、どのような販売戦略をすべきか検討する際に役立つフレームワークです。この記事では、有名企業を4P分析してみました。実践力を養うために、気になる会社や自社を4P分析してみてください。
もし、自社で販売戦略を練っても成果が出ないとお悩みの際は、マイナビTECH+までお問い合わせください。マイナビTECH+ではBtoBマーケティング支援サービスを提供しています。マーケティング戦略のご提案もしているため、ご興味がある方はお気軽にご相談ください。
【TECH+マーケティング責任者】武本 大平
2021年からTECH+ のマーケティング部門立ち上げを推進。現在はTECH+マーケティング担当として、 各プロダクトの販促や各種マーケティングアクティビティの立案・実行を担当。マーケティング実務検定3級、SEO検定1級、ネットマーケティング検定を保有。
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