カスタマーサクセスの成功事例10選│BtoB、BtoCに分けて解説

カスタマーサクセスの成功事例10選│BtoB、BtoCに分けて解説

「自社内にカスタマーサクセスの知見やノウハウが蓄積されていない」とお悩みではないでしょうか?

そのような場合は、他社の成功事例を見ることがおすすめです。

複数の成功事例より、共通点を探り出し、自社に活用できるポイントは積極的に取り入れましょう。

本記事では、カスタマーサクセスの成功事例10選と事例から読み解くポイントを解説します。

【1】そもそもカスタマーサクセスとは?

カスタマーサクセスとは、顧客の成功の支援に注力する取り組みや部門のことです。顧客データの管理と分析をし、顧客の課題を先回りして解決します。

カスタマーサクセスが正常に機能すれば、チャーン(解約)の減少やアップセル/クロスセルの向上などを見込めるのです。

詳しくはこちら!

下記の記事でカスタマーサクセスについて網羅的に詳しく解説しています。
カスタマーサクセスとは?具体的な業務内容から成功のポイントまで解説!

【2】カスタマーサクセスが必要な背景

近年、カスタマーサクセスが大きな注目を集めている背景には、SaaSやサブスクリプションビジネスモデルの普及により、既存顧客の重要性が高まったことが挙げられます。

従来は、製品の販売後は顧客との関係性が終わる「売り切り型」が一般的でしたが、現代は製品販売後に顧客と長期的な関係性を構築できるかどうかが事業成長の鍵を担うようになりました。

カスタマーサクセスに取り組めば、データに基づいて顧客の課題を把握し、先回りして解決できるため、顧客は自社製品に満足するようになります。

そうなれば、顧客は契約更新やアップセル/クロスセルをしてくれるので、企業は長期的に売り上げを出せるわけです。

【3】BtoBのカスタマーサクセス成功事例

ここからは、BtoB企業のカスタマーサクセス成功事例をご紹介します。

1.セールスフォース・ドットコム

カスタマーサクセスを誕生させたのはセールスフォース・ドットコムです。

創業5年目には、順調に契約数を伸ばし、2004年時点の時価総額は5億ドルにもなるほどでした。

順風満帆だと思いきや、グローバル更新統括のデビッド・デンプシーは月当たり8%という高いチャーンレートに危機感を抱いていたのです。

月当たり8%ということは、年間でほぼすべての顧客がいなくなるということ。

そこでCEOのマーク・ベニオフは、全社規模でチャーンの削減に取り組み始めます。

これがカスタマーサクセスの誕生であり、「全社規模」がセールスフォースのカスタマーサクセスのキーワードです。

新型コロナ感染症が流行した際には、「Leading Through Change(いま、私たちができること)」というメッセージを掲げ、部門横断で顧客に寄り添う取り組みをしました。

また、セールスフォースが実施し、今では多くの企業が導入する「THE MODEL(営業活動における分業精度)」も全社単位の取り組みの一つといえるでしょう。

カスタマーサクセスを成功させるためには、まずはトップダウンで重要性を説き、全社単位で取り組まなければいけません。

2.HubSpot

従来の企業は、顧客が製品を使いこなせない場合、それは顧客の責任と考えていました。しかし、顧客が製品を使いこなせなければ、期待した価値を得られないため、チャーンへとつながります。

CRMツールを提供するHubSpotの場合、自社に直接関連しない課題でも自分たちの課題と受け止め、適切な対応をしているのです。

代表的な取り組みが、何度でも無料で受講できるHubSpotアカデミー。

HubSpotアカデミーでは、HubSpotの使い方だけではなく、インバウンドマーケティングやSNSマーケティングなどのマーケティングや営業のスキルも身に着けられます。

このように顧客のビジネスリテラシーを高めることで、顧客がHubSpotで成功できるようにしているのです。

その他にも、オウンドメディアでビジネスに関する良質なコンテンツを発信しています。

HubSpotの顧客数は全世界で10万社を超えているため、各顧客を伴走形式で支援するのは困難です。そこでWebトレーニングやブログなどのテクノロジーの力で、多くの顧客の成功を支援しています。

3.Slack

Slackのカスタマーサクセスは、まさに王道のような取り組みをしています。

顧客が価値を得ているかどうかは、ログイン状況とチャット以外の機能の活用状況、業務の自動化状況、ユーザーの満足度をスコアリングして測定しているのです。

また、Slackのカスタマーサクセスは顧客の声を大事にしています。

定期的にユーザーとの対面ミーティングを実施し、価値を提供できているのか、課題は抱えていないかなどの確認をします。

顧客の声はカスタマーサクセスだけではなく、「全社」に共有することで、様々な部門が施策の効率化を推進できるようにしているのです。

Slackはカスタマーサクセスを全業務の中心に据えており、それが実現できた理由はカスタマーサクセスの文化を構築できているからでしょう。

4.Sansan

Sansan株式会社は法人向けクラウド名刺管理サービスを提供しています。

2012年には国内初となるカスタマーサクセス部門を設立したカスタマーサクセスのパイオニア企業でもあります。

Sansanは顧客数の急増により、適切なオンボーディング支援や細かな顧客管理ができなくなったため、カスタマーサクセスプラットフォームのゲインサイトを導入するのです。

ゲインサイトの導入により、重要ながらも小さな変化にも迅速に気付けるようになり、最適なタイミングでカスタマーサクセスマネージャーやリニューアルセールスが顧客にアプローチできるようになりました。

このようにSansanは、データ分析に投資し、組織全体でデータを活用できる環境構築を実施したことで、顧客を成功へと導いているのです。

5.Smart HR

SmartHRはクラウド労務人事ソフトを提供するSaaS企業です。

同社のカスタマーサクセスは、継続利用率99.5%という圧倒的な数字を誇っています。

同社のカスタマーサクセスチームは、主に以下5つに分類されています。

  • オンボーディングチーム:サービス初期の立ち上げをサポート
  • エンタープライズCSMチーム:従業員規模が数千名の企業のオンボーディング後を支援
  • SMBCSMチーム:従業員規模がが数十から数百名の企業のオンボーディング後を支援
  • テックタッチ:顧客が独自で学習できるようにコンテンツの企画設計を担当
  • オペレーションチーム:ユーザーデータをもとに適切なサポート・タイミングの企画設計を担当

この5つのチームの中で、特に重大な役割を担っているのがオンボーディングチームです。オンボーディングのステップを細かく設定することで、顧客が一人立ちできるだけではなく、顧客の課題も把握できるようになりました。

また、顧客管理ツールや顧客体験向上ツール、プロジェクト管理ツールなど様々なツールを導入して、業務を徹底的に効率化しているのも特徴です。

【4】BtoCのカスタマーサクセス成功事例

カスタマーサクセスは、BtoBやSaaS企業だけに必要なものと考えられますが、BtoC企業でも実践している企業は多くあります。

ここからは、BtoC企業でカスタマーサクセスに成功した事例をご紹介します。

1.Apple

ロイヤルカスタマーの創出に優れた企業と言えばAppleでしょう。

Appleのカスタマーサクセスを担うのは、AppleストアにあるGenius Barです。Genius Barとは、Apple製品に関する適切なサポートや修理の手続きなどをするテクニカルサポートサービスのこと。

顧客はGenius Barに相談することで、Apple製品の価値を最大限享受できるようになるのです

Genius Barの設置により、製品販売後も顧客との関係は続き、熱狂的なファンの創出を可能にしています。

2.スターバックス

数あるコーヒーチェーン店の中で、スターバックスが行列に並ぶ顧客を創出できている理由は、カスタマーサクセスにあります。

スターバックスの顧客にとってサクセス(成功)とは何でしょうか。

スターバックスは、顧客の成功を「休息できるコミュニティ」と定義し、自宅と職場の間である「サードプレイス」という価値を提供しているのです。

休息できるコミュニティを構築するために、スターバックスはどの店舗でも次のような取り組みが見られます。

  • 無料のWiFiの提供
  • 居心地のいい空間
  • フレンドリーで、名前を覚えてくれる店員

これらの取り組みにより、顧客は信頼感や安心感を得られ、スターバックスへのロイヤリティを高めるのです。

また、スターバックスカードやスターバックスリワード(購入ごとにポイントが得られるプログラム)などのLTVを向上させる施策も推進しています。

3.メルカリジャパン

メルカリにはカスタマーサクセスの文化が社内に根付いており、組織全体がカスタマーサクセスの視点で業務を推進しています。

例えば、カスタマーサービスに届いたメッセージを分析し、プロダクト開発部門に共有するのです。

そうすることで、顧客視点でのサービス改善やプロダクト開発が可能になっています。

そんなメルカリが大切にするのが、顧客の声に耳を傾けることです。

顧客の本音を引き出すため、オフラインイベントの開催や経営陣が顧客の電話に対応することもあります。顧客の本音を分析し、他部門を巻き込みながら改善施策に取り組むことで、優れた顧客体験を提供できているのです。

4.Netflix

定額動画配信サービスのNetflixが顧客を維持するためには、ユーザーが見たいと思える動画を提供し続けなければいけません。

見たい動画がなくなったユーザーは、解約をしてしまうでしょう。

ユーザーに最適な動画を届けるため、Netflixは顧客の視聴データを詳細に分析しています。

どの作品を見て、最後まで見たのか、どこで離脱したのかなどを詳細に蓄積し、アルゴリズムが分析に基づいて精度の高い動画をレコメンドするのです。

世界のユーザーの75%がレコメンド結果から作品を視聴しているほど、ユーザー体験に大きく貢献しています。

5.Fender

Fenderはアメリカのギターメーカーです。Fenderは市場分析をして、ギターを始めた人の10人中9人は3か月以内にギターを止めると分かりました。

ギターを購入する顧客の成功とは、ギターを自由に演奏できるようになること。

だからFenderは、オンライン動画でギターの弾き方を学べるサブスクリプションサービスの提供を開始したのです。

カスタマーサクセス風に言い換えれば、オンボーディング支援の開始を始めました。

顧客がギターを楽しめるようになれば、関連商品を購入するクロスセル、上位モデルのギターを購入するアップセルなどの売り上げを見込めます。

Fenderの事例を見ても分かる通り、BtoC企業でもカスタマーサクセスに注力することで、大きな事業成長が見込めるわけです。

【5】カスタマーサクセスの成功事例から読み解くポイント

事例を見てみると、カスタマーサクセスに成功している企業にはいくつかの共通点があることが分かります。

ここからは、成功事例から分かるカスタマーサクセスの重要ポイントを解説します。

ポイント①全社で取り組む

SalesforceやSlack、SmartHR、メルカリなどは社内にカスタマーサクセスの文化が定着しています。

カスタマーサクセスが全業務の中心に来ることで、営業やマーケティング、製品開発なども良い影響を受けるのです。

例えば、カスタマーサクセスが収集した顧客の声は、製品開発や営業にも活用できます。

カスタマーサクセスを中心に据えるためには、トップダウンでカスタマーサクセスの重要性を説くことが欠かせません。

ポイント②顧客の声を聴く

ご紹介した企業のほぼすべてが、顧客の声に耳を傾けていると言っても過言ではありません。

ただし、顧客の声に耳を傾ける目的は顧客の課題やニーズを把握することのため、データ分析も有効です。

顧客にとっての成功の定義や抱えている課題などを把握していなければ、適切な成功支援はできません。カスタマーサクセスを開始したら、まずは顧客理解を深めるようにしましょう。

ポイント③ツールを活用する

BtoB企業がカスタマーサクセスに取り組む際は、ツールの活用が有効です。

BtoB企業がツールを導入するべき一番の理由は、顧客情報を一元管理して、データドリブンでの意思決定ができるようになるからです。

BtoB企業は、顧客の本音を引き出すのが難しいため、データからインサイトを発見しなければいけません。

しかし、ツールがない状態では顧客データが散乱するため、効果的なデータ分析をするのは困難でしょう。

また、HubSpotのようにツールを活用することで、何万という顧客がいたとしてもテックタッチでカスタマーサクセス支援ができます。

カスタマーサクセスの成功にツールは欠かせないので、早い段階で必要なツールを導入しましょう。

詳しくはこちら!

下記の記事でカスタマーサクセスにオススメのツールについて詳しく解説しています。
【2022年最新版】カスタマーサクセスツール13選の特徴や機能を比較!

【6】まとめ

現在、多くの企業がカスタマーサクセスに取り組んでいることもあり、これからも数多くの成功事例が出てくるでしょう。

すでにカスタマーサクセスに取り組んでいる企業、これから取り組む予定の企業も定期的に成功事例を見て、自社の参考にできる点は積極的に取り入れていきましょう。

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