リードは、業界や業種、取り扱う商品やサービスによって定義が変わります。また、リード管理は営業活動で効率的に売り上げをあげていくために不可欠です。
今回はリード管理の流れやメリット、そしてリード管理を行う上での課題や注意点など説明します。またリード管理をする際に必要なツールも紹介します。
リード獲得
【TECH+マーケティング責任者】武本 大平 [2022.09.21]
リードは、業界や業種、取り扱う商品やサービスによって定義が変わります。また、リード管理は営業活動で効率的に売り上げをあげていくために不可欠です。
今回はリード管理の流れやメリット、そしてリード管理を行う上での課題や注意点など説明します。またリード管理をする際に必要なツールも紹介します。
リードとは「見込み客」のことを意味しており、すでに自社の商品やサービスを利用している既存顧客とは違い、自社の商品やサービスを購入していない段階の顧客のことを言います。適切にアプローチすることによって、信頼関係を構築し既存顧客へと発展する可能性があります。
リードには、「問い合わせをした」、「展示会やセミナーなどに参加した」、「商談や提案が終わり発注する前」など、いろいろな段階があります。
参考記事:リード獲得とは?効果的な14のリード獲得方法と重要なポイント!
リードの定義は明確には決まっておらず、業界や業種、部署や扱う商材などによって変わります。ただし、次に紹介するリードは、業界や職種などを超えて共通のリードの定義といえます。基本的なリードの定義を説明します。
MQL(Marketing Qualified Leads)は、マーケティングの部署でフォローするリードを指します。マーケティング活動を通して獲得し、今後のアプローチ次第で既存顧客に引き上がる見込みが高いリードです。マーケティングで獲得したリードは、購入意欲が高まったタイミングで営業部に引き継がれ、購入へのクロージング活動を行います。
MQLはどのタイミングで営業部署にリードを引き継ぐかが重要です。例えば、マーケティング部でインターネット上に広告を出した場合、それを見た全員が商品やサービスを購入するわけではありません。広告バナーをクリックした人、バナーを見てもなにもしない人などに分かれます。マーケティング部は、広告をクリックして見てくれた顧客を選び、受注見込みがどのくらいあるのかを判定してMQLかどうかを判別していきます。
TQL(Teleprospecting Qualified Leads)は、テレアポなどによるインサイドセールスによって獲得するリードをいいます。
マーケティング部で見込みの高い顧客をMQLに仕分けし、インサイドセールス部などによるテレアポで、商談までつながった顧客をTQLと呼びます。MQLよりもTQLは自社の商品やサービスに興味があり、成約に繋がる可能性が高い顧客と言えます。
TQLは電話のみで成約につながったり、営業担当による顧客訪問が実現する可能性が高い点が特徴です。
また、インサイドセールスの基礎知識や運用設計は、以下で詳しく解説しています。
参考記事:インサイドセールスとは?業務内容、メリット、体制づくりのポイント~事例までわかりやすく解説
SQL(Sales Qualified Leads)は、営業の担当者が獲得するリードです。SQLは、大きく分けて2種類あります。
リード管理とは、リードとして分類された顧客の基本情報や行動データを管理し、関係者で情報を共有し、購入・成約までのプロセスを最適化する一連の流れを指します。リード管理がしっかりできていれば、商品を購入する可能性の度合いによって顧客を分類し、購入意欲が高い顧客へ優先的にアプローチでき、効率的な売上増加を見込めます。
また、抱えている顧客数が多いほどリード管理は重要となります。リード管理では、顧客の名前、役職や連絡先などの基本情報を管理するだけでなく、リード獲得に至ったプロセスも分析し管理する必要があります。
新規顧客との関係が発生するきっかけから受注までの流れを把握できるため、実施しているマーケティング施策・集客施策の効果検証にも役立ちます。
リード管理をすると、それぞれのリードの属性や購入意欲などジャンルごとの分析が可能となり、適切なアプローチで効率的な売り上げ増加を狙えます。
近年では、新型コロナウイルスの影響でリモートワークに切り替えた企業や職種も多く、リードの獲得方法に変化が見られます。例えば、今までのような顧客先に直接訪問して営業するスタイルよりも、電話やオンライン商談などによるインサイドセールスがメインになっている企業も増えています。
以下の図の通り、顧客の集客から受注までのプロセスにリード管理業務を設けることで、インサイドセールス部門がアプローチするリードが精査され、営業部署との連携もスムーズに進められます。
また、インサイドセールスを活用した営業活動は訪問のみの営業活動に比べて、成約率が下がってしまうことが懸念されますが、HubSpotが発表した「日本の営業に関する意識・実態調査結果」によると、インサイドセールスを導入している企業としていない企業では成約率は約4割とほぼ変わらないことがわかっています。
リード情報や関係性をデータとして管理し、関係部署や担当者間で共有しながらリードを育成し、既存顧客に育てるまでには3つのプロセスがあります。リード管理の流れを見ていきましょう。
リードジェネレーションは、リードを獲得する段階の取り組みを指します。リードジェネレーションでは、現状まだ自社と接点がない潜在顧客を見込み顧客に変化させることで、最終的に既存顧客へ引き上げる顧客層の増加を目的とします。
リードジェネレーションには2つの種類があります。
インバウンド型は、リードとなる顧客自身が能動的に自社商品やサービスにアプローチするよう促すマーケティング戦略です。例えば、SNSなどを通じて積極的に情報を発信することでリードに認知してもらい、アプローチしたくなるよう促す施策などが該当します。
インバウンド型のリードジェネレーションは、定期的に情報を発信することで、認知度が上がり効果が見えてくる方法です。じっくりリードを育てたい場合には適していますが、即効性を求める場合は不向きと言えるでしょう。
SNS広告などをみたユーザーが自社製品の紹介ページやサイトに訪れ、コンテンツ閲覧や資料請求、ホワイトペーパーをダウンロードする際フォームに顧客情報を入力してもらうことでリード獲得をする仕組みは、インバウンド型の手法で最も有効なものといえるでしょう。メールアドレスや電話番号など手に入れた顧客情報へ後日連絡し、資料やホワイトペーパーの内容についてヒアリングをかけます。
アウトバウンド型は、展示会やセミナーの開催、広告やDM施策などを通して企業から積極的にリードにアプローチする方法です。アウトバウンド型の施策は一般的にインバウンド型よりも即効性が高い点が特徴です。
近年では、インターネットやSNSが普及し利用者が急速に拡大している状況に伴い、リード自身が興味のある商品やサービスの情報を能動的に収集する動きが増加しています。そのため、現在ではインバウンド型のリードジェネレーションに注目が集まっています。
具体的な例を挙げると、自社サイトやメールマガジンや自社サイトにおいて展示会やセミナー開催のお知らせを配信し、参加したいと感じればフォームを入力して参加表明をしてもらうことで、潜在的に購買意欲のあるユーザーからのリードを獲得できます。実際に開催されるイベントでも、自社製品に興味を持ってくれているユーザーと積極的にコミュニケーションが取れます。
参考記事:リードジェネレーションとは?意味・定義とリード獲得の手法・目標の考え方
リードナーチャリングは、リードを育成するという意味を持ちます。リードジェネレーションで獲得した見込み顧客に対して、情報提供やアプローチを繰り返し、リードの関心をより具体的なニーズに育てていく作業です。
例えば、自社製品に興味を持っているリードや、他社とのサービスや商品を比較検討しているリードに適切な情報を提供しアプローチすることでより確実な自社商品への囲い込みができます。
参考記事:リードナーチャリングとは?手法やプロセス、効率的に行うポイントを解説!
リードクオリフィケーションはリードを選別することを指します。リードナーチャリングをしても、それぞれのリードによって興味や関心の強さや行動、購買意欲が高まるまでの成長スピードは異なります。成約率を高めるためには、リードナーチャリングの後にリードクオリフィケーションによって購買意欲の高い顧客を選別する必要があるのです。
参考記事:リードクオリフィケーションとは?重要性とリード獲得手法、導入のポイントをわかりやすく解説
リード管理はただデータを集めておくだけでは効果的とは言えません。ここではリード管理をする上で把握しておくべき課題や注意点を解説します。
リード管理では、顧客の情報をどれだけ正確かつ詳細にデータ化できるかが重要です。そのためリードの情報を各部署で共有し、こまめに情報を更新する必要があります。
例えば、コールセンターやインサイドセールスで得た顧客の希望や要望、問い合わせ内容、また営業が商談したときの内容や担当者の特徴、アプローチの回数などさまざまな情報を正確に把握してリード管理を行うよう心がけましょう。
リードの定義が不明確な場合、リードをうまく活用できない要因になります。リードは、自社の商品やサービスにアプローチしてきた人だけではありません。匿名の問い合わせメールやインターネットのサイトにアクセスした人など、リードの情報が何もわからない人でも、顧客になり得る可能性は充分にあります。
見込みのありそうなリードばかりにフォローが集中してしまうと、より幅広い顧客の獲得が疎かになるケースもあります。自社で定義しているリードではなくても、自社の顧客になってくれるかもしれない潜在顧客がいることを認識し、必要に応じて定義を見直すようにしましょう。
すでに知名度のある商品やサービスの関連商品を取り扱っている場合や、有名メーカーなどの商品を販売する場合には、宣伝やリード管理をしなくても一定の売り上げや成約が見込めます。
このような状況が続くと、新規顧客の獲得の重要性や熱意が失われてしまい、リード発掘やナーチャリングが疎かになってしまいます。いつまでも「出せば商品やサービスは売れる」状況は続きません。潜在的な新規顧客を開拓し、顧客へと育てる業務の重要性を忘れないようにしましょう。
リード管理の課題や注意点を克服し、より効率的にリード管理を行うためのポイントを紹介します。
リードを効果的に管理するために、カスタマージャーニーを実施しましょう。カスタマージャーニーとは、リードが商品やサービスを認知し、購入するまでの流れを想定して可視化する作業です。
顧客が商品を購入するまでの一連の流れは、認知・関心・情報収集・比較検討・購入などいくつかのプロセスに分けられます。カスタマージャーニーではそれぞれの段階でのリードの思考や悩みなどを細かく想定した上で可視化します。カスタマージャーニーを行うと、リードジェネレーションからナーチャリング、クオリフィケーションまで、リードへの適切な情報提供やアプローチの方法などが見えてきます。
下記の記事でカスタマージャーニーについて詳しく解説しています。
・カスタマージャーニーマップとは?必要性や作成手順、事例まで解説
MA(マーケティングオートメーション)ツールをリード管理に導入すると効率的に運用できるほか、社内リソースの工数削減につながります。また、MAツールを利用することで、どのWebサイトにアクセスが多いのかなどの情報や、よく閲覧される時間やメルマガの開封率などがすぐに分析できます。MAツールにはスコアリング機能も搭載されているものが多いため、リードクオリフィケーションにも役立つツールです。
SFAを導入し、社内の情報共有を活性化する
SFAはSales Force Automationの略で、営業支援システムとも呼ばれます。SFAは顧客管理、商談管理、営業日報、名刺管理など営業担当が行う業務をサポートする機能が多数搭載されています。
SFAを活用することで、顧客の検討ステータスを正確に社内で共有でき、効率的なリード管理が実現します。
リード管理ツールに必要な機能を紹介します。
ステータス管理機能は、リードのステータス別に顧客を管理できる機能です。未対応や対応中など担当者が一目で確認しやすいため、社内全体・メンバー全員でリードを把握し管理する上で便利な機能です。
リードの管理には、基本情報や行動履歴を蓄積する機能も必要です。行動履歴がわかると顧客の検討ステータスやニーズを分析できるヒントとなるでしょう。
リードの分析機能があれば、リードの基本情報や行動履歴を管理するだけでなく、分析してスコアリングができます。リードに優先順位をつけ、効率的なアプローチを実施するために必要な機能です。
参考記事:インサイドセールスツール6種!SFA、MA、CTI、ABM、名刺管理…必要なシステムはどれ?
リード管理を行う際には、正確な情報収集や関係部署との共有、分析などを行わなければいけません。リードの情報をもとにMAツールやオウンドメディア、セミナー、ホワイトペーパーなどによるリードへのアプローチをして顧客へと育てましょう。
ただし、なにもないところからリード管理を導入し、成果が出るまでには期間や手間がかかります。社内でリード管理が難しい場合は、代行委託も一つの手段です。
【TECH+マーケティング責任者】武本 大平
2021年からTECH+ のマーケティング部門立ち上げを推進。現在はTECH+マーケティング担当として、 各プロダクトの販促や各種マーケティングアクティビティの立案・実行を担当。マーケティング実務検定3級、SEO検定1級、ネットマーケティング検定を保有。
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