広告出稿とは?流れや料金相場、主な出稿先の特徴を解説
認知拡大・ブランディング
【TECH+マーケティング責任者】武本 大平 [2023.02.06]
【1】広告出稿とは
広告出稿とは、マス媒体やWebサイト、アプリ、SNSなどに自社商材に関する広告を配信することです。かつては予算の円滑な企業のみが広告出稿できていました。しかし、インターネットの発展により、予算の限られた企業でも気軽に広告出稿できるようになったのです。
電通株式会社による「2021年 日本の広告費」によれば、インターネット広告費は2兆7,052億円であり、マスコミ四媒体(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ)の広告費2兆4,538億円を上回っています。インターネット広告は企業にとって重要なマーケティングチャネルであり、すでにマスメディアの仲間入りをしているといっても過言ではありません。
【2】広告出稿費用の料金相場
ここからは、マス媒体とWeb広告の出稿費用相場をご紹介します。
1.マス媒体
マス媒体とは、テレビや新聞、雑誌、ラジオを指します。マス媒体の広告出稿費用は高額になりますが、圧倒的に多くの層にアプローチできるため、ブランディングや認知度の向上を見込めます。テレビCMの出稿費用は、特定の地域で地上波で配信する場合、1回(15〜30秒)あたり100万円が相場です。
全国放送のラジオでは1本(20秒当たり)8万円前後となるでしょう。新聞雑誌はメディアや掲載場所、広告サイズによって料金は10万円〜300万円と大幅に異なります。
2.Web広告
Web広告と一口に言っても、リスティング広告やディスプレイ広告、純広告、記事広告などその種類はさまざまであり、広告によって料金体系は異なります。主なWeb広告の料金相場は以下の通りです。
- リスティング広告:数十円~数百円/1クリック
- 動画広告:4~7円/1回の視聴、数十円~数百円/1クリック
- 純広告:数十万円~数百万円/1週間
- 記事広告:80~160万円
リスティング広告やディスプレイ広告、動画広告、SNS広告などの自身で運用するタイプの広告は比較的安価で配信できます。その一方、純広告や記事広告などの媒体が作成したり、決まった期間は必ず掲載されたりするタイプのWeb広告は、ある程度まとまった予算が必要です。
【3】広告出稿の流れを6ステップで解説
広告出稿をする際は、適切な出稿先の選定と運用が欠かせません。誤った方法で出稿をすれば、期待した成果が得られずに、費用だけ無駄になってしまうでしょう。ここからは、成果を上げるための広告出稿の流れを6ステップで解説します。
STEP1:ターゲット選定
まずは広告でリーチしたいターゲットを選定します。ターゲットを明確にすれば、最適な広告出稿先やターゲティング設定などが可能になるのです。ターゲット選定の際は、ペルソナを作成するとよいでしょう。ペルソナとは、自社商材の典型的なユーザーもしくは理想のユーザー像であり、一人の人物が思い浮かぶまで具体性を高めたものです。
ユーザーヒアリングやアンケート調査、データ解析などを通して、ペルソナを作成します。その過程において、ターゲットのデモグラフィックや課題・悩みなどを理解し、効果的な広告運用へと活かせるでしょう。
ペルソナについては、下記記事で詳しく解説しているので、ぜひこちらも参考にしてください。
下記の記事でペルソナについて詳しく解説しています。
・ペルソナとは?メリットや作成手順をたった4ステップで解説!
STEP2:広告出稿先の選定
ターゲットの情報や自社商材の特徴を考慮して、広告出稿先を選定します。例えば、化粧品メーカーが20〜30歳の女性をターゲットに口紅の広告を出稿する場合、ビジュアルで訴求できるInstagramや美容系雑誌・メディアへの記事広告がよいでしょう。
一方、BtoBのSaaS企業が広告を出稿する場合、多くのビジネスパーソンがいるTwitterやFacebook、LinkedInが有効な出稿先となります。まだ市場にはない新製品を投入するのなら、リスティング広告や記事広告などがおすすめ。
このように商材とターゲット、各広告媒体の特徴を考え、出稿先を選定します。
STEP3:問い合わせと費用確認
マス広告や純広告、記事広告などの自社で運用しない広告を選定した場合、複数のメディアへの問い合わせと費用確認をしましょう。なおリスティング広告やディスプレイ広告、SNS広告などの運用型広告は少額出稿できる、かつ運用内容に応じて料金は変動するため、問い合わせは不要です。
STEP4:クリエイティブ制作
広告の出稿先が決まったら、クリエイティブを制作しましょう。クリエイティブ制作のポイントは、広告出稿先によって異なりますが、共通するのがターゲットの課題や悩みを解決できることを伝えることです。だからこそ、ターゲット選定段階で課題や悩みの正確な把握が重要であり、課題と解決策をクリエイティブに反映できるかどうかで成果は決まります。
STEP5:広告出稿
リスティング広告やSNS広告などの運用型広告の場合、広告配信するターゲットを絞るターゲティング設定が欠かせません。ターゲティング設定をしなければ、自社と関連性の低いユーザーにも広告が配信されるため、費用対効果悪化の原因となります。必ずターゲティング設定をしてから、広告を出稿するようにしましょう。
STEP6:分析と改善
運用型広告は、広告を出稿してからが本番です。広告データを確認しつつ、分析と改善を繰り返して、運用精度を高めましょう。
例えば、クリック率の高い地域が判明したら、その地域に多くの入札単価を投下するとよいでしょう。また、運用型広告においてはクリエイティブが成果のカギを握ります。見出しや説明文、デザインの色など小さな要素が大きな変化をもたらすため、定期的にABテストを繰り返し、クリエイティブの最適化に取り組んでください。
【4】主な広告の出稿先6選
広告出稿の料金相場や手順を見てきましたが、「どの媒体を選べばいいのかわからない」と悩む方は多いでしょう。そこでここからは、主な広告の出稿先の特徴を解説するので、ぜひ出稿先選びの参考にしてください。
1.リスティング広告
リスティング広告とは、GoogleやYahoo!の検索結果画面上部に配信される広告です。ユーザーの検索語句に合った広告が配信されるため、「検索連動型広告」とも呼ばれます。例えば、「美白 化粧水」で検索すると、美白に関するリスティング広告が表示されます。
リスティング広告は、悩みやニーズが顕在化している層にリーチできるため、売り上げや資料請求などのコンバージョンにつながりやすいです。多くの人々は、悩みや課題の解決法を求めて検索エンジンを活用します。
例えば、「営業 足りない」と検索するユーザーの中には、自社に営業メンバーの数が不足していて、効果的な営業活動ができていないと悩む経営層がいるでしょう。このような層に、営業代行や営業支援のリスティング広告を表示すれば、「自社に必要な解決策はこれだ」とクリックしてもらえる確率が高まるのです。
リスティング広告は、少額で出稿できて、成果につながりやすいため多くの企業が活用しています。まずは少額でスタートし、成果をあげられそうと判断したら、さらなる予算を投下するとよいでしょう。
下記の記事でリスティング広告について詳しく解説しています。
・リスティング広告とは?特徴や運用のやり方、成功事例を全て解説!
2.ディスプレイ広告
ディスプレイ広告とは、Webサイトやアプリなどの広告枠に配信する広告です。例えば、Googleのディスプレイ広告を出稿すれば、GmailやYouTubeなどのGoogleが保有するサービスに加えて、提携するネットワークに広告を配信できるようになるため、世界中のインターネットユーザーの90%にリーチできます。
リスティング広告が顕在層にリーチするのに対し、ディスプレイ広告は課題やニーズが明確化していない潜在層へのリーチが可能です。そのため、認知拡大やブランディング、宣伝などコンバージョンを目標としない運用に向いています。
特にリスティング広告は多くの企業が参入しているため、顕在層を取り込むのが困難です。そこでディスプレイ広告を用いて、潜在顧客と接点を作り、顕在層へと転換する施策を展開するという方法もあります。
下記の記事でリスティング広告について詳しく解説しています。
・ディスプレイ広告とは?メリット・デメリットなどの特徴、効果を解説!
3.SNS広告
SNS広告とは、FacebookやTwitter、LINEなどのSNSプラットフォーム上に配信する広告です。SNS広告の特徴は、各プラットフォームが膨大なユーザーデータを保有しているため、精度の高いターゲティングを実現していること。自社と関連性の高いユーザーに効率よくリーチできるでしょう。
また、SNS広告ならではの強みとして、拡散性の高さが挙げられます。広告でありながらも、ユーザーはリツイートやシェアができるため、二次拡散・三次拡散を見込めるでしょう。SNS広告を選定する際は、各プラットフォームの特徴とユーザー属性を理解したうえで、自社に最適なSNSを選びましょう。主なSNSの特徴は以下の通りです。
- Facebook:家族や知人とつながる。40歳代以上が多い
- Twitter:不特定多数とつながるため拡散性が高い。20~40歳代のビジネスパーソンが多い
- Instagram:ビジュアルで訴求。20~30歳代の購買意欲が高い層が多い
- TikTok:ユーザー参加型コンテンツが人気。10~20歳代が多い
- LinkedIn:ビジネスに特化したSNS。意思決定者が多い
- LINE:圧倒的なユーザー数。家族や友人とつながる
4.記事広告
記事広告とは、雑誌やWebサイトなどに掲載する記事形式の広告です。通常の広告とは異なり、第三者であるメディアが制作するため、信頼性の獲得とコンバージョンを見込めます。例えば、企業が「この製品はこんなところがすごい」というよりも、第三者が「私もこの製品を使っているけど、こんなことができるんだ」と言われたほうが購入意欲が湧くのではないでしょうか。
また、記事広告はストーリーとして商材の訴求ができるため、市場にはない新製品、機能やサービスで競合と差をつけるのが難しい商材に向いています。
下記の記事で記事広告(タイアップ広告)について詳しく解説しています。
・タイアップ広告とは?有効なケース、効果を高めるコツから事例までをご紹介
5.純広告
純広告とは、特定のWeb媒体が保有する広告枠に掲載する広告です。純広告を出稿すれば、メディアが抱える多くのユーザーにリーチできるため、安定したインプレッションを確保できます。
また、掲載期間や掲載位置があらかじめ決まっているため、リスティング広告やSNS広告のように細かな運用は不要です。さらに、ドメインパワーの強いメディアに広告を出稿すれば、SEO上位に表示して、検索からの流入も見込めます。予算に余裕があり、手間をかけずに集客やブランディングをしたい企業におすすめの広告形態です。
下記の記事で純広告について詳しく解説しています。
・【5分で分かる】純広告とは?代表的な種類と契約形態を丁寧に解説!
6.交通広告
交通広告とは、電車やバス、タクシーなど交通に関連する媒体に出稿する広告です。近年、多くのビジネスパーソンにリーチできることから、BtoB企業を中心に注目を集めています。特にタクシー広告は、利用者層や走行エリアが限られているため、費用対効果の高い運用に期待できます。
下記の記事でタクシー広告について詳しく解説しています。
・【完全版】タクシー広告とは?メリット、費用から出稿できるメディア、事例まで徹底的に解説!
【5】広告出稿先を選ぶポイント
最後に、自社に適した広告の出稿先を選ぶポイントをご紹介します。
ペルソナとカスタマージャーニーを作成する
広告出稿の手順の項でも解説しましたが、広告の出稿先を選ぶにはペルソナ作成が有効です。ペルソナ作成をすれば、ユーザーの課題や接点などを把握できます。また、ペルソナのカスタマージャーニーマップの作成もおすすめです。
カスタマージャーニーマップの作成により、各購買プロセスにおけるユーザーの行動や悩み、自社との接点などを可視化できるため、一貫性のある施策展開が可能になります。
下記の記事でペルソナについて詳しく解説しています。
・ペルソナとは?メリットや作成手順をたった4ステップで解説!
下記の記事でカスタマージャーニーについて詳しく解説しています。
・カスタマージャーニーマップとは?必要性や作成手順、事例まで解説
ユーザーインタビューをする
広告出稿におけるペルソナを作成する際は、ユーザーインタビューを実施したいところです。ユーザーインタビューをすることで、顧客のリアルな課題や自社を見つけたきっかけ、自社を選んだ理由などが分かり、広告出稿先の選定からクリエイティブ作成にまで大いに役立ちます。
ユーザーインタビューでは、ロイヤル顧客を対象にする担当者が多いです。しかし、ロイヤル顧客は顧客歴が長いこともあり、正確に覚えていない可能性があります。そこでおすすめしたいのが新規顧客を対象にしたユーザーインタビューです。
新規顧客なら、自社との接点や抱えていた課題、自社を選んだ理由などを正確に覚えています。複数の新規顧客にインタビューをし、自社を見つけたきっかけや課題を把握しましょう。そうすれば、最適な広告出稿先を選べます。
【6】まとめ
広告出稿は重要なマーケティング施策です。ただ、広告出稿と一口に言っても、マスメディアやリスティング広告、SNS広告、純広告など種類は多岐にわたります。まずは広告出稿をする目的を明確にし、ターゲットを選定しましょう。ターゲットと各広告媒体の特徴を理解したうえで、出稿先を決めるようにしてください。
【TECH+マーケティング責任者】武本 大平
2021年からTECH+ のマーケティング部門立ち上げを推進。現在はTECH+マーケティング担当として、 各プロダクトの販促や各種マーケティングアクティビティの立案・実行を担当。マーケティング実務検定3級、SEO検定1級、ネットマーケティング検定を保有。