「顧客にどのようなメッセージを配信すれば、自社に興味を持ってもらえるのだろうか…」「どのような戦略を立てればよいのだろうか…」と悩んでいませんか?
このような悩みは、STP分析で解決できます。STP分析を活用すれば、効果的なマーケティング戦略を立てられるようになるでしょう。
今回はSTP分析について詳しく解説します。この記事では、有名企業のSTP分析を行っているため、実践にも役立つはずです。そのため、実践スキルを身に付けたい方は参考にしてみてください。
マーケティング
【TECH+マーケティング責任者】武本 大平 [2025.02.12]
「顧客にどのようなメッセージを配信すれば、自社に興味を持ってもらえるのだろうか…」「どのような戦略を立てればよいのだろうか…」と悩んでいませんか?
このような悩みは、STP分析で解決できます。STP分析を活用すれば、効果的なマーケティング戦略を立てられるようになるでしょう。
今回はSTP分析について詳しく解説します。この記事では、有名企業のSTP分析を行っているため、実践にも役立つはずです。そのため、実践スキルを身に付けたい方は参考にしてみてください。
まずは、STP分析の基本概要について解説します。
STP分析は、自社のポジションを決めた上で戦略を練る際に用いるフレームワークです。アメリカの経営学者であるフィリップ・コトラー氏によって提唱されました。「Segmentation(セグメンテーション)」「Targeting(ターゲティング)」「Positioning(ポジショニング)」の頭文字からSTP分析と名付けられています。
自社の優位性を確保し、効果的なマーケティング戦略を練るために活用します。
<STP分析>
STP分析が重要な理由は、競争が激化している中で成功を収めるためには、自社の強み(優位性)を発見し、マーケティング戦略を練る必要が出てきたためです。そのため、自社の強みを活かしたマーケティング戦略を練ることができれば、市場競争力を向上させられます。
STP分析は、自社のポジションを決めた上で戦略を練る際に用いるフレームワークです。そのため、新規事業の立ち上げやブランドリニューアルなどに役立ちます。
例えば、新規事業を立ち上げる際に「自社の優位性を発揮するために、どのような市場を狙うべきなのか?」「どのような顧客ニーズに応えるべきか」を考えられるようになります。
また、ブランドリニューアル時には、「どのような顧客に、どのような価値を提供するのか」「どのようなメッセージを発信すれば響くのか」が考えやすくなるでしょう。事業戦略やマーケテフィング戦略を考える際に、STP分析が必要となります。
下記の記事で、マーケティングフレームワークについて詳しく解説しています。
・【テンプレ付き】マーケティングフレームワークとは?代表的な16種類と選び方を解説!
STP分析で「市場」「顧客ニーズ」「他社との差別化(競争優位性)」「プロモーション戦略」を明らかにできます。
STP分析を通じて、自社が参入すべき市場を明らかにできます。
なぜなら、セグメンテーション時に「将来も市場の成長は見込めるのか?」「市場規模はどれぐらいなのか?」を整理するためです。市場規模や市場成長率を整理することで、参入すべきか、撤退すべきか適切な判断ができるようになります。また、新規事業を立ち上げる場合は、市場規模から、どれぐらいのリソースが必要になるのか想定して動けるようになります。
市場調査で競合他社が未参入の市場を発見できれば、大きなビジネスチャンスを得ることも可能です。
STP分析を通じて、顧客ニーズも明らかにできます。
なぜなら、ターゲティング時に、顧客を「年齢」「性別」「収入」「ライフスタイル」などの属性で分類した上で、どのようなニーズを持っているか調査するためです。
顧客にインタビューやアンケート調査に協力してもらえば、顧客ニーズを的確に把握できます。どのような顧客が自社商品を購入してくれるのか理解できるようになり、より効果的な施策が打てるようになります。
STP分析を通じて、他社との差別化(優位性)も明らかにできます。
なぜなら、ポジショニング前には、競合他社(競合製品)と自社(自社製品)を評価するためです。例えば、製品を評価する場合は「価格」「機能」「デザイン」「サポート体制」などを評価していきます。
競合他社(競合製品)と自社(自社製品)を評価することで、他社との差別化ポイントとなる優位性を発見できるようになります。
自社の優位性を発見できたら、社内の人に共有しましょう。組織全体で自社の優位性を共有しておけば、マーケティングだけでなく、営業や顧客対応力にも役立ちます。
STP分析を通じてプロモーション戦略も明らかにできます。
なぜなら「狙うべき市場」「顧客ニーズ」「自社優位性」を洗い出すことができるためです。これらを理解した上でプロモーション戦略を考えれば、顧客ニーズを自社製品で満たせるようになります。
また、競合他社の調査も行えば、プロモーションも被ることはありません。そのため、効率的かつ効果的なマーケティング施策が打てるようになります。
ここではSTP分析のやり方をご紹介します。「セグメンテーション (Segmentation)」「ターゲティング (Targeting)」「ポジショニング (Positioning)」を分析していきます。
セグメンテーションとは市場規模や成長性を把握して、市場を細分化することをいいます。市場を細分化する際にはセグメンテーション変数を使用します。
地理的変数 (ジオグラフィック変数) |
地域や気候、人口密度などの地理的要素で分類する |
人口統計的変数 (デモグラフィック変数) |
顧客の属性を基に分類する |
心理的変数 (サイコグラフィック変数) |
顧客の価値観、興味・関心など内面的な要因で分類する |
行動変数 (ビヘイビアル変数) |
商品の購買頻度、使用状況など消費者行動を基に分類する |
また、市場を細分化した後は、4Rの原則(6Rの原則)を用いて狙うべき市場はどこか判断しやすくします。
4R |
優先度 (Rank) |
どの市場から狙うべきか優先度を決める |
有効性 (Realistic) |
市場規模からビジネス機会が得られるか評価する |
|
到達可能性 (Reach) |
製品・サービスで効果が得られると感じてもらえるかを確認する |
|
測定可能性 (Response) |
マーケティング施策の成果か測定可能を検討する |
|
6R |
成長率 (Rate of growth) |
今後の市場成長性を予測し、将来的に売上を伸ばせるかを考える |
競合 (Rival) |
競合の存在を分析し、競争が過熱していない市場を狙う |
ターゲティングとは、狙うべき市場を決めることをいいます。
「無差別型マーケティング」「差別型マーケティング」「集中型マーケティング」などの手法を検討しているかを踏まえておくと、狙うべき市場が決めやすくなります。
無差別型マーケティングは、市場を絞らず、幅広いターゲットに対して製品を販売するマーケティング手法です。この手法は、大量生産によるコスト削減が可能な場合や顧客間で嗜好が似ている場合に適しています。無差別型マーケティングを検討している場合は、広い市場を狙いましょう。
無差別型マーケティングの例
差別型マーケティングは複数の市場に対して、それぞれに適した製品を提供する手法です。差別型マーケティングを採用すれば、幅広い顧客にリーチしながら、多様な顧客ニーズに応えることができます。しかし、差別型マーケティングは負担が大きく、多くのリソースが必要になります。
差別型マーケティングの例
集中型マーケティングは、特定の市場に絞り込みシェア獲得を目指す手法です。特定の市場にリソースを集中させることで、高い競争力を発揮します。この手法は、限られたリソースで成果を出したい場合におすすめです。
集中型マーケティングの例
ポジショニングとは、市場内での自社の立ち位置を決めることをいいます。競合他社と差別化を図りながら、独自の価値を提供できる位置を見つけましょう。そして、一貫性のあるメッセージを発信していきます。
自社の立ち位置を決める際には、ポジショニングマップを作成しましょう。ポジショニングマップは、次の手順で作成できます。
<ポジショニングマップの作成方法>
自社の立ち位置を決めたら、自社の優位性を踏まえながらマーケティング戦略を立案していきましょう。
STP分析を実施する際には、3つの点に注意してください。
STP分析は「セグメンテーション」「ターゲティング」「ポジショニング」の順番を守る必要はありません。
例えば、ポジショニングから取り組み、自社の強みを洗い出しておけば、ターゲティングやセグメンテーションが効率的に考えられるようになるかもしれません。
ターゲティングを決めた後に、ポジショニングを考えれば、より説得力のある強みを発見できるでしょう。そのため、STP分析の順序にこだわらず、「P→T→S」「T→P→S」など柔軟に考えてみるようにしましょう。
STP分析で自社のポジションを決めた上で戦略を練っても、市場規模が小さかったり、市場成長率が期待できなったりすれば成果は見込めません。
市場規模が小さければ、新規顧客の獲得に苦労してしまいます。また、市場成長率が期待できず、縮小している場合は先細りしてしまいかねません。このように、狙う市場で成否が決まります。そのため、市場規模や成長率を確認した上でマーケティング戦略を練るようにしましょう。
STP分析はマーケティング戦略を練るためのフレームワークです。自社の優位性を活かし、マーケティング戦略を練れば成功しやすくなります。しかし、マーケティング戦略のみで成果に結びつくわけではありません。マ
ーケティング施策を打つことで、初めて成果に結びつきます。そのため、マーケティング施策の実行、効果測定、改善を行い成果に結びつけていきましょう。
STP分析以外にも、SWOT分析、PEST分析、3C分析などがあります。さまざまなフレームワークがあるため、混乱してしまいますが、マーケティング戦略策定プロセスを理解して正しく理解できるようになりましょう。
マクロ環境分析 PEST分析 |
市場全体を分析して参入・撤退を判断する |
ミクロ環境分析 5フォース分析 |
自社が影響を受ける市場を分析する |
業界分析 3C分析 |
業界を分析する |
戦略分析 SWOT分析 |
自社の優位性を整理する |
マーケティング基本戦略 STP分析 |
自社のポジションを決めて、基本戦略を練る |
マーケティングミックス 4P・4C |
製品、価格、販路、プロモーションの方針を定める |
ここでは、マーケティング戦略策定プロセスで活用するフレームワークを簡単にご紹介します。
PEST分析とは市場全体を分析するフレームワークです。「政治的要因」「経済的要因」「社会的要因」「技術的要因」の4つの観点から分析します。市場の動向を把握してビジネスに役立てます。
政治的要因
|
法規制・規制緩和 国の政策 市民団体の動向 外交関係の動向など |
経済的要因
|
景気 インフレ・デフレの進行 経済成長率 為替、金利など |
社会的要因
|
人口動態 世帯数 教育 文化など |
技術的要因 |
技術革新 特許など |
下記の記事で、PEST分析について詳しく解説しています。
・pest分析とは?マクロ環境分析の目的ややり方、分析事例まで解説!
5フォース分析とは、自社が影響を受ける市場を分析するためのフレームワークです。「新規参入の脅威」「買い手の交渉力」「売り手の交渉力」「代替品の脅威」「業界内の競争」を調査して、市場の魅力度や競争の激しさを把握します。
新規参入の脅威 |
他社が介入する可能性 |
買い手の交渉力 |
消費者側の権力 |
売り手の交渉力 |
供給側の権力 |
代替品の脅威 |
商品の代替品の数 |
業界内の競争 |
ビジネス競争率 |
下記の記事で、5フォース分析について詳しく解説しています。
・5フォース分析とは?目的やメリット、やり方を解説!
3C分析は、業界全体を分析するためのフレームワークです。「市場・顧客」「競合」「自社」の3つを分析します。マーケティング基本戦略を練るために必要な情報を洗い出します。
市場・顧客 |
市場規模・市場成長率 顧客ニーズ |
競合 |
競合他社の状況 競合他社のシェア率 競合他社の強みと弱み 競合他社の評価内容 |
自社
|
自社の強みと弱み 自社の評価内容 |
3C分析については下記の記事で詳しく解説しています。
・3C分析とは?目的ややり方を徹底解説【マーケティングの基本】
SWOT分析とは、企業の内部環境と外部環境を分析した上で、自社の「強み」「弱み」「機会」「脅威」を把握するためのワークフレームです。SWOT分析により、自社の優位性が整理できます。自社の優位性を整理すれば、マーケティング戦略が立案しやすくなります。
強み |
競合他社と差別化できているもの 自社商品が選ばれている理由 |
弱み |
自社が劣っている点 自社が苦手としていること |
機会 |
自社にとってプラスに働く外的要因 |
脅威 |
自社にとってマイナスに働く外的要因 |
SWOT分析については下記の記事で詳しく解説しています。
・SWOT分析とは?脅威・機会・弱み・強みの要素から戦略を練る方法を解説
4P・4C分析は方針を定める際に活用するフレームワークです。
4P分析は「製品」「価格」「販促」「流通」の方針を定める際に活用します。
製品 |
品質 機能 サービス内容 保証など |
価格 |
価格 支払い方法 ディスカウントなど |
販促 |
宣伝 広告 ダイレクトマーケティングなど |
流通 |
購入場所の立地 配送時間 流通チャネルなど |
その一方で、4C分析は顧客視点で物事を考えながら「顧客価値」「コスト」「利便性」「コミュニケーション」の方針を定める際に活用します。
顧客価値 |
顧客の感じる価値 |
コスト |
顧客が満足できるコスト |
利便性 |
顧客に有益な情報 |
コミュニケーション |
顧客にとって便利な経路 |
下記の記事で、4p分析/4c分析について詳しく解説しています。
・4P分析とは?意味や目的、使い方まで紹介【具体例の解説付き】
・4C分析とは?目的やメリット、やり方を具体例を交えて解説!
STP分析について解説してきましたが、実際に分析してみましょう。マイナビTECH+が有名企業をSTP分析してみましたが、ぜひ一緒に取り組んでみてください。
出典元:『ユニクロ(UNIQLO)』
ユニクロ(UNIQLO)は、ファーストリテイリングが展開する日本発のグローバルアパレルブランドです。大きな市場を狙うために、世代を絞り込んでいません。
「LifeWear」のキャッチフレーズに掲げており、日常生活で着れる高品質なアパレル商品を企画・製造・販売しています。「日常生活をより豊かにしたい」「冬の寒さを和らげたい」などの顧客ニーズに対応しており、機能性インナーのヒートテック、エアリズムは大ヒット商品となりました。
ユニクロは、他ブランドのように流行やトレンドを追いかけていません。日常生活で着る衣類に絞り込み「LifeWear」を忠実に守ることで、地位を確立しています。
セグメンテーション |
|
ターゲティング |
|
ポジショニング |
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出典元:『スターバックス』
スターバックスは1971年に創業された世界最大級のコーヒーチェーンです。現在では世界80カ国以上に38,000店舗以上 を展開しています。スターバックスは、差別型マーケティングを得意としている企業として有名です。
さまざま場所に店舗をオープンしていますが、出店場所の人々のライフスタイルを把握した上で、店舗を作り上げています。
例えば、オフィス街の店舗では、忙しいビジネスパーソンが利用することを想定して、モバイルオーダーやクイックピックアップを促進。お客様が商品をスピーディーに受け取れるように工夫されています。
一方で、デパートに入っている店舗では、ベビーカーでもストレスなく通れるように設計されています。道路沿いにはデリバリー中心の店舗を作るなど工夫をし、居心地が良いカフェとして支持されるようになりました。
セグメンテーション |
|
ターゲティング |
|
ポジショニング |
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出典元:『すずめの戸締り』
すずめの戸締りは、興行収入は約149億円を記録した新海誠監督の映画です。歴代興行収入ベスト30に入っている人気作品です。すずめの戸締りのメインターゲットは、10代から30代、アニメ好きの男女となっています。そのため、ファンタジーテイストの物語で、挿入歌には若者に人気のRADWIMPSの曲を採用しています。
新海誠監督が手掛けた作品である『君の名は。』『天気の子』は映像が美しいと評判になりました。過去の作品の映像美に感動した方も今作が楽しめるように映像にこだわって作られています。
また、すずめの戸締りは「震災」や「主人公の成長」が描かれています。失われたものから立ち上がろうというメッセージ性があり、多くの共感を集め幅広い世代に愛される作品となりました。
セグメンテーション |
ファンタジーが好き 映像美を楽しみたい 感動的な作品を楽しみたい |
ターゲティング |
10代~30代のアニメ好きな男女 |
ポジショニング |
バトル系アニメとは異なる感動系・ファンタジー系の映画 震災喪失からの再生をテーマに、社会的なメッセージを送った |
STP分析は、自社のポジションを決めた上でマーケティング戦略を練る際に用いるフレームワークです。マーケティング戦略の土台を作ることができます。有名企業もヒット商品も、STP分析を行えば、マーケティング戦略の土台がしっかりあることが分かります。
STP分析は、ビジネスの競争力を上げるためにも欠かせないプロセスです。そのため、これを機会にSTP分析を行ってみてください。
【TECH+マーケティング責任者】武本 大平
2021年からTECH+ のマーケティング部門立ち上げを推進。現在はTECH+マーケティング担当として、 各プロダクトの販促や各種マーケティングアクティビティの立案・実行を担当。マーケティング実務検定3級、SEO検定1級、ネットマーケティング検定を保有。
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