インサイドセールスの立ち上げ(初期構築~設計)で失敗しない始め方と導入のコツ

インサイドセールスの立ち上げ(初期構築~設計)で失敗しない始め方と導入のコツ

インサイドセールス立ち上げ成功のポイントは、自社にあったインサイドセールス組織を設計することです。

そのためには、自社の課題設定と、インサイドセールスの役割を明確にすることが非常に重要です。

ここでは、インサイドセールスの初期構築において、必要なステップと、注意すべきポイントを詳しく解説します。

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まず「インサイドセールスの有用性を各利害関係者が共通認識する」が必須

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自社にインサイドセールスがなぜ必要なのか、関係者間ですり合わせができていますか?

インサイドセールスの立ち上げをする前に、自社の営業課題とインサイドセールスの有効性を、関係者間で共通認識することが大切です。

「他社もやっているから導入する」のような、安易な考えでスタートすると、結局何をやる部門になるのかが定まらず、失敗する可能性が高まります。

なぜインサイドセールスが必要なのか、どのような組織を作れば有用な組織になるのか、を利害関係者間ですり合わせましょう。

 

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インサイドセールスの立ち上げ・体制構築のステップ

インサイドセールス立ち上げのステップ

インサイドセールス立ち上げのステップは、下記の3つです。

  • インサイドセールスで訴求する商材・サービスの決定
  • シナリオの設計と、KPIの設定
  • 適任者の採用・配置・教育と円滑な組織づくり

それでは、この3ステップに関して詳しく解説していきます。

ステップ1.インサイドセールスで訴求する商材・サービスの決定

まずは自社の課題に合わせて、インサイドセールスで訴求する商材やサービスを絞り込みましょう。

立ち上げ時には、商材やサービスを絞り込んで、自社の課題と目的にあった組織を設計することがインサイドセールスの立ち上げの成功ポイントです。最初から複数の商材やサービスで立ち上げると失敗することが多いので、小さい組織から始めるのがいいでしょう。

また、営業プロセスの中のどの場面において、インサイドセールスを組み込むかも設計していきましょう。なぜなら、営業課題によってどこまでの業務をインサイドセールスが行うかが異なるためです。

課題と業務範囲設計の例

課題:商談数が足りないから、顧客にアプローチして商談数を増やさなければいけない
→インサイドセールスが顧客との初アポを取るところまで行い、その後フィールドセールスに引き渡す

課題:商談からの成約率が低いので、本格的な商談に入る前に顧客の育成を行う必要がある
→インサイドセールスが顧客のヒアリングまで行い、顧客の温度感が高くなった状態でフィールドセールスに引き渡す

自社の商材・サービスや課題によってインサイドセールスの役割が異なるので、まずこれらを明確にすることが大切です。

ステップ2.シナリオの設計と、KPIの設定

シナリオ設計ではいつ、どの情報を提供するのか?を決める

訴求するサービスとインサイドセールスの役割が決まったら、インサイドセールスのシナリオ設計に移りましょう。シナリオ設計とは、リードを育成するための道筋を決め、その道筋でどのような情報提供をするかを設定することです。

インサイドセールスは手元にあるリード(見込み客)に情報を提供して、自社の商材やサービスに興味を持ってもらうことが目的です。シナリオ設計も商材やサービスによって変わってくるので、自社に合わせて設計をするようにしましょう。

インサイドセールスが提供する情報の例

  • 顧客の成功事例
  • セミナー情報
  • 期間限定のトライアル割引プランこれ

らの情報をどのタイミングで、どのチャネルで提供するのか設計をします。提供時のメール定型文や、電話案内時のトークスクリプトを決め、どの段階でフィールドセールスにバトンタッチをするのかも設計していきましょう。

具体的には、以下のようなカスタマージャーニーを基に、「いつ」「誰が」「何(どの情報)を」「どの形態(チャネル)で」を設計しておきます。

カスタマージャーニー

KPIを設定し、ムリ・ムダ・ムラをなくす

インサイドセールスの役割は、フィールドセールスと連携して新規受注を獲得すること、もしくは既存顧客の継続やアップセルが最終目標になることが一般的です。

インサイドセールスの役割として、最終目標を達成するための中間目標となるKPIは主に下記の5つです。

  • メール開封率
  • 架電数・架電率
  • 商談化数・商談化率
  • 受注数・受注率
  • 受注額

それぞれ簡単に解説していきます。

メール開封数

顧客への情報提供をメルマガで行う場合、メールの開封数や開封率のKPIを設定するのがいいでしょう。また、メルマガの中に自社サービスサイトのURLなどを記載する場合、リンク先への遷移率もKPIになるでしょう。

架電数・架電率

リードの発掘に重点を置く場合、架電数や架電率がKPIになることがあります。

商談化数・商談化率

商談化数や商談化率はインサイドセールスの最も一般的なKPIの一つです。

受注数・受注率

受注数や受注率はフィールドセールスやマーケティング部門と一緒に追いかけるKPIです。温度感の低い顧客との商談を設定することはフィールドセールスの負担になるだけなので、このような部門をまたいだKPIを設定することも重要です。

受注額

受注額も大切なKPIの一つです。セールス組織全体のKPIが売り上げの最大化であれば、自分が関わった案件がどれだけの額の受注に繋がったかを追いかけることで、インサイドセールスの質も向上するでしょう。

KPI設計の詳細に関しては、こちらの記事に詳しく書かれています。

インサイドセールスのKPI│目標設定と成果につなげるポイントとは?

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ステップ3.適任者の採用・配置・教育と円滑な組織づくり

スキル・マインドを考慮した人材配置、求人採用

新しく組織を立ち上げる場合、適切な人材を配置することは非常に重要です。インサイドセールス立ち上げの責任者は、候補者のスキル・マインドを見極めて採用をする必要があります。

なお、インサイドセールスに向いている人として、以下の4つの特徴が挙げられます。

  • 電話・メール・Web会議ツールを使ったコミュニケーションスキルが高い
  • 楽観主義でめげず、チャレンジ・継続する精神力がある
  • 業務・タスクの処理スピードが速い
  • 事実ベースで報告できる

また、適正としてはそれをマネジメントする人も重要です。

マネジメントに就く担当者は、トークスクリプトを改善しながら電話セールスを行ったことがある営業経験者などが向いているでしょう。

インサイドセールス人材の教育・マネジメント

適切な人材を配置したら、教育とマネジメントに力を入れましょう。インサイドセールスとして働く意欲を向上させるため、採用・配属した人材と関係各所にインサイドセールスの意義を浸透させる必要があります。

インサイドセールスのKPIは何か、そのKPIがどのようにセールス組織全体に貢献しているのかをしっかり把握してもらうことが重要です。

また、マネジメントにリソースを割くためにも、以下の3つは重要です。

KPIを効率よく計測できるトラッキングの環境構築
トラッキングしたデータ(事実)を基にした即時フィードバック

適切なマネジメントの前提には、ムダのない環境構築が必要と心得ておきましょう。

円滑なコミュニケーションや業務自動化を支える仕組みづくり

インサイドセールスを機能させるためには、フィールドセールス部門とインサイドセールス部門の情報共有を円滑に行うことが特に重要です。

マネジメントのためだけでなく、リード顧客の情報や現在の状況を正しく伝え、協力して契約に向け取り組んでいくためにも、事実ベースでの報告ができる仕組みづくりを構築しましょう。

参考記事:インサイドセールスを内製化して育成・教育するポイントまとめ 担当採用・業務分掌や外注との比較まで解説

インサイドセールスの立ち上げ・体制づくりで失敗しないためのポイント

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次に体制づくりにおいて注力したいポイントを2つ紹介します。

ツールを活用して自動化、仕組化を進める

インサイドセールス部門を立ち上げるということは、顧客と接する部門が一つ増えるということです。従来フィールドセールスが1人でやっていた仕事を、複数人で担当することになります。そのため、顧客とのコミュニケーションの記録が、正確に関係者間で共有されていることが非常に大切です。

インサイドセールスが、見込み顧客との電話やメールの内容を、正確にデータベースに他部門に共有することが、成約率の向上やトラブル防止に繋がります。組織が小さければ、Excelやスプレッドシートで管理することも可能ですが、営業の顧客管理に適したSFAやCRMを利用するのがいいでしょう。

具体的な例としては、

  • Google アナリティクスなどのアクス解析ツールからの情報や、ダウンロードした際の時間と経路、そのユーザーの以前のタッチポイント、架電した際に話したやり取り、などを、いちいち手入力するのではなく、ツールによってトラッキングできるデータを連携したダッシュボードを作っておく。
  • 会話の内容を文字起こしするツールを導入し、そのログを基にマネージャーがその日にフィードバックを行い、明確なアクションに落とす。

などです。具体的にどんなツールを導入すればいいかは下記ページをご参照ください。

参考記事:インサイドセールスツール6種!活用ポイントと目的別おすすめ理由まとめ

インサイドセールス内での役割分担を明確にする

インサイドセールス部門の失敗例を見ていると、目標が曖昧で役割分担がきちんとできていなかったという例が多くあります。このような場合はインサイドセールスがコミットする目標を明確に定めて、フィールドセールスとも共有するのがいいでしょう。

また、インサイドセールス内でもメンバー間で役割を分担して、一人一人がKPIに沿って動けるようにしましょう。

インサイドセールス業務の役割分担例

  • メルマガを作成し発信する役割
  • 顧客に電話をかける役割

ノウハウの蓄積と共有も大切です。アポ取得率が高い人のトーク術をチーム内で共有したり、チーム内で日々コミュニケーションをとって、チーム目標に向かって連帯感をもって運用できる組織を目指しましょう。

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よくある失敗事例と対策

インサイドセールスは、「ツールを活用して明確なKPIを設定し、部門を立ち上げさえすれば成功するもの」ではありません。「流行っているからとりあえず導入したい」、「他社もやっているから何となく自社にも取り入れたい」といった感覚で計画を進めてしまうと、企業にとって大きな損失となる可能性もあります。

インサイドセールスの立ち上げで損失を生み出さないためにも、よくある失敗事例と対策をまとめました。原因を理解した上で対策を立てられるようにしておきましょう。

テレアポと同じ認識で利用してしまい、リードを逃す

インサイドセールスをテレアポとほぼ変わらない営業手法と認識している企業はまだ多くあります。それぞれの違いはどんな部分なのでしょうか。

インサイドセールスは、顧客と電話やWeb会議ツールを利用してコミュニケーションを取りながら、さらなる信頼関係を構築していく営業の方法です。一方で、テレアポは顧客リストを用意した上で顧客へ架電し、ひたすらアポイントを取り続けることを言います。

電話で顧客へ連絡するという点は共通していますが、インサイドセールスとテレアポでは本来の目的が異なります。テレアポは、売りたい商品やサービスの概要を説明し、商談の日程を決めることが目的ですが、インサイドセールスの目的は顧客のニーズに合わせて商品・サービスの紹介を行い、現時点での顧客の課題や悩み、ニーズを引き出すことで多角度からコミュニケーションを取ります。

この違いを把握していない状態でインサイドセールスを行うと、現時点ではアポイントメントや制約につながらずとも将来的に商品やサービスを購入してくれるリードを逃すことになります。

テレアポで商品やサービスを知ってもらった見込み顧客に対し、継続的にインサイドセールスを行う手法は有効ですが、インサイドセールスをテレアポとして導入することは避けたいところです。インサイドセールスチームを立ち上げる際は、組織のメンバー全員がテレアポとの違いを明確に理解しているようにしましょう。

リード数が足りず、有効なアプローチができない。

リード数とは、自社の商品やサービスを購入する可能性がある見込み顧客の数のことです。

リードには2つの種類があります。テレアポなどで興味を持ってくれた顧客をアウトバウンドリードといい、顧客側から資料請求や問い合わせなどがあったリードをインバウンドリードと呼びます。

それぞれ顧客のニーズを把握し、適切なアプローチを行って商談や契約に持ち込む必要があります。

インサイドセールスの組織を立ち上げたものの、事前に用意したリード数が少ない状態では、有効なアプローチができず実績につながらない可能性があります。インサイドセールスの立ち上げる際は、充分なリードが用意できるか見通しを立ててから行動に移すようにしましょう。

インサイドセールス部隊の初期構築に参考にしたい本

最後に、インサイドセールスの初期構築に参考になる本を紹介します。

インサイドセールス-訪問に頼らず、売上を伸ばす営業組織の強化ガイド

インサイドセールス 訪問に頼らず、売上を伸ばす営業組織の強化ガイド

本書ではセールスフォースとビズリーチでインサイドセールス部隊を作り上げ、外部コンサル支援も行う茂野氏が、インサイドセールスチームで営業成果を伸ばす方法を解説しています。

インサイドセールスの立ち上げから実践ノウハウまでを体系的に解説しているので、これから立ち上げを行う方や、立ち上げを検討している方におすすめです。本書では、商談化の基準や失注の基準に関して、どう関係者と合意を取っていくか、詳細に書かれています。

インサイドセールス組織構築の成功において、非常に重要な部分なので、ぜひチェックしてみてください。

まとめ
インサイドセールス立ち上げのポイントは、自社の課題設定と、インサイドセールスの役割を明確にすることです。インサイドセールスの役割や目標が明確で社内で共通認識を持てていれば、PDCAを回しながら自社にあった営業組織を作っていけるでしょう。

インサイドセールスのチームが機能すれば、営業活動全体の効率化に繋がります。

自社にあった効果的なインサイドチームを立ち上げましょう。

 

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