インサイドセールスを内製化して育成・教育するポイントまとめ 担当採用・業務分掌や外注との比較まで解説 

インサイドセールスを内製化して育成・教育するポイントまとめ 担当採用・業務分掌や外注との比較まで解説 

インサイドセールスとは、電話やオンラインを活用した内勤型の営業です。元々は土地が広くフィールドセールスに難があったアメリカで誕生した手法ですが、モバイルデバイスの普及や新型コロナウイルスの流行にともない現在日本でも広まりつつあります。

インサイドセールスは営業活動の効率化や受注数の増加にも効果的です。ただし運用には専門的なノウハウが必要であり、他部門との連携も欠かせません。

この記事ではインサイドセールスの導入に必要な準備や課題、内製と外注の違いなどについて解説します。

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インサイドセールスを組織化する際の課題とは?

そもそもインサイドセールスとは?

インサイドセールス内製化・効率化

インサイドセールスとは電話・メール・Webなどを使った内勤型の営業です。

新型コロナウイルスの感染拡大により、従来の主流であった対面で商談や価格交渉を行うフィールドセールスが難しくなったことを背景に、現在インサイドセールスを取り入れる企業が増えています。

短時間で多くの顧客にアプローチでき、確度の高いリード(見込み顧客)を創出できるため、営業活動の効率化にもつながります。

もっと詳しく知りたい方はこちら!

下記の記事でインサイドセールスについて詳しく解説しています。
インサイドセールスとは?役割や業務、メリット、体制構築/目標設計から事例までわかりやすく解説

インサイドセールス部門を組織化するにあたって、検討すべき4つの課題があります。

1.そもそも内製するか外注するか

組織化する際の選択肢として、インサイドセールスの機能の内製・外注が挙げられます。

インサイドセールスは日本に浸透し始めてまだ日が浅いため、組織内で経験者がいることは少ないでしょう。

そのため、インサイドセールス部門を新設する場合においても、ノウハウ不足や人材配置の課題に直面する可能性があります。

外注を視野に入れた組織編成と、外注のまま運用を継続するか、将来的に内製化するか等を検討する必要があります。

2.既存の営業やマーケ部門との業務分掌をどうするか

新たに組織化する場合、既存の営業部門のパフォーマンスを維持しつつ、どの業務を引き渡し、どの業務を残すかを決めなければなりません。それに伴った適切な指標(KPI)も重要です。

業務の分掌と連携がうまくいかず、有効なリードへのアプローチを取りこぼしたり、不適切なリードが営業部門に回ってきたり、指標(KPI)が形骸化してPDCAが回らず成果が向上しないといったケースも少なくありません。

インサイドセールス部門を効果的に機能させるには、既存のフィールドセールス部門やマーケティング部門との連携が必須です。

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下記の記事でインサイドセールスとフィールドセールスの違いについて詳しく解説しています。
インサイドセールスとフィールドセールスの違い・役割を整理 組織連携のコツも解説

 

3.インサイドセールス担当者の採用・育成をどうするか

インサイドセールスを内製する場合は、インサイドセールスの担当人員の確保も重要な課題です。

自社内の営業部門からの転置育成を行う企業は多くありますが、インサイドセールスには営業だけではなくマーケティングやリードナーチャリングのノウハウ、コミュニケーション能力など、さまざまなスキルや経験が必要になります。導入するためには人材の育成に時間やコストがかかるケースもあるでしょう。

4.インサイドセールス担当者が主体的に動ける環境をどう作るか

インサイドセールスは、まだ日本国内で運用方法が確立していない手法です。

インサードセールスを成功させるには担当者が主体的に情報収集を行い、成長していかなければなりません。

社外での研修・セミナー参加など、インサイドセールス担当者がモチベーションを保ちながらノウハウを身に着けられる環境づくりが課題です。

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下記の記事でインサイドセールスの立ち上げについて詳しく解説しています。
インサイドセールスの立ち上げ(初期構築~設計)で失敗しない始め方と導入のコツ

課題と対策1.そもそも内製するか外注するか

内製、外注、ハイブリッドの3パターンについて、メリット・デメリットを見ていきましょう。

インサイドセールスを内製化する場合のメリットと推奨条件

内製では、自社で既に持っているリソースを活用するため創設や運用のコストを抑えられる点や、ノウハウや情報が社内に蓄積される点がメリットです。トラブルや改善項目が見つかった場合でも社内での連携がとれていれば素早く対応でき、業務サイクルを快速に回せます。

内製化の推奨条件は、自社内にインサイドセールス経験者がいる場合や、自社リソースに余裕があって新規にインサイドセールス部門を創設する力がある場合です。

もしインサイドセールスの経験者がいない場合は、ノウハウを蓄積しながら最初の成功事例が出るまで根気強くチームを運営しなければならず、効果や実績が出るまでには時間がかかる傾向にあります。

着実に結果を出せるトップセールスのメンバーを配属できれば成功の可能性は高まりますが、現状で売り上げている数字が失われるリスクもあるため、経営陣や直属のマネージャーとの調整が必要になることもあるでしょう。

インサイドセールスを外注する場合のメリットと推奨条件

インサイドセールスを外注すると、人員採用や教育にかかる手間やコストを抑えられる上に、即効性がある点がメリットです。専門業者にアウトソーシングするため、「社内に経験者がおらずノウハウがない」「新たにインサイドセールス分門を立ち上げるだけの組織的な余力がない」などの課題が解消されます。

自社内の人員やノウハウが不足している場合や、短期間で大量にリードやアポを獲得したい場合などは、インサイドセールスの外注が適しているといえます。

一方で、商材・サービスの理解が浅い委託先との連携・調整が発生する点や、自社にノウハウが蓄積されない点はデメリットとして挙げられます。

セールスをかける商材・サービスのLTVと、長期的に運用する際の手間・コストを基に、投資対効果を考慮ながら、導入を検討するようにしましょう。

一部外注(内製+外注ハイブリッド)する場合のメリットと推奨条件

一部外注型では、基本的には社内リソースで内製しながら、不足分を外注で補います。

自社にはない業者のノウハウやナレッジを摂取できる点や、自社では届かなかった領域にもチャレンジできる点がメリットです。

一部外注型は、将来的には全内製化を目指しているもののリソースが足りていない場合や、自社内で集中してアプローチをしたい顧客層がいる場合などに適しています。

しかし、内製での人材育成コストや初期費用と外注コストの双方が必要になるため、一部外注はコストが高額になる傾向があるため注意しましょう。

 

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課題と対策2.既存の営業やマーケ部門との業務分掌をどうするか

各プロセスのどの範囲までを、どの部門が担当するのかを事前に策定しましょう。具体的には、潜在リード発掘からリードジェネレーションまでをマーケティング部門、リードナーチャリングから案件創出までをインサイドセールス部門、商談からクロージングまでをフィールドセールス部門が対応するのが一般的です。

固定した形はないため、社内の情勢に応じて変化できる組織づくりが重要です。

インサイドセールスと他部門のKPI・目標を連携させる

インサイドセールスのKPI(中間目標指数)を設定する際は、マーケティング部門や営業部門との認識の共有と連携が重要です。

インサイドセールスでよく利用されるKPIには、下記があります。

  • メール開封数
  • 架電数
  • 商談化数
  • 受注数
  • 受注額

インサイドセールスの基本的な役割は、マーケティング部門が獲得したリードを成約の確度が高いホットリードに育成し、営業部門に引き継ぐことです。

しかし、KGI(最終目標指数)が顧客数の増加なのかLTVの向上なのかによってもホットリードの基準や目標達成のために必要なKPIは異なります。各部門間でリードの認識にずれがあり、リードの引き継ぎ後に適切なフォローができなければ売り逃しにつながります。

インサイドセールス部門だけではなく全体のKGIを明確にし、適したKPIを設定しましょう。

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下記の記事でインサイドセールスのKPIについて詳しく解説しています。
インサイドセールスのKPI・目標設定と効果を最大化するポイントとは?メリット、デメリットも併せて紹介

 

部門を横断した定期的な会議を設けて情報と目的意識をつなぐ

インサイドセールスを機能させるためには、マーケティング部門や営業部門との情報共有が重要です。インサイドセールスを導入する際は、部門間を横断した定期ミーティングの実施を推奨します。各部門が施策の中で得たリードの情報や傾向を適切にフィードバックできれば、PDCAサイクルを効率的に回せます。

営業部門とインサイドセールス部門が目的意識を統一できれば、営業部門が成約の確度やLTVの高い顧客に集中できるようになり、業務効率化や利益の向上につながるでしょう。ナレッジやノウハウの属人化の予防にも効果的です。

顧客の温度感を尺度化・共通認識化する

インサイドセールスを導入する際は、社内全体でのリードの基準の統一や情報の共有も重要です。

顔の見えにくいインサイドセールスでは、電話やオンラインで顧客の温度感を適切に測らなくてはなりません。

担当者が感覚的・主観的にリードの状態を判断していると、フィールドセールス部門に渡すリードの精度が低くなってしまいます。

社内でのリードの基準を統一した上で、MAツールやCRMツールを活用してリードの購買意欲を可視化し客観的に判断できるようにする仕組みの構築が必要です。

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下記の記事でインサイドセールスが利用するツールについて詳しく解説しています。
インサイドセールスツールのおすすめ6種!SFA、MA、CTI、ABM、名刺管理…必要なシステムはどれ?

課題と対策3.インサイドセールス担当の採用・育成をどうするか

人員配置におけるポイント

営業部門でトップセールスを誇っていた人でも、インサイドセールス部門に向いているとは限らないため注意が必要です。

インサイドセールスでは、通常の営業に比べてより多くのリードにアプローチする必要があります。しかし商談を締結する必要はないため、各部門のエースを集結させるよりも順応性が高く仕事の飲み込みが早い人や、様々な部門の業務経験があり総括的に業務を行える人などをアサインすると良いでしょう。

インサイドセールス担当者に求められるスキル・適性

インサイドセールスの担当者は、向上心があり前向きに業務に取り組める人が向いているでしょう。業務が多岐に渡り、臨機応変な対応が必要になる場面もあるためです。

具体的には、下記のスキルが求められます。

  • コミュニケーション能力
  • 報連相の正確さ
  • PCスキル
  • 情報処理能力の高さ

インサイドセールスでは、商材への理解や伝達力、相手への想像力に加えて、傾聴・要約・あいづち・復唱などの会話力も不可欠です。電話では相手の顔が見えないため、適切な調子と抑揚で簡潔に表現する能力が必要になります。

画面に映るときには、表情で伝えるスキルも大切です。電話営業経験者よりも、対面接客経験者の方が向いている場合もあります。

また、顧客対応だけではなく社内の各部署との連携も重要なため適切な報連相スキルも必須です。加えてデジタルツールやWebを活用した施策が主となるため、PCスキルや複数のタスクに迅速に対応できる情報処理能力の高さも求められます。

しかし、何よりも重要なのは効果が出るまで継続して業務に取り組める精神力です。スキルだけではなく、適性や経験を配慮した上で担当者を決定しましょう。内部での人材確保が難しい場合は、BtoB営業経験者をはじめとする適性の高い人材の新規採用も1つの選択肢です。

インサイドセールスの管理職に求められるスキル・適性

インサイドセールスの管理者は、先述したインサイドセールス担当者に求められるスキルに加え業務の正確さや素早さが求められます。

日々の数値分析や進捗管理を行う必要があるため、計画性をもって業務に取り組める人が向いているでしょう。

また、インサイドセールス管理者はインサイドセールス担当者の育成やメンタルケアも行います。機械では担えない役割のため、コミュニケーション能力や育成スキルは必須スキルといえます。

 

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課題と対策4.インサイドセールス担当者が主体的に動ける環境をどう作るか

インサイドセールス担当者のレベルを上げるには、チームの連携を強化し、全体の経験値を底上げしましょう。そのためには、トライ&エラーをチーム全体で共有できる仕組みを作ることが重要です。

特に、インサイドセールス部門の新規立ち上げ初期には、チーム内にさまざまな熟練度の人が存在する状態です。この状態では、先述したKPIの見込みも算出しずらいでしょう。

しかし、未成熟なセールスパーソンでも、ベテランと一緒にトライ&エラーを繰り返してナレッジ(商材の知識やセールストークのコツ)を共有できれば、短期間で戦力化できます。

管理職は成功事例などの有益な情報が組織に行き渡るように意識し、定期的にミーティングや研修などを行い、業務レベルの均一化を図りましょう。

定期的なミーティングでは、以下を共有すると良いでしょう。

  • 商材に対する理解や捉え方
  • 成果が伸びてきた担当者の会話や成功の秘訣
  • 成功した施策、会話に至った考え方

また、そのためにもマネジメント担当者は、個々人の状況を以下のように分解し、体系的なデータを作成すると良いでしょう。

1.ナレッジ

└商材理解度

└会話ノウハウ

2.経験

└営業経験年数

└営業同行回数

3.成果

└商談設定数

└提案数・提案率

└受注数・受注率

「ロールプレイング」と「実践のフィードバック」を交互に行う

研修でのロールプレイングと実際のインサイドセールス業務からのフィードバックを交互に重ねる方法も有効です。

ロールプレイングにより業務の感覚がつかめれば、実践でも落ち着いて対応できます。ロールプレイングでは実践を想定して細かく設定を決め、複数パターンの訓練を行いましょう。ロールプレイングを活かして実践での成功体験が得られれば、担当者の自信にもつながります。

しかし、実践では想定外の事態も起こり得ます。実践の中での失敗は成長のために不可欠です。実践では必ずフィードバックを行い、現状の課題を明確にして改善につなげましょう。

インサイドセールスだけではなく営業部門やマーケティング部門からのフィードバックを得られれば、新たな気づきがあるかもしれません。

ロールプレイングと実践を繰り返すことで思考能力が身に付き、対応力を高められます。

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下記の記事でインサイドセールスのやりがいを見つける方法について詳しく解説しています。
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まとめ

インサイドセールスは業務効率化や成約率の向上に効果的です。インサイドセールスにおいて成果を出すためには、マーケティングオートメーション(MA)やオウンドメディアの活用、セミナー、ホワイトペーパーなどの各種活動との連携が重要になります。しかし運用にはノウハウが必要なため、何もないところから導入して成果が見えるようになるまでには、ある程度の期間や手間が必要かもしれません。その場合は、代行委託も1つの手です。

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