カスタマーサクセスのオンボーディングとは?種類や成功のポイントを解説!

カスタマーサクセスのオンボーディングとは?種類や成功のポイントを解説!

カスタマーサクセスのオンボーディングとは、顧客が製品サービスを使いこなせるように支援するプロセスのことです。

導入期でつまずいた顧客は、次のステージに進むことはないため、いかにオンボーディング率を高められるかが事業成長のカギを握ります。

しかし、これからカスタマーサクセスに取り組む担当者の中には、オンボーディングの仕方が分からないと悩む方もいるでしょう。

そこで本記事では、オンボーディングが重要な理由や成功ポイント、事例などを解説します。

【1】カスタマーサクセスのオンボーディングとは

カスタマーサクセスにおけるオンボーディングとは、新規顧客が自立して製品サービスを活用できるように支援するプロセスのことです。

特に、BtoBのSaaS製品などは操作方法が複雑なため、オンボーディングは欠かせません。

オンボーディングをしなければ、顧客は製品を使いこなせないため、早期チャーン(解約)をすることになるでしょう。

【2】カスタマーサクセスでオンボーディングが重要な3つの理由

カスタマーサクセスでオンボーディングが重要な理由は以下の3つです。

  • 顧客ライフサイクル全体に影響を及ぼすため
  • 導入初期はチャーン率が高いため
  • アップセル/クロスセルを増やすため

それぞれの理由について見ていきましょう。

1.顧客ライフサイクル全体に影響を及ぼすため

顧客のライフサイクルは、大きく「導入期」「活用期」「定着期」の3つに分類できます。

導入支援をするオンボーディングは、顧客が成功へと向かうためのファーストステップです。導入期でつまづいた顧客が、活用期や定着期に進むことはありません。

つまり、適切なオンボーディングを提供できなければ、顧客は解約をし、顧客獲得にかかった人件費や時間が無駄になってしまうのです。

2.導入初期はチャーン率が高いため

サービスに登録したものの、使い方が分からないため、すぐに解約した経験はないでしょうか。

導入初期はチャーン率が非常に高いです。だからこそ、カスタマーサクセスによるオンボーディング支援で、早い段階で顧客に価値を届けなければいけません。

見方を変えれば、導入期さえ乗り越えれば、顧客は長期的に製品を活用してくれます。

分かりやすく例えるなら、自社製品を自転車と置き換えてみてください。

自転車は乗りこなせるようになるまで、何度も転倒するため、サポートする人がいなければ自転車に乗ること自体を止めるでしょう。

しかし、サポートする人がいれば、ユーザーはスムーズに自転車に乗れるようになり、「風を感じる気持ち良さ」や「移動時間が楽しくなる」などの価値を得られます。

この例の自転車こそが自社製品であり、サポート役がカスタマーサクセスのオンボーディング支援です。

3.アップセル/クロスセルを増やすため

オンボーディング支援で、製品を使いこなせるようになった顧客は、期待した価値を得られます。成功した顧客は、さらなる価値を得ようと上位モデルへアップグレードしたり(アップセル)、関連製品を購入したり(クロスセル)するのです。

カスタマーサクセスについてはこちら!

下記の記事でカスタマーサクセスについて網羅的に詳しく解説しています。
カスタマーサクセスとは?具体的な業務内容から成功のポイントまで解説!

【2】カスタマーサクセスのオンボーディング種類5選

カスタマーサクセスのオンボーディングの主な種類は以下の5つです。

  • ウェルカムメール
  • アプリ内ガイダンス
  • ナレッジベース
  • トレーニング
  • 伴走支援

ここからは、各オンボーディングの種類について解説します。

1.ウェルカムメール

ユーザーに良い印象を与えるためには、ユーザーを歓迎することが有効です。

製品購入をした顧客には、ウェルカムメールを送信するように設定しましょう。

ウェルカムメールに入れるべき内容は、歓迎のメッセージや設定に役立つリソース、製品画面へ遷移するリンクです。

以下はウェルカムメールのテンプレートになります。

件名:「製品名」へようこそ!

≪本文≫

製品名へようこそ!

製品名を選んでいただきありがとうございます。

皆様が成功できるように、企業名は全力でサポートさせていただきます。

ここでは、スタートに役立つリソースをいくつかご紹介します。

● リソース1
● リソース2
● リソース3

ご不明な点がある場合は、サポートチームに問い合わせるかこちらより詳しくご覧ください。

2.ウォークスルー/アプリ内ガイダンス

ウォークスルーとは、ユーザーが初めてアプリを起動した際に表示されるアプリの使い方を説明する機能のことで、「アプリ内ガイダンス」とも呼ばれます。

ウォークスルーのメリットは、ユーザーは実際に操作をしながら使い方を学べるため、スムーズにアプリの利用を開始できることです。

3.ナレッジベース

カスタマーサクセスにおけるナレッジベースとは、製品の使い方やよくある質問をまとめたデータベースのことです。

ナレッジベースを用いれば、ユーザーはカスタマーサポートに問い合わせることなく、瞬時に課題や悩みを解決できます。

また、ユーザーの情報を探す手間を省略したい場合は、チャットボットの導入もおすすめです。

4.トレーニング

トレーニングとは、カスタマーサクセス担当者がクライアント企業の社員に対して、使い方をレクチャーすることです。顧客先へ訪問、もしくはオンラインで開催します。

5.伴走支援

伴走支援とは、製品が定着するまで専属担当者がついて、オンボーディング支援をすることです。

名刺管理サービスを提供するSansan株式会社の場合、キックオフミーティングやスケジュール策定、ユーザートレーニング、過去名刺の取り込みなどスムーズな導入を成功させる支援を提供しています。

【3】カスタマーサクセスのオンボーディングのポイント

オンボーディング支援を成功させるポイントは以下の通りです。

  • 目標を設定する
  • 顧客理解を深める
  • 顧客に指標を提案する
  • アーリーサクセスに注力する
  • セグメント別に最適な対応をする
  • 定期的にコミュニケーションをとる
  • ツールを活用する

ここからは、それぞれのポイントについて見ていきましょう。

1.目標を設定する

まずは目標とするオンボーディング完了率を定めましょう。

オンボーディング完了と言っても、製品サービスによって、その定義は異なります。

例えば、基本性能を活用できる状態と定義できれば、初期セットアップの完了を定義することも可能です。オンボーディングの定義と目標完了率を明確にしましょう。

2.顧客理解を深める

顧客によって、抱える課題やペインポイントは異なります。

業務効率化を目指す企業があれば、リード獲得を目指す企業があるでしょう。

まずは顧客とのミーティングや営業へのヒアリング、データ分析などを基に、顧客理解を深め、最適なオンボーディング支援を提供できるようにします。

3.顧客に指標を提案する

顧客の多くは製品サービスで達成したい目標や解決したい課題があっても、その具体的な指標は持っていません。指標を立てることで、製品サービスが提供する価値を測定できるようになるため、早い段階で顧客とともに指標を決めましょう。

指標を決める際は、顧客に完全に任せきるのではなく、他の顧客が使う機会の多い指標を提案するのが有効です。

顧客と指標を決めたら、効果測定ができるように基準値も決めます。

具体的な指標があれば、顧客に製品サービスの価値を実感してもらえるようになります。

4.アーリーサクセスに注力する

レストランで何時間も料理が来るのを待った場合、どれほど美味しい料理が提供されても、多くの方はがっかりするのではないでしょうか。

中には、料理が来る前にレストランを去る方もいるでしょう。

ビジネスの世界でも同じことが起きます。顧客の多くは、早い段階での成功を期待します。

例えば、1年契約をして価値を得られるまでに11か月かかった場合、顧客は更新しない可能性が高いです。だからこそ、早い段階で達成できる指標から注力しましょう。

例えば、顧客の指標が「製品を活用する社員数を増やす」と「リード獲得率を高める」ならば、製品を使いこなす社員の数を増やす指標に注力するべきです。成果を実感しやすい、かつ早期実現できる指標に取り組んでから、残りの指標に取り組みましょう。

5.セグメント別に最適な対応をする

オンボーディング支援は、顧客ごとに最適化するべきです。極端な例ですが、年間1,000万円以上費やす企業と年間1万円費やす個人ユーザーに、同じオンボーディング支援を提供するべきではありません。

1,000万円以上を費やすユーザーには、カスタマーサクセスが多くの時間を費やし、伴走形式でオンボーディング支援をするべきでしょう。一方、個人ユーザーにはテクノロジーの力でオンボーディング支援を自動化しなければいけません。

このように、顧客の契約金額や企業規模などのセグメント別に、最適なオンボーディング支援を提供する必要があります。

カスタマーサクセスにおいては、顧客を下記3カテゴリーのいずれかに分類できます。

  • ハイタッチ:大口顧客。カスタマーサクセス担当者が個別対応する
  • ロータッチ:ハイタッチ顧客より少し価値が下がる顧客。場合によって個別対応をする
  • テックタッチ:価値が低い顧客。テクノロジー主導で対応する

どのセグメントも企業にとって重要となります。

例えば、テックタッチに属する顧客の一人当たりの価値は少ないですが、テックタッチの顧客数はハイタッチ・ロータッチよりも多いです。

テックタッチへのオンボーディング支援が不足すれば、大きな損失を招く結果になります。

顧客をハイタッチ・ロータッチ・テックタッチのいずれかに分類し、各セグメントに最適なオンボーディング支援を提供しましょう。

6.定期的にコミュニケーションをとる

オンボーディング期間中、顧客が重視する指標が変わることは多々あります。オンボーディング期間中は、顧客と直接コミュニケーションを取り、指標の認識をそろえましょう。

なおロータッチ・テックタッチの場合、オンボーディング期間中に直接コミュニケーションを取るメリットは少ないです。

ロータッチ・テックタッチはアンケート調査などで顧客状態を分析し、その分の人的リソースをハイタッチに回しましょう。

7.ツールを活用する

カスタマーサクセスツールを導入すれば、効果的なオンボーディング支援が可能になります。

例えば、テックタッチに属する顧客が多い場合は、ナレッジベースやウォークスルーなどの提供ツールは欠かせません。その他にも、セグメントごとにパーソナライズ化したメール配信や顧客行動の詳細な分析などが可能となります。

詳しくはこちら!

下記の記事でカスタマーサクセスにオススメのツールについて詳しく解説しています。
【2022年最新版】カスタマーサクセスツール13選の特徴や機能を比較!

【4】カスタマーサクセスのオンボーディング事例3選

ここからは、優れたオンボーディング支援を提供する企業事例を3つご紹介します。

1.Slack

Slackは、ユーザー情報の入力から初めてのワークスペース作成までの流れが非常にスムーズで、ユーザーはストレスを感じることなくセットアップできます。

また、初めてのユーザーには画面上で便利な機能の使い方をチュートリアル。slackbotは大事な通知をリマインドし、ビデオチュートリアルなどのテックタッチでのオンボーディングも豊富です。

2.Canva

無料のデザインツールCanvaは、新規ユーザーに利用目的を尋ね、回答に合わせて表示内容を変えています。

また、製品の使用方法はウォークスルーでチュートリアルしています。実際に機能を試しながら、活用法を学べるため、迷うことなくCanvaを利用できるでしょう。

3.Dropbox

特に優れたオンボーディングを提供するのがDropboxです。Dropboxに登録して、すぐに使いこなせるようになった人は多いのではないでしょうか。

その理由は、シンプルな操作性だけではなく、優れたウォークスルーにもあります。初めてDropboxを開くと、PDF形式の活用ガイドがDropbox内に提供されます。

そして、ユーザーはファイルを1つDropboxにアップロードするように促されるのです。

ユーザーは指示通りファイルをアップロードすることで、アーリーサクセスを体験でき、スムーズに活用できるようになります。

【5】まとめ

カスタマーサクセスにとって、オンボーディングは最も重要な業務の一つです。

オンボーディングで、顧客が製品サービスを使いこなせるように支援できなければ、顧客は早い段階でチャーンをすることでしょう。

オンボーディング支援においては、顧客とともに明確な指標を設定し、アーリーサクセスに注力することが大切です。ぜひ本記事を参考に、オンボーディング支援に取り組んでください。

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