顧客との対話を生み出すチームワーク。IFSジャパンがABMを推進できた訳とは
そんなIFSジャパンが注目したのが、絞り込んだリストから最大数のリード獲得を実現する「TECH+×MarketOne 深耕型ABMプラン」だ。
今回は、本施策の実施に関わったIFSジャパンのキーパーソンたちと、TECH+のパートナー企業であるマーケットワン・ジャパン(以下、マーケットワン)に、施策内容と効果について話を聞いた。

狙っていきたい市場のリード獲得手法を模索する日々
──はじめに、IFSジャパンの事業とマーケティング体制について教えてください。
ネハ氏:当社の事業は、業界に特化した産業用AIおよびエンタープライズソリューションを提供することです。
吉田氏:特に日本では、製造、エネルギー・公益・資産事業、建設・エンジニアリング、航空宇宙・防衛産業といった業界を対象に、ERP(企業資産計画)、EAM(企業資産管理)、FSM(フィールドサービス管理)の3領域で、生産性、効率性、および持続可能性の向上を支援しています。
マーケティング部門では、ソリューションごとに特性や市場価値を踏まえて、対象とする企業群を戦略的に定めた上で、BDR(※)や営業と連携しながら施策を展開しています。
※BDR(Business Development Representative):新規顧客の商談機会をつくる担当者。見込み客にアプローチしてニーズを聞き出し、営業につなぐ役割を担う。
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マーケティング本部 本部長 吉田祐子氏
──「TECH+×MarketOne 深耕型ABMプラン」導入前には、どのような課題があったのでしょうか?
吉田氏:展示会などのイベント施策を中心にリードを獲得していましたが、この手法は獲得数に対して、当社がその後コンタクトを取っていきたいと考える企業の割合が少ないのが悩みでした。
早水氏: かつてはテレアポ代行を外注したこともありましたね。しかし、ただアポを取っただけで相手のニーズを聞き出せていなかったり、そもそも当社製品のことを正しく伝えられていなかったりと、我々の期待に添うものではありませんでした。
こういった経緯もあり、たとえ数は少なくとも、相手の悩みに応じた丁寧なアプローチで、当社が戦略的に狙う層のリード獲得につながるABM(Account Based Marketing)型の施策を模索していたんです。

BDRディレクター 早水良氏
導入の決め手は顧客企業との対話の「質」
──過去にテレマ施策がうまくいかなかったということで「TECH+×MarketOne 深耕型ABMプラン」にも不安があったと思いますが、実施に至った最終的な決め手は何でしたか?
吉田氏:お客さまとの対話を意識したコールの「質」が圧倒的に違うと感じたことです。
本施策では、まず当社がターゲットとする企業を数百件ほど選定し、IFSジャパン・TECH+・マーケットワンの3社でキックオフミーティングを実施したのですが、その中で「顧客の声を聞くこと」に対するTECH+とマーケットワンの本気の姿勢が伺えました。
マーケットワン鈴木氏:ありがとうございます。ABMは近年注目されているマーケティング手法ですが、多くの企業は狙っていきたい業界や自社のポジショニング分析を差し置いて、「できるだけ多くの電話をかけ、1件でも多くアポを取る」ことに意識が向いてしまっているんですよね。
本来ABMで大事なのは、まずターゲット企業の状況や業界動向についてきちんと理解した上でアプローチ方法を細かく設計し、「キーマン(意志決定に影響を及ぼす方々)と持続的に深い関係を築いていく」ことだと我々は考えています。
「TECH+×MarketOne 深耕型ABMプラン」では、 IT専門メディアである「TECH+」によって広く認知されるきっかけをつくりつつ、当社が顧客各社ごとにより踏み込んで直接対話をします。つまり、デジタルとアナログの両方の長所を組み合わせて「ターゲット企業に対しての戦略的なアプローチ」を行っているわけです。
特にコールをする際は、ただスクリプト通りにヒアリングをするのではなく、キーマンの課題を掘り起こし、ビジネスニーズを引き出していくことを重視しているのがポイントですね。

マーケットワン・ジャパン合同会社
テレサービス本部 本部長 鈴木竜一氏
営業も驚く高品質リードを獲得。優れた投資収益率を達成
──「TECH+×MarketOne 深耕型ABMプラン」で実際に得られた成果はいかがでしたか?
全員:(口をそろえて)過去のテレアポ施策と全然違いました!
吉田氏:正直なところコストは決して安くありませんので、最初はできるだけ小さく始めようとERPをテーマに20~30件のリード獲得からお願いし、徐々にEAMやFMSにも規模を拡大していこうと考えていました。
その中でも、 EAMはとてもニッチな市場で、施策を実施しても自分たちが狙いたいと考えている企業からリード獲得ができるか、ヒアリング情報を取得できるか不安だったのですが、予想に反してすごい反響があったんです。
保証件数のリード獲得はもちろんのこと、施策を通して得られたヒアリング情報を確認すると、弊社の予想以上にニーズが顕在化しており、とてもびっくりしました。それと同時に、「当社のサービスは本当に需要があるんだ」という確信につながりましたし、「EAMは今注目されています!」と自信を持って発信できるようにもなりましたね。

アジア・中東地域担当 BDRディレクター ネハ ムカジー氏(左)
BDR 金子亜佑美氏(右)
金子氏:また、ヒアリング情報の細かさにも感動しました。「電話対応者は何を担当していて、会社は何年前にシステムを導入して、今はこうした悩みがあって……」といった精度で報告をもらえるんです。スクリプト通りではなく、柔軟な対話をしていると強く感じました。
丁寧なヒアリングをしてもらえているおかげで、フォローアップの電話に出てくれる率も非常に高いです。商談につながらない場合でも、他部署を紹介していただけたり、社内やSIerとの関係性が把握できたりするため、今後の販売戦略に生かすことができています。
吉田氏:そういった意味では、マーケティング戦略にも影響があった施策だと言えます。当社は億単位の製品を扱っていますので、投資対効果が出せる施策となりました。
──皆さんの喜びと興奮が伝わってきます。ちなみに、マーケットワンから見て何かコールの秘訣はあるのでしょうか?
マーケットワン鈴木氏:やはり営業だと思われると、警戒されてしまうものなんですよね。特に、代表電話の受付は営業電話を断ることも仕事の1つですから、そこをあくまでも「マイナビが運営するTECH+」としてコールできるのが本施策の強みです。
実際、TECH+名義を用いるだけで代表電話突破率はもちろん、メールアドレスの取得率もかなり高くなりますので、マイナビのブランド力はさすがだなと思います。
また、TECH+に掲載されている記事をフックに、業界でよくあるビジネス上の課題や市場動向をお話しできるのも、企業内の潜在ニーズを話していただくための1つの助けとなっています。
マイナビとマーケットワンの資産を掛け合わせることで、戦略的に絞り込んだターゲット企業群から、最大数の営業機会の獲得が実現できるのです。

ABM成功の秘訣はチームワークと企業との継続的な関係構築
──「TECH+×MarketOne 深耕型ABMプラン」を実施したことで、何か社内に変化はありましたか?
早水氏:ABM施策の実施によって、横断的な会話をする機会が増えました。「チーム全体で成果に向かっていく」というスピリットが浸透していると感じますね。
金子氏:特に営業チームに関しては、「ここの企業のアポが取れた!」という驚きと喜びがやる気につながっているのかもしれません。最近は「次のテレマまだ?」なんて言われるようになりました。あんなにニコニコな様子を見るのは初めてです(笑)。
吉田氏:世の中には、「マーケティングチームがよかれと思ってやったものの全然効果が上がらない」といったこともありますが、この施策ではマーケティング・BDR・営業が1つのチームとして取り組むことができました。このインタビューにも、貢献したみんなを呼びたかったくらいです(笑)。
──素晴らしいチームワークですね。施策が成功した要因として、複数回にわたる継続的な実施も関係しているのでしょうか?
マーケットワン鈴木氏:はい。ABMを成功に導くためには、単発のリード獲得で終わらせずに、結果を常に活用して組織レベルで顧客を育成していくことが重要です。
その点で、IFSジャパンさんの場合は、四半期ごとに実施しながらフォローアップの方法も工夫を重ねていて、体制づくりがきちんとできています。
また、市場環境だけでなく、企業の状況も人事異動などによって常に変化していきますから、ターゲット企業と継続的にコンタクトを取りながら、「会社 対 会社」での関係構築を怠らないことが、ABMを成功させるためのポイントといえるでしょう。
──最後に、今後の展望を教えてください。
吉田氏: IFSジャパンは今後もビジネスを拡大し、さらに多くのソリューションを提供していく予定です。
マーケティング部門としては、商材に応じた最適な施策を実行していく必要がありますが、今回新たに得た「TECH+×MarketOne 深耕型ABMプラン」という強力な手札を上手に活用して、さらなる発展を目指していきたいと思います。

──これからもチームの伴走者としてマーケットワンさんとともにマイナビが支えていきます! ありがとうございました。