カスタマーサクセスのKPIとは?KPIを達成するためのコツもご紹介!

カスタマーサクセスのKPIとは?KPIを達成するためのコツもご紹介!

カスタマーサクセスにとっての成功とは何でしょうか。

これは抽象的な質問ですが、ビジネスの世界ではKPIが成功への道しるべとなります。しかし、カスタマーサクセスのKPI設定が分からないと悩む方も多いでしょう。

そこで本記事では、カスタマーサクセスでKPIが重要な理由と追うべき7つのKPI、達成するコツをご紹介します。

【1】そもそもKPIとは

KPI(Key Performance Indicator)とは、「重要業績評価指標」を意味します。

簡単に言えば、設定した目標の達成度を数値化したものです。Keyという単語が含まれるように、事業成功の鍵となる要素を数値化しなければいけません。

KPIとよく混同されるKGI(Key Goal Indicator)は、最終的な目標を数値化したものです。

例えば、売り上げ目標1,000万円をKGIとすると、このKGIを達成するためにアップセル率70%向上やチャーンレート40%低下などがKPIとなります。

適切なKPIを設定すれば、効果的にカスタマーサクセスの事業目標を達成できるのです。

【2】カスタマーサクセスで適切なKPIを設定するべき理由

カスタマーサクセスがKPIを設定すれば、下記3つのメリットを得られます。

  • LTVが向上する
  • アップセルの機会を最大化できる
  • 顧客ロイヤリティが向上する

ここからは、カスタマーサクセスがKPIを設定するべき3つの理由を解説します。

1.LTVが向上する

LTV(Life Time Value)とは、「顧客生涯価値」のことで、一人の顧客が取引開始から終了までにもたらす利益のことを示します。

テクノロジーの発展や人口縮小により新規顧客の創出が難しくなった今、LTVを伸ばして、顧客と長期的な関係性を築くことが重要です。

カスタマーサクセスに取り組めば、顧客満足度が向上し、顧客は自社製品を使い続けてくれるでしょう。

顧客満足度やヘルススコアなどのKPIを設定すれば、LTVの向上へとつながります。

2.アップセル/クロスセルの機会を最大化できる

アップセルとは顧客がワンランク上の製品サービスにアップグレードすることであり、クロスセルは使用製品と関連する製品を購入してもらうことです。

アップセル/クロスセルをしてもらえば、顧客単価が向上するため、長期的に大きな売り上げを見込めます。

3.顧客ロイヤリティが向上する

カスタマーサクセスが適切なKPIを設定し、顧客を成功へと導ければ、顧客は自社ブランドに愛着を持ち始めます。

顧客ロイヤリティが向上すれば、アップセル/クロスセルにつながるだけではなく、企業への忠誠心が高い顧客「アドボケイト」の創出も見込めます。

アドボケイトはSNSや口コミなどで、積極的に自社について発信してくれるため、新規顧客の獲得へ大きな貢献を果たしてくれるのです。

【3】カスタマーサクセスで見るべきKPI7選

カスタマーサクセスで見るべき主な指標は以下の7つです。

  • チャーンレート(解約率)
  • リテンションレート(維持率)
  • オンボーディング完了率
  • アップセル/クロスセル率
  • NPS®(ネットプロモータースコア)
  • ヘルススコア
  • 顧客満足度

ここからは、各指標の特徴や測定法について解説します。

1:チャーンレート(解約率)

チャーンレートとは、既存顧客がサービスを解約する割合であり、カスタマーサクセスが最も重要視するべきKPIの1つです。

セールスフォース・ドットコムの創業者マーク・ベニオフ氏は、チャーン削減の必要性に迫られたため、カスタマーサクセスを生み出しました。

それでは、なぜチャーンレートが重要なのでしょうか。サブスクリプション型やSaaS型のビジネスモデルにおいては、顧客に長期的に製品サービスを利用してもらうことで、大きな利益が生まれます。

対して、短期間のチャーンレートが高ければ、どれだけ新規顧客を獲得していても、ビジネスは成長しないのです。また、高いチャーンレートは悪い口コミや評判も生み出します。

ユーザーのリアルな声が購買要因になった現代において、悪い口コミが広まれば、新規顧客獲得も困難になるのです。定期収益ビジネスにおいては、いかにチャーンレートを下げられるかが鍵となります。

チャーンレートは下記式で算出します。

● (解約数もしくはダウングレード数 ÷ 顧客数) × 100 = チャーンレート

 

詳しくはこちら!

下記の記事でチャーンレートについて詳しく解説しています。
チャーンレートとは|種類や平均値、算出方法、改善のポイントをまとめて解説

 

2:リテンションレート(維持率)

リテンションレートとは、サービスの利用を継続する顧客の割合であり、「継続率」や「定着率」とも呼ばれます。

フリマアプリを提供するメルカリは、ユーザーがアプリに価値を見出したのかどうかを測定するために、リテンションレートを重要なKPIにしています。

その理由は、リテンションレートはユーザーが自社製品サービスに価値を感じたときのみ向上するためです。

メルカリのように、製品サービスの継続率だけではなく、ユーザーに最適な体験を提供できているかどうかの視点でリテンションレートを見るといいでしょう。

リテンションレートは下記計算式で算出します。

● { (期間終了時の継続顧客数 ÷ 期間中に増えた新規顧客数) - 期間開始時の顧客数 }× 100

3:オンボーディング完了率

カスタマーサクセスにおけるオンボーディングとは、顧客がサービスの利用を開始してから定着するまでの期間のことです。

そして、オンボーディングを完了した顧客の割合を数値化したのが「オンボーディング完了率」となります。

顧客が製品を導入したものの、上手く使いこなせなければチャーンへとつながってしまいます。

製品購買の直後こそ、顧客の興味関心は最大限に高まっているため、オンボーディングで不安を取り除き、製品を使いこなせるように支援しましょう。

オンボーディング完了率をKPIにする場合、オンボーディング完了の定義を決めなければいけません。初期設定が終了した段階やチュートリアルが終了した段階など、製品によってオンボーディング完了の定義は異なります。

まずはオンボーディング完了の定義を定めて、社内の認識をそろえましょう。

オンボーディング完了率は、下記計算式で算出します。

● オンボーディング完了顧客数 ÷ 期間中のすべての顧客数 × 100

4:アップセル/クロスセル率

アップセルとは、顧客に上位グレードの製品を利用してもらうこと、クロスセルは関連製品を購入してもらうことです。簡単に言えば、アップセルは顧客単価アップ、クロスセルは購入数量アップを意味します。

カスタマーサクセスの働きにより、顧客に自社製品を満足してもらえば、顧客は製品の利用範囲を拡大しようと、アップセル/クロスセルをします。それゆえに、アップセル/クロスセル率はカスタマーサクセスの重要なKPIです。

アップセル/クロスセルを向上させるためには、徹底的な顧客視点が求められます。

やみくもにアップセル/クロスセルを提案しても、営業色が強くなってしまい、最悪の場合チャーンを招いてしまいます。

顧客の状態を適切に把握し、本当に必要だと判断したときに、アップセル/クロスセルの提案をしましょう。

5:NPS®(ネットプロモータースコア)

NPS®とは、顧客が自社ブランドや製品に対して持つ愛着や信頼を測るKPIです。

NPS®調査では、顧客に企業や製品を同僚や友人に勧める可能性を尋ね、0~10段階で回答してもらいます。

例えば、「Amazonを友人や同僚に勧めますか?」と尋ねられ、10と回答したらNPS®は高いAmazonのファン、0と回答したらNPS®は低いということです。

そして、点数によって下記のように顧客をセグメント分けします。

  • 9~10点:推奨者
  • 7~8点:中立者
  • 0~6点:批判者

推奨者の割合から批判者の割合を引けば、NPS®が算出されるのです。

NPS®をKPIに据えることで、カスタマーサクセスは効率よくロイヤリティの高い顧客の獲得や売り上げアップに取り組めます。

例えば、無料トライアルを終了した顧客のNPS®を算出し、推奨者にはアップセル/クロスセルの提案、中立者には無料トライアル期間の延長を提案、批判者には改善点を尋ねれば、チャーン率の低下やアップセル/クロスセルの向上を見込めます。

NPS®を測定し、顧客セグメントに応じた適切な対応をしましょう。

6:ヘルススコア

ヘルススコアとは、顧客が自社製品を継続して利用するかどうかを測る指標です。

ヘルススコアが高ければ更新やアップセル/クロスセルの確率が高まり、ヘルススコアが低ければチャーンの可能性が高まります。

つまり、ヘルススコアはリテンションに大きく関与するため、カスタマーサクセスは定期的にヘルススコアの把握と管理をしなければいけません。

製品の利用頻度や定着率、顧客満足度、自立度、カスタマーサポートへの問い合わせ頻度などを考慮し、顧客のヘルススコアを把握しましょう。

ヘルススコアを把握すれば、将来的な顧客行動の予測ができるため、チャーン率の低下や更新率の向上などにつながる行動を取れるようになります。

7:顧客満足度

顧客満足度とは、その名の通り顧客の製品サービスに対する満足度を測る指標です。

カスタマーサクセスにおいては、初回購入の完了時やオンボーディング完了時などに顧客満足度調査をする企業が多くあります。

顧客満足度は簡単に調査できる一方、正確な数値を測定するのは困難というデメリットがあるため、注意が必要です。

なぜなら、満足度の低い顧客は顧客満足度調査に回答しない傾向があるためです。

満足度の高い顧客ばかり回答するため、顧客満足度は高い結果になりながらも、実際のところはチャーンの増加や売り上げ低下が発生しているというケースもあります。

例えば、ゼネラル・モーターズは顧客満足度調査で表彰されていたにも関わらず、経営危機に陥りました。

顧客満足度調査だけでは、正確な顧客ロイヤリティの測定が困難なため、NPS®のほうを重視しましょう。

【3】カスタマーサクセスのKPIを達成するコツ

カスタマーサクセスのKPIを達成するコツは以下の3つです。

  • 事例を参考にする
  • ツールを活用する
  • 部門間の連携を高める

以下では、それぞれのコツについて解説します。

1.事例を参考にする

カスタマーサクセスは比較的最近注目を集めたため、社内に十分なノウハウや知見が少ないと悩む担当者もいるでしょう。

そのような場合は、他企業の事例を参考にするのが有効です。

直面している課題と似た過去の事例を集めて、課題の対処法などを確認し、自社の課題に応用できるかどうか考えてみましょう。

過去の事例を眺めることで、KPI達成へのアイデアが浮かぶことは多々あります。

詳しくはこちら!

下記の記事でカスタマーサクセスの事例について詳しく解説しています。
カスタマーサクセスの成功事例10選│BtoB、BtoCに分けて解説

 

2.ツールを活用する

カスタマーサクセス担当者が抱える企業数が50を超えることは珍しくありません。

極端な例ですが、一人の人間が数十の企業の概要や顧客になってからの期間、購入製品、カスタマーサポートへの問い合わせ回数などを把握するのは不可能です。

しかし、カスタマーサクセスは膨大な顧客情報を管理し、データに基づいた予測をし、適切なアクションを実施しなければいけません。

だからこそ、カスタマーサクセスにはツールが必要です。例えば、ヘルススコアは各種データを分析し、1つのスコアにまとめる必要があるため、ツールがなければ実行できません。

最適なツールを導入して、カスタマーサクセスの業務負担の軽減やデータドリブンの意思決定、顧客管理の一元化などをしましょう。

詳しくはこちら!

下記の記事でカスタマーサクセスにオススメのツールについて詳しく解説しています。
【2022年最新版】カスタマーサクセスツール13選の特徴や機能を比較!

 

3.部門間の連携を高める

カスタマーサクセス部門のKPI達成には、他部門の協力が欠かせません。

例えば、チャーン率の低下をKPIにしたとしましょう。

KPI達成に向けて、カスタマーサクセスが全力を注いでも、営業がノルマ達成のために自社と関連性の低い顧客を獲得すると、チャーン率は上昇するでしょう。

これは営業に限ったことではなく、マーケティングやカスタマーサポート、製品開発にも通じます。各部門の一挙一動が顧客に影響を与えるのです。

まずはトップダウンでカスタマーサクセスの重要性を社内に浸透させましょう。

こちらの記事も要Check!

下記の記事でカスタマーサクセスが大変な理由について詳しく解説しています。
カスタマーサクセスは辛い?その理由と対処法を解説

【4】まとめ

カスタマーサクセスが適切なKPIを設定すれば、チャーン率の低下やアップセル/クロスセルの増加などに期待できます。

見るべきKPIは多々ありますが、特に重要なのがチャーン率・アップセル/クロスセル・NPS®(ネットプロモータースコア)・ヘルススコアの4つです。

データを活用して、顧客状態を正確に把握し、迅速に適切な対処をしてKPI達成をしましょう。

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