カスタマーサクセス組織図モデル5選と構築手順!

カスタマーサクセス組織図モデル5選と構築手順

カスタマーサクセスの組織図モデルは多々あります。

カスタマーサクセスが営業から更新まで担当するモデルがあれば、エリアや契約形態別にカスタマーサクセスチームを構築するモデルもあるのです。

これからカスタマーサクセスに取り組む場合は、まずは組織図モデルについての理解を深め、自社に適したモデルを採用しなければいけません。

本記事では、カスタマーサクセス組織図モデル5選と構築手順、ベストプラクティスを解説します。

【1】カスタマーサクセスの組織構成が重要な理由

カスタマーサクセスの組織構成が正常だと、迅速かつ最適な顧客対応ができるようになります。

例えば、カスタマーサクセスの役割が明確にされていなければ、ハイタッチの顧客対応ばかりに注力し、テックタッチへの対応が不足するなどの事態が生じるでしょう。

カスタマーサクセス部門は、多くの企業をサポートするからこそ、適切な組織を作る必要があるのです。

適切な組織構築の結果、リテンション率やアップセル/クロスセルなどの向上を見込めます。

詳しくはこちら!

下記の記事でカスタマーサクセスについて網羅的に詳しく解説しています。
カスタマーサクセスとは?具体的な業務内容から成功のポイントまで解説!

【2】カスタマーサクセスの組織図モデル5選

カスタマーサクセスの組織図モデルは、主に以下5つに分類できます。

  • オールラウンダー型
  • スペシャリスト型
  • セールス指向型
  • パートナーシップ型
  • エリア別型

自社に適した組織図を作成できるように、5つの組織図モデルを見ていきましょう。

1.オールラウンダー型

オールラウンダー型とは、カスタマーサクセスがセールスからオンボーディング、サポート、リテンション・アップセル/クロスセルまで対応する組織図です。

カスタマーサクセスを立ち上げたばかりの企業や事業規模が小さいスタートアップ企業などでよく見られます。

オールラウンダー型は、カスタマーサクセスが事業の中心となっているため、チャーン(解約)率の大幅な低下を見込める点がメリットです。

例えば、営業がノルマ達成だけを目的に、自社に適していない顧客を集めることがなくなれば、チャーン率は下がります。

一方、カスタマーサクセスの業務負担が大きくなるデメリットがあります。

顧客基盤の拡大につれて、新たな人材を雇うもしくは他の組織図モデルに移行しなければ、適切な顧客対応はできません。

2.スペシャリスト型

スペシャリスト型とは、カスタマーサクセス部門内にオンボーディングチームやテックタッチチーム、セールスチームなどの専門チームを構築する組織図モデルです。

スペシャリスト型を採用すれば、各チームが自身の業務に注力できるため、顧客に最適な支援を提供できる可能性が高くなります。

また、各メンバーの業務負担の軽減にもつながります。

デメリットとしては、チーム間の連携が円滑でなければ、顧客対応に遅れが生じ、チャーンの増加を招く可能性があることです。

また、十分な数のカスタマーサクセス人材を集めなければ、スペシャリスト型の導入は困難でしょう。

3.セールス指向型

セールス指向型とは、カスタマーサクセスが営業と密に連携を取りながら業務を進める組織図モデルです。

カスタマーサクセスと営業が密に連携を取ることで、自社にあった顧客への製品販売、最適なタイミングでのアップセル/クロスセルの提案などが可能になります。

取り扱い製品が複雑ではない企業や顧客数が少ない企業でよく見られる組織図です。

4.パートナーシップ型

パートナーシップ型とは、カスタマーサクセスが顧客と伴走形式で支援する組織図モデルです。

パートナーシップ型の強みは、カスタマーサクセスが伴走するため、顧客の課題を先回りして解決できることです。

また、顧客状態を正確に把握できるので、アップセル/クロスセルの成功確率も上がります。

パートナーシップ型は顧客数は少ないながらも、1社当たりの顧客単価が高いハイタッチ層が多い企業に最適です。

もしくは、ある程度のハイタッチ層がいるならば、スペシャリスト型にハイタッチ専用チームを作るといいでしょう。

5.エリア別型

エリア別型とは、顧客の地域に合わせてカスタマーサクセスチームを構築する組織図のことです。

例えば、顧客が東京と福岡にいるのなら、東京カスタマーサクセスチームと福岡カスタマーサクセスチームを構築します。

エリア型チームとは別に、どの地域の顧客にも共通対応するテックタッチやイネーブルメントなどのチームを構築しましょう。

エリア別型のカスタマーサクセスチームは、事業規模が拡大し、全国各地に多くの顧客を抱える企業で見られます。

エリア別のほかにも、顧客規模ごとにチームを作る組織図も有効です。

【3】カスタマーサクセスの組織構築手順

カスタマーサクセス組織の構築手順は以下の通りです。

  • STEP1:組織に必要な役割を把握
  • STEP2:カスタマーサクセス組織を作る目的を明確にする
  • STEP3:カスタマーサクセス部門に権限を与える
  • STEP4:カスタマーサクセス人材を確保
  • STEP5:カスタマーサクセスツールを導入

ここからは、各ステップの詳細について見ていきましょう。

STEP1:組織に必要な役割を把握

まずはカスタマーサクセスに必要な役割/機能を理解しましょう。カスタマーサクセス組織に必要な主な役割は以下の通りです。

  • CCO(チーフカスタマーオフィサー)
    CCOとは「最高顧客責任者」であり、簡単に言えばカスタマーサクセス部門のトップです。経営陣と協力して、カスタマーサクセス戦略の立案と実施をします。また、社内外にカスタマーサクセス文化を浸透させる役割もあるのです。
  • CSM(カスタマーサクセスマネージャー)
    CSMは、カスタマーサクセスチーム内の業務フローや効率性を管理し、チームメンバーが高いパフォーマンスを発揮できるように支援します。
  • コンサルタント
    カスタマーサクセスのコンサルタントは、テクノロジーを活用して、顧客の課題を先回りして解決します。また、改善策の提案やアップセル/クロスセルの提案も行います。
  • テックタッチ
    多くの顧客が自分で課題を解決できるように、ナレッジベースやFAQ、マニュアル動画などの制作を担います。
  • イネーブルメント
    カスタマーサクセスにおけるイネーブルメントは、メンバーの業務内容を効率化するためにツールの導入や設計を行います。

STEP2:カスタマーサクセス組織を作る目的を明確にする

一部の例外を除けば、多くの企業は小規模のカスタマーサクセスからスタートすることになるでしょう。

カスタマーサクセスの業務は、オンボーディング・アダプション・エクスパンションの3つのフェーズに分類でき、フェーズによって業務内容は異なります。

だからこそ、まずはカスタマーサクセス組織を作る目的を明確にし、どのフレーズに注力するのかを決めましょう。

例えば、導入支援などのオンボーディングに注力するのなら、オールラウンダー型やパートナーシップ型が候補になるかもしれません。

目的を明確にすることで、目指すべき組織図が見えてきます。

Step3:カスタマーサクセス部門に権限を与える

カスタマーサクセスは、単一部門の取り組みではなく、全社横断で取り組まなければいけません。

営業やマーケティング、製品開発など各部門がカスタマーサクセスに協力すれば、顧客の成功を支援できます。

つまり、カスタマーサクセス部門は組織の中心に位置する必要があるからこそ、カスタマーサクセス部門に権限を与えなければいけません。

経営メンバーをカスタマーサクセス部門のトップにアサインする、もしくはカスタマーサクセス部門に強い権限を与えましょう。

Step4:カスタマーサクセス人材を確保

カスタマーサクセス業務を推進するにあたり、必要な人材を確保します。予算の少ない企業は、既存の社員をカスタマーサクセスに割り当てるといいでしょう。

企業規模が小さい場合は、オールラウンダー型を採用して、全社員がカスタマーサクセスに取り組むのも有効です。予算に余裕がある場合は、カスタマーサクセス人材を新たに採用しましょう。

Step5:カスタマーサクセスツールを導入

カスタマーサクセスの成功にツールの導入は欠かせません。カスタマーサクセスツールを導入すれば、社内に散在する顧客データを集約できるようになり、効率よく顧客の課題やニーズを把握することが可能です。

また、ツールは業務の効率化にも貢献します。例えば、テックタッチ向けのツールを導入すれば、大勢の顧客がセルフラーニングできるようになり、カスタマーサクセスはロータッチ・ハイタッチの顧客対応に専念できます。

小規模のカスタマーサクセスチームでも多くの顧客を支援できるようになるため、積極的にツールに投資をしましょう。

詳しくはこちら!

下記の記事でカスタマーサクセスにオススメのツールについて詳しく解説しています。
【2022年最新版】カスタマーサクセスツール13選の特徴や機能を比較!

【4】カスタマーサクセス組織構築のベストプラクティス

カスタマーサクセス組織構築のベストプラクティスは以下の通りです。

  • 単一チームで動く
  • タッチモデル別に予算の最適化をする
  • 顧客セグメント別に組織を構築
  • 他部門との足並みをそろえる

各ベストプラクティスについて解説します。

1.単一チームで動く

企業規模が小さい場合でも、早い段階からカスタマーサクセスの単一チームを構築しましょう。独立したカスタマーサクセス部門を作ることで、企業内にカスタマーサクセス文化が生まれます。

まずは小規模でスタートし、顧客基盤が拡大するにつれて、カスタマーサクセスの規模も増大しましょう。

2.タッチモデル別に予算の最適化をする

顧客層は以下の3つに分類できます。

  • ハイタッチ:顧客当たりの単価は高い。顧客数は少ない
  • ロータッチ:ハイタッチとテックタッチの中間層
  • テックタッチ:顧客当たりの単価は低い。顧客数は多い

顧客を3つのタッチモデルに分類したら、タッチモデル別に予算の最適化をしましょう。

基本的に、優良顧客が属するハイタッチには多くの予算を投下し、伴走形式で支援をします。

その一方、テックタッチにかける予算は少なめにし、FAQやナレッジベース、動画マニュアルなどで支援を自動化しましょう。

3.顧客セグメント別に組織を構築

顧客セグメント別にカスタマーサクセスを構築するのも有効です。

具体的には、エンゲージメントや契約規模/形態、地域別などでカスタマーサクセスチームを作ります。

カスタマーサクセスの組織図に正解はないため、自社のステージや顧客などに適したチームを構築しましょう。

4.他部門との足並みをそろえる

顧客に成功を届けるためには、他部門の協力が欠かせません。

トップダウンでカスタマーサクセスの重要性を説き、カスタマーサクセスと他部門が円滑に連携できるようにしましょう。

そうすることで、営業がノルマ達成だけを目的とした顧客獲得をしなくなれば、マーケティング部門は顧客解像度を高めたうえで施策展開をでき、製品開発は顧客フィードバックを迅速に反映できるようになるのです。

【5】まとめ

カスタマーサクセスの組織図は、自社ビジネスや顧客属性、プロダクトの値段や複雑性などを考慮して決めましょう。

ただ、まずはスモールスタートをして、徐々にカスタマーサクセスの拡大をしていくのがおすすめです。

また、どの組織図モデルを採用するとしても、ツールの導入は欠かせません。

自社に適した組織図モデルとツールを導入して、カスタマーサクセスに取り組んでみましょう。

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